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Felicity | 当真伊都子 |「POWER OF PEOPLE」Vol.5

個性豊かなアーティストたちが集い、国内音楽シーンにおいて独自の存在感を放つレーベルFelicityと、Public-image.orgによるコラボレーション連載「POWER OF PEOPLE」。
毎回、同レーベルの旬のアーティストが登場し、これまでに影響を受けてきた「10人のクリエイター」たちを紹介してくれます。音楽というジャンルを超え、様々な分野との交流も盛んなFelicityのアーティストたちのバックグラウンドや意外な趣向をお伝えしていきます。

今回は、ファースト・ソロアルバム『dreamtime』をリリースしたばかりの当真伊都子が登場。音楽的ルーツであるクラシックピアノの先達から、今回のアルバムのアートワークを手がけたあのアーティストまで、現在の彼女を形作ってきたクリエイターたちの名前が並びました。

Interview:大草朋宏


当真伊都子が影響を受けた”本人の純度が高い”10名のクリエイター

キース・ジャレット
キース・ジャレット
ピアノの音色がとても美しくて、しゃべっているようにメロディを弾く人だなと思います。私がずっとやってきたクラシックピアノは、まず楽譜があってそれを演奏しているから、人の言葉を借りてしゃべっている状態なんですね。でもキース・ジャレットは自分の言葉を、心を込めてダイレクトにしゃべっている。ジャズとはいえ、クラシックピアノのように聴くことができるくらい、演奏の完成度も高いんです。

クリスティアン・ツィメルマン
クリスチャン・ツィメルマン
クラシックの世界では、作曲した人がいて、まずその人の意思をどこまで汲めるかという“理解力”が必要。その先に自身の“表現力”がある。彼は本当に丁寧に曲を理解していると思う。理解しようとする冷静さと、「私はこう弾きたい!」っていう情熱が一体になって演奏しています。たまに情熱が超えているときがあって、そういうときもステキだなと。私も自分が作ったものを一旦、人が作ったものと捉えて、「この曲はこういう感じだからこういうふうに弾いてみよう」って考えるようになりました。

ディヌ・リパッティ
ディヌ・リパッティ
この人は完璧です! ミスがない。普通、どんなにしっかりと理解していても、人前で表現するときには、失敗してしまったり、気持ちの流れでやってしまって間違えたりするものだと思うのですが、そういうのがまったくないので圧倒されます。緻密に積み重ねられて、全然崩れなくて、誰が見てもウワーっと思う、歴史的な建造物を見ているような感じです。彼もそうだし、ここまでの3人のピアニストは影響を受けたなんておこがましい、雲の上の存在。常にこの人たちを目指してやっていきたいです。

ニック・ドレイク
ニック・ドレイク
内省的で、スゴくひとりな感じがします。自分のためというか、ずっと独り言を言っているような。歌詞を見ても押し付けない感じだし、人前で演奏することが苦手だったとか、気が弱かったなんて話を聞くと、納得できるし共感もできます。特に好きなのは『ピンクムーン』というアルバム。収録時間も短いし、ギターと歌だけでギュッと意味が詰まっていて、まるで短歌や短編小説集みたいなんです。

ロベルト・シューマン
ロベルト・シューマン
シューマン作曲の『子供の情景』という曲集が好きです。13曲で構成されていて、「おにごっこ」とか「おねだりする子供」とか、それぞれにかわいいタイトルが付いています。一つひとつの曲にスゴくしっかりした意味が込められていて、どんどん目の前に情景が浮かんできます。母が好きだったので、子供の頃から聴いていましたね。そして大人になってから楽譜を手に入れて弾いたという、愛着のある曲です。私にとっても、まさに“子供の情景”だったんですよ。

ビートルズ
ビートルズ
なんでこんなに好きなんだろうって、長年考えているんですけど、“平易な言葉と音の力”ってことに尽きるんだろうなって。中学生の英語力でも、なんとなく中学生なりの理解ができるし、大人になると受け取る意味が少し変わってくるんですけど、いつどんなときに聴いても、誰でも理解できる音楽ってスゴい。世代も時代も関係ない。みんなを説得できるような美しいメロディであったり、楽しいリズムがあれば、世代を超えられるんですよね。


マイケル・ジャクソン
マイケル・ジャクソン
パンって最初に音を出したときから、「なんて聴きたくなる人なんだろう」と。私はメロディを作るとき、まず好きなメロディを思い浮かべるんです。すると、だいたいマイケル・ジャクソンが出てくるんですよね。“あー、今マイケルが降りてきてくれたらな”なんて思うときがあります(笑)。みんなから愛されて、慕われて、歌われるのって素晴らしい。私はスゴいことをしたいわけではなく、みんなに親しまれる音楽を作りたい。だから、メロディの美しさは忘れたくないんです。


高木正勝
高木正勝
初めて高木くんの曲を聴いたときは、懐かしい感じがしました。親しみがあって、自分に近い部分を感じたんです。その後、彼が岡山にライブに来たときに、コーラスで少し参加する機会があったんです。「ラララ〜」くらいだったんですけど、その直後に「作品に参加してくれないか?」って誘われて。「え、歌なの?ピアノじゃなくて?」って思いましたけど(笑)。とにかく「影響を受けている」なんてひと言では落ち着かない人です。私のいろんなところを知ってくれているし、嘘ついてもすぐバレる(笑)。



宮沢賢治
宮沢賢治
宮沢賢治のなかでも、童話が好きです。子供の頃に絵本を読み聞かせられていました。『セロ弾きのゴーシュ』では、シューマン『子供の情景』の中の「トロイメライ」って曲を弾くんですよ。すべてが繋がっていますね。彼の物語からは、痛みを感じるんです。でも、痛いものを“痛〜く”伝えるんじゃなくて、子供に語りかけるようにやさしく包んで。それはドロドロした痛みではなく、それってしょうがないよね、っていうもの。人間が持っている根源的な痛みを、ちゃんと伝えていると思うんです。






ロバート・ゼメキス
ロバート・ゼミキス
SF映画が好きなんですが、なかでもロバート・ゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が大好き。フィクションにしても、科学的で「ホントかも?」って思わせたりして、ウソが完璧。「タイムトラベルできちゃうんじゃない?」って思っちゃってましたから(笑)。私の書く物語も、すべて空想なんですけど、「それ本当かも」って思ってもらえるような、説得力のあるものを書かなきゃいけないなと、常々思っています。




Release Information


『dreamtime』






Artist Profile





Felicity

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