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植本一子 + 南波一海 | 大原大次郎 | 「お忙しいところ失礼します。」Vol.6

写真家・植本一子氏と、ライター南波一海氏が、毎回気になるクリエイターの仕事場に突撃する連載コラム「お忙しいところ失礼します。」。
今回訪ねるのは大原大次郎氏のアトリエ。前回の蓮沼執太氏のスタジオに引き続き、西陽の差す明るい部屋である。今回の取材は大原氏の一言、「横移動です」に尽きる。“横移動”とは一体? アトリエとして選んだ条件や作業のプロセス、自身のルーツなどなど、オープンかつ丁寧に語ってくれた。

Photo:植本一子
Text:南波一海


大原大次郎
手書きや手作りの作品が多いことで知られる大原氏のアトリエのこと、アナログなツールや素材があちこちにとっ散らかっているに違いない……と踏んでいたが、むしろその逆、道具は整然と並び、無駄が一切ない、さっぱりとした綺麗な部屋だった(今日マチ子先生パターン!)。
「カオスになっていくので、仕事を始める前に掃除します。で、終わる頃にはカオス、と(笑)」

ここをアトリエに選んで4年目。時期的に、手書きのスタイルが定着してくるのと合わさるように越してきた。
「以前はどうしても作業環境が悪くて。より生活感溢れる、学生の延長みたいな感じでやっていたので、ちょっといかんぞと。40件くらい探してここにしました。決め手はオフィスとして横長に使えるところ。机3台とプリンターまでを横一列に並べられるところを探していて」

この、横一列というのが大原氏の作業では重要なポイントとなる。話しているうちに「何か書きますね」という流れになり、なんと、その場で作業フローを見せてくれた!

まず定規を使って用紙に「植本一子」と書く。迷いのない、あっと言う間の作業。この時点で“あの文字”の原型を垣間見る。それをスキャンしてPC上で加工。そして出力し、さらに筆で色を加え、またスキャンしていく。時に行程をいくつか遡り、上からトレースして肉付けをしていくこともあるという(写真参照)。ひとつひとつの作業はものの数分だが、書く、スキャン、編集/加工、プリントアウト、トレース……とあれこれ組み合わせ、納得いくまで繰り返すという、気の遠くなる行程を踏んで作品は完成する(ちなみに余談だが、その後、私の名前で全く別の書体を、アシスタントのI君の名前で別の行程をそれぞれ見せてくれた。なんというサービス精神)。

そう、すでにお気づきの方もいると思うが、この作業の繰り返しこそが、紙とPCとプリンタをリニアに行き来する動きであり、冒頭で記した「横移動」なのである。
効率的に作品を仕上げるために考え出された横長のスペース。ここを何十回、何百回と往復している内に、大原氏の独創的なデザインがまた生まれてくるのだろう。

取材が終わる頃には、様々なバージョンに枝分かれしていった皆の名前が書かれた用紙が散らばっていた。
「これです。すぐにカオスになっちゃうんですよ(笑)」

大原大次郎

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