
黒田潔 | MOTアニュアル2010:装飾 | 「TO THE FOREST」Vol.6
独自の線画イラストレーションを武器に、様々なメディアで活躍するアーティスト/イラストレーター黒田潔。Public/imageとも親交の深い彼が、2010年初頭に、作品集の出版ならびに東京都現代美術館で開催されるグループ展「MOTアニュアル2010:装飾」へ参加することが決定!! そこで、Public/imageでは、短期連載企画として、黒田氏に密着し、作品集/展覧会ができるまでを追いかけていきます。
今回は、いよいよスタートした「MOTアニュアル2010:装飾」で展示中の作品や、滞在制作時の様子などを、黒田氏らのコメントとともにお届けします。
「MOTアニュアル2010:装飾」展示作品


「森の目」(2010) インスタレーション
「MOTアニュアル2010:装飾」at 東京都現代美術館

「風の通り道」(2010) アクリル、色鉛筆、パネル
「MOTアニュアル2010:装飾」at 東京都現代美術館
「今回の展示は、東京都現代美術館の学芸員・関 昭郎さんに声をかけてもらったことがきっかけで実現しました。僕が以前に手がけた新宿サザンビートプロジェクトやナム・ジュン・パイク・アートセンターでの壁画を見てくださっていて、そうした壁画の作品を見たいという要望を頂きました。ここまで大きなサイズの壁画を描いたことはなかったので、初めてのことばかりだったのですが、このサイズ感で描くことで、改めて自分の作品に向かい合える部分があって、色々と再発見がありました。
今回の展覧会全体のテーマは「装飾」なのですが、これまでは特に「装飾」というテーマは意識はしていなかったんです。でも、もともと装飾的なものはスゴく好きだったし、今回参加している他の作家さんも自分が好きな人たちばかりなので、その中に入れてもらえたのはうれしかったですね。今回はそういうテーマだったこともあり、自分の作品の中に繰り返し登場する形や模様に特にこだわろうと思い、反復されるパターンのようなものを意識して描いていきました。
全体としては、先日出版した作品集の流れを汲んだ作品になったと思います。昨年行ったアラスカには、実際にこの壁画に描いたくらいのサイズの木があったし、自分がそこで見てきたものをそのままのサイズ感で表現できるチャンスだったので、描いていてとても面白かったし、このスケールだから伝わるゾクゾクする怖さや生々しさというのも表現できたと思います」
東京都現代美術館 担当学芸員 関 昭郎氏のコメント
「今回の展覧会のテーマである『装飾』は、以前から自分のなかにあったものでした。『装飾』というと、アートの世界では否定的に捉えられがちなのですが、装飾が人間にとってどういうものかを考えていくことには、面白い可能性があるんじゃないかと思っていたんです。
黒田さんの作品は、新宿サザンビートやナム・ジュン・パイク・アートセンターなどで見ていました。彼の作品は、昆虫や植物がダイナミックにからみ合った画面など、面白い要素が色々あります。今回はそうした彼の魅力を大画面の壁画で改めて表現してもらいたかった。こうして見てみると、今にも動き出さんとする躍動感やなまめかしい質感などが見事に表現された作品になったなと思います。
通常『MOTアニュアル』の参加作家は6名前後なのですが、今回は凝縮された空間が合う作品には狭い場所、黒田さんのようなダイナミックな作品は大きな場所と展示空間に強弱をつけることを重視し、いつもより多い10人の作家に参加してもらいました。また、今回は黒田さんの他にもファインアート以外の文脈の作家が何人かいて、幅広い人選になっていると思います」
滞在制作

「滞在制作に入る前に、壁面のサイズ等は聞いていたので、それをもとに事前にIllustratorで下絵のデータを準備しておきました」

「事前に作成した下絵データをプロジェクターで分割投影し、壁面に線を描いていきます。ただ、サイズ感もだいぶ違うし、実際に壁面に描くまでは全体の構成が見えてこない部分もあったので、バランスを見ながら配置も結構変えていきましたね」


「作業を始めてから完成するまでに約10日間かかりました。普段とは線幅の感覚が全然違うし、壁のきめの細かさも均一ではなかったり、描き始めてからじゃないと分からない部分ばかりで最初の3日間くらいはゴールが見えない状態でしたが、やっていくうちにどんどん面白くなっていきました。こうして完成できたのは、ボランティアのスタッフのみんなの協力があったから。本当に感謝しています」
「壁にはめ込んであるこのパネルだけは着彩をしています。壁にはめ込んだのは一番最後でしたが、パネル自体は滞在制作に入る前に作っておきました」

黒田氏(右から2番目)と、取材時に作業をしていたボランティアスタッフの皆さん。最大5名のスタッフが約10日間黒田氏をサポートしてくれた。
半年にわたり展開してきたこの連載も、次回が最終回。作品集、展覧会とこれまでのキャリアの中でも大きな転機となった昨年から今年にかけての活動を、黒田氏自身に振り返って頂く予定です。お楽しみに。
Information
黒田潔氏が参加している「MOTアニュアル2010:装飾」は東京都現代美術館で4月11日まで開催中。3月21日15時からはゲストに工藤キキ氏を迎えたアーティストトークも開催予定。また、作品集「森へ」の原画展「TO THE FOREST」が3月4日〜28日まで@btfで開催予定。3月6日は、作品集のアートディレクションを手がけた大島依提亜氏とのトークショーも予定している。
Posted by:黒田潔
1975年東京生まれ。イラストレーター/アートディレクター。多摩美術大学大学院美術研究科グラフィックデザイン専攻修了。2003年より独立。新宿サザンビートプロジェクトで2005年グッドデザイン賞受賞。2010年2月より東京都現代美術館「MOTアニュアル2010」参加。2010年3月4日より「@btf」にて個展開催。現在、大阪成蹊大学で客員教授を務めている。
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