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Felicity | 日暮愛葉 | 「POWER OF PEOPLE」Vol.1

個性豊かなアーティストたちが集い、国内音楽シーンにおいて独自の存在感を放つレーベルFelicityと、Public-image.orgによるコラボレーション連載「POWER OF PEOPLE」が今月よりスタートします。
毎回、同レーベルの旬のアーティストが登場し、これまでに影響を受けてきた「10人のクリエイター」たちを紹介してくれます。音楽というジャンルを超え、様々な分野との交流も盛んなFelicityのアーティストたちのバックグラウンドや意外な趣向をお伝えしていきます。

連載第1回目となる今回は、先日ソロアルバム『perfect days』をリリースしたばかりの日暮愛葉が登場。音楽に限らず、アート、映画、文学など、非常にバラエティに富んだ興味深いリストを紹介してくれました。

Interview:大草朋宏


日暮愛葉が影響を受けた”反骨精神を持つ”10名のクリエイター

オノ・ヨーコオノ・ヨーコ
「彼女のエッセイやアートピース、そして音楽。若い頃からそのすべてが大好きです。音楽に真摯で、自分の信念を曲げないところにとても惹かれました。彼女はいつも新しいことにチャレンジしていますよね。私はシーガル(・スクリーミング・キス・ハー・キス・ハー)の時に125曲書いたんですが、そうやって多作だったのも、常に新しいことにチャレンジするという、オノ・ヨーコさんから受けた影響が出ていたと思います。私がアーティストとして不安になった時、彼女の作品に触れると、“今の私で大丈夫なんだ”って思えるんですよね。私にとっては心の柱となっている大切な人です」

中島らも中島らも
「らもさんの本は8、9割は読んでいます。躁鬱病とかでつらい時でも、自分のことを客観視して笑える人ですよね。変なキノコを食べてみたとか、サボテンを食べたらお腹壊したとか(笑)、変なことばかり研究してましたよね。身体や精神を酷使して、自分のすべてが実験材料みたい。私はいわゆる“文学”が好きだったんですけど、ある時イヤになっちゃたんですよね。ドストエフスキーとか太宰治とか、ウソじゃんって。そんな時、らもさんの小説やエッセイを読んだら、なんだか自分に近いと思えたんです」





茂木健一郎茂木健一郎
「茂木さんの本はとてもわかりやすいんです。なかでも作家の重松清氏と対談した『涙の理由』が面白い。ちょうど、“最近の若い男の子ってスグ泣くなぁ”と思っていたところだったんです。私の世代と10歳下の世代では、涙の価値観が違うみたいなんですよね。彼らは涙の基準が低いというか。つまり脳のメカニズムが変わっている。そういうことが書いてあります。茂木さんは、“今読みたい”という題材をスグにアップデートしてくれるので、手に取りやすいし理解できるんです」






エリオット・スミスエリオット・スミス
「シーガルの中期くらいから聴き始めたんですけど、大変好きなアーティストです。特に声と歌詞が好き。彼はすごく自己否定的だったんですけど、音楽やクリエイティブなことに救われていたのかもしれないですね。今回の私のソロ作はスゴくシンプルに作っていて、エリオット・スミスの影響が直接的に現れているかもしれません。直接会ったことはないんですよ。亡くなってしまって本当に残念です。ちなみに私の友達で、顔が醜いといじめられていた人がいたんです。エリオットも自分のことを醜い顔だと常々言っていたらしく、エリオットに励まされたと言っていました。外見に振り回されない日が必ずくると。とてもいい話だなと印象に残っています」

ロバート・ロンゴロバート・ロンゴ
「ロンゴの背景や人間性などは、詳しくは知らないんですけど、彼の絵がとにかく好きなんです。80年代のいわゆるニューペインティングのアーティストで、動いている人のある瞬間を切り取ったような『メン・イン・ザ・シティーズ』シリーズがたまらない。東京でも、ニューヨークでも、ロンドンでも展示は見ました。いつ見ても衝撃的なんですよ。ポップなんだけど、アンダーグラウンドというか、どこか欠けている感じがするんです。当時のニューヨークの闇を捕らえている気がします」





ZAKZAK
「初めて会ったのはあるライヴハウスです。そのライヴハウスはメチャクチャ音が悪くて、あまりやる気が出なかったんですけど、ZAKさんがPAをやったら、音が見違えたんですよ! マジシャンかと思った(笑)。それが縁で『NO! NO! NO!』(2000年にリリースされたSEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERのアルバム)のエンジニアをお願いしてからの長い付き合いです。ZAKさんにお願いしてからは、レコーディングで煮詰まることはないですね。もう、テクニックなのか念力なのかわからないです(笑)。普通はエンジニアっていうと、ただ“録る人”なんですけど、彼の場合はバンドのメンバー化してる。大好きだし信頼できる人です」

ジム・ジャームッシュジム・ジャームッシュ
「『ストレンジャー・ザン・パラダイス』でも、男の子が詩を読んでいるところから始まるし、彼の映画はスゴく文学的ですね。本を読んでいる感覚に近いかもしれない。それだけ間が多い。そこに必然性があるのか、ないのか? 熟考しているのか、やってみたら意外とできちゃったのか? 面識はないんですけど、一度ニューヨークですれ違ったことはあるんですよ。背が高くて、ブラックジャックみたいな真っ黒な格好していました」







ソニック・ユースソニック・ユース
「ミュージシャンとしての立ち位置がいいですよね。やっていることは新しいんだけど、アンダーグラウンド過ぎない。ある程度売れているけど、好きなことはやり続けられる。マイナーなオタクからもマスからも支持されるというスタンスは、賢くなければ保てないと思います。私は好きすぎて、逆に影響を受けないようにしていますね。曲を作っていて似たようなフレーズが出てきてしまったら、自ら却下します。だから、いちファンとして客観的に聴くようにしていますね。こんなに長い間好きでいられたアーティストは、ソニック・ユースくらいです」

ジャド・フェアジャド・フェア
「18歳の時に、下北沢シェルターでジャド・フェアと山塚EYEさんとソニック・ユースが出るライヴを観に行って、チケットがなかったので、ライヴ後に出てくるお客さんたちに逆流して入って行ったことがあるんです(笑)。そうしたらメンバーがみんな残っていて、ジャドとはその時に住所を交換しました。それ以来、2週間に一度、文通していました(笑)。デモテープや折り紙を送ったら、お礼に切り絵を送ってくれたり。彼はとてもピュアで子供みたいな人。アートピースも意外とお手ごろ価格で買えるので、みんな買って、彼に貢献してあげてください!」

小山田圭吾小山田圭吾
「小山田くんからも、コーネリアスからもまったく影響は受けていないです(笑)。でも、小山田くんの素晴らしいところはたくさん知っていますよ。ソニック・ユースと似ていて、ミュージックステーションには出ないけど、世界中の人が彼を知っている。うるう年くらいの間隔でしかアルバムを出さないけど、それは日本のレコード会社のルーティーンを、問題を起こすことなく覆せる人ってことなんですよ。音楽的にも常に新しいことにチャレンジしていますよね。一音一音カットアップしつつ、曲のすべてを詳細に把握できている人なんて、ロックミュージシャンではいないですよ。そういう意味で、私にはできないので、影響を受けようがないんです」


Release Information

『perfect days』
日暮愛葉








Artist Profile
日暮愛葉



Felicity

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