
PUBLIC/IMAGE.編集部 | THE TOKYO ART BOOK FAIR 2010 | 「PUBLIC/IMAGE.EXTRA」Vol.16
こんにちは、PUBLIC/IMAGE.編集部です。今回からPUBLIC/IMAGE.EXTRAのコーナーを借りて、PUBLIC/IMAGE.編集アシスタント&インターンが毎月異なった趣向でさまざまな人やイベントをピックアップしてお届けする連載を開始します。第1回目となる今回は先日グランドオープンした3331 Arts Chiyodaと原宿のvacantを会場にして行われたTHE TOKYO ART BOOK FAIR 2010を取材してきました。
Text:PUBLIC/IMAGE.編集部

メイン会場となる3331 Arts Chiyodaの展示会場内には240を超える出版社やギャラリー、アーティスト、ブックショップなどのブースがあり、数え切れないほどのZINEやアートブックが並んで大変な活況を呈していました。

出展されたZINEやアートブックはどれも興味を惹かれるものばかりで、丸一日滞在してもまだまだ魅力的な逸品を見落としていたりするほど。そこで数々のユニークなZINEとアートブックの中でも、PUBLIC/IMAGE.編集チームのメンバーそれぞれが、独断と偏見でオススメなジンとアートブックをセレクトして紹介したいと思います。これでもうアートブック迷子になりません!
「ragan」 若生友見 | Selected&Text by 出雲優子


表紙のインパクトが強烈!女子パワー全開なこのZINEは、「ragan(=裸眼)」と題されたシリーズ作品。普段私たちが色眼鏡を通して見ているものを裸眼で見たらどう見えるかというテーマで作られている。今回作者が注目したのが小悪魔ギャルの尋常じゃないまでに輝くアイメイク。小悪魔ギャルの目と、少女マンガのキャラクターの目が入れ替えてコラージュされている。驚くことに、3次元の目と2次元の目を入れ替えても全く違和感がない。ギャルのメイクはもはや、かつてマンガの世界でしか実現不可能に思っていた瞳の輝きに達していたようだ。作者の提示する視点で見ることによって新たな気付きを得ることができる。表紙はギャルのデコレーション文化を尊重し、ラインストーンで装飾されている。とにかく小悪魔ギャルのメイク術に脱帽!する1冊。
「100 Things in My Room」 Misato Ban Published by UTRECHT | Selected&Text by 西村紳


UTRECHT exhibition space NOW IDeA から生まれた「100 Things in My Room」。部屋にある”これ”は、どこで出会い、持ち主に何を与え、何を結びつけてきたのか。モノにあるひとつひとつの記憶がイラストと共に収められているエッセイ集。すっかり忘れていたモノが、偶然現れて、懐かしい記憶を蘇らせる。そんな経験した人も少なくないはず。ただ素朴に、やわらかい気持ちになれる一冊。“I keep my favorite landscapes anywhere in my room. It is like taking a walk.”
「10のレシピ」 細川亜衣 Published by limArt | Selected&Text by 小島直子


季節や食材の色などをテーマにしたレシピが10品載ったレシピ集。全30種類あり、1冊ごとに各テーマに合わせた紙が選ばれており、素材の質感まで伝わるような繊細な装丁デザインが美しい。挿絵とテキストだけという構成も潔い。レシピの方は限りなくシンプルな調理法と材料で作ることができ、和のテイストが効いたイタリアンといった感じだ。ちなみに私は好みの紙質と色から3つを選んだが、一番人気は「Imo」なのだそう。少しずつ全種類集めていきたい。
「水の空」 アナナプレス | Selected&Text by 鈴木辰彦


製本作家・都築晶絵とブックデザイナー・山本伸子によるリトルプレス「アナナプレス」の作品。今回紹介するのは、「水」と「空」に関する文芸作品をフラグメントにした作品で、紙、印刷、製本にこだわり、見て触っていつまでも楽しめる本を作りたいというふたりの思いが表現されている。なんといっても、適当に配置してもそれなりに詩が出来てしまうところがおもしろい。詩人になったつもりで、時間を忘れて遊んでしまった。
「megane the comic #1」 JUN OSON,YU NAGABA,SHINPEI ONISHI,YOSHI SHIMURA Published by Star Graphics (Yoshi Shimura) | Selected&Text by 石井龍


イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍する作家が参加するマンガのZINE。マンガをソフトとしてではなく表現の手段として用い、バンド・デシネ的印象が感じられる本作。特にアメコミ調のアクション活劇を描いたJUN OSONや、ダークで皮肉たっぷりの世界をファンタジックに描いた大西真平の作品は、コマのひとつを切り取ってみても、それ自体が作品として成立するような高いクオリティを持ち、そこに描かれたイラストは、状況説明や心理描写といったマンガ的表現のための「絵」ではなく、作品として独立した「アート」である。『megane the comic #1』は、そのような自己表現をするための手段としてマンガを用いており、その試みが印象的だった。
「Furniture Bondage」 Melanie Bonajo
Published by Kodoji Press | Selected&Text by 松井友里



この作品集において、女性たちはタイトルそのままに、家具やザルや扇風機や電話線などでがんじがらめにされて自由を奪われている。全裸で(ときどき靴下と靴のみ着用)。しかしその全裸はエロスではない。怖い。比率的にはエロス3 : 怖さ 7くらい。本当は、こんなにムチャクチャに拘束されている彼女たちより、ただの傍観者である私たちの方が立場として圧倒的に有利なはずだ。にも関わらず、彼女たちがその異形の姿で迫って来るんじゃないかというような貞子的な恐ろしさを感じてしまうのは、彼女たちの顔が、うなだれ・背けられて髪の毛で隠されていることで、そこに隠れているものを必要以上に想像してしまうからではないだろうか。ホラー映画でも気配だけ感じさせて正体を見せないヤツが一番恐ろしい。しかし怖いもの見たさ、という欲望も私たちはしっかり持っているのだ。
「FIRST PERIOD」 Ken Kagami | Selected&Text by 若井はるか


普段はオモチャを使って独自のセクシュアルを表現している加賀美健。たくさんのZINEが並べられる中、これを手に取った理由はインパクトが強かったため。中を開いてみると、10ページ全部にパンツの絵が描いてあるだけなのに・・・。これはもともと「FIRST PERIOD」というテーマで作品を作ったものをZINEにしたそうなのだが、よく見てみるとパンツにはシミがある…。ちょっと恥ずかしい気持ちになってしまったが、見ればみるほど考えが膨らんでしまったり、絶対「FIRST PERIOD」じゃないでしょ!とツッコミたくなるパンツがあったりと、かなり楽しめる1冊だ。
7つのZINEとアートブックをご紹介しましたが、皆さまご参考になりましたか?
次回連載企画も現在進行中です。お楽しみに!








