
CQ | Lionel Vivier |「IMAGINATIVE POINT」Vol.3
さまざまなアーティストTシャツなどを扱うオンラインショップ「CQ(http://seekyou.jp/)」と、Public-image.org による連動企画「IMAGINATIVE POINT」。毎回「CQ」にゆかりのあるクリエイター達の創造の源泉に迫るインタビューをお届けしていきます。
今回登場するのはさまざまなジャンルを跨ぎ越え、グラフィックの最前線を T シャツに落とし込む SIXPACK FRANCE の設立者であり、一貫してアートディレクション・プロデュースを担当する、リヨネール・ヴァイヴァー。1998年にショップとして誕生し、コラボレーション T シャツや展覧会プロデュースなど活動を広げてきたSIXPACK FRANCEが初の映画製作を手掛けた。初作品となる「 It Was On Earth That I Knew Joy 」は、フランスの若手監督 Jean-Baptiste de Laubier による SF 映画。このプレミア上映に際して来日したリヨネールに、 SIXPACK FRANCE の表現の背後にあるもの、そして映画製作に込めた想いを訊いた。
Text:藤田夏海
SIXPACK FRANCE の名前の由来を教えて下さい。
そもそもは1998年に僕がパリで始めたショップの名前なんだ。それ以前、僕はグラフィティライターとして活動していた。グラフィティ以外にもなにか表現する手段がほしいと思い立って始めたのがショップの経営。グラフィティの画材、ファンジン、レコード、ストリートウェアなんかを扱っていて、当時としてはかなりラディカルな品揃えだったと思うよ。 SIXPACK FRANCE っていうのは、当時パリで売っていたスプレー缶が6本入りだったからなんだ。それから、グラフィティライターはヒップホップに影響を受けてる人が多いけど、僕の場合はアメリカのオルタナティブロックに傾倒していた。中でも、僕のお気に入りはブラックフラッグという伝説のハードコアバンドで、彼らの初期の作品に「 Six Pack 」という曲があるんだ。グラフィティの象徴としてのスプレー缶、それからロックバンド。このふたつの要素から名前を考えることは、僕にとってとても自然なことだったんだ。
SIXPACK FRANCE は、アーティストチーム、Tシャツレーベルとして知られていますが、具体的な活動内容を教えて下さい。
SIXPACK FRANCE は、ひとつの人格を持ったアーティストとして僕は考えている。単なるアーティストチームとか、コラボレーションレーベルといった枠には収まらない。極端に言えば、たとえグラフィックやアートを使わなくても、表現をすることができると思っている。ファッションブランドの展開は、その試みのひとつ。コレクションアイテムのパンツやシャツには、あえてグラフィックを使っていない。 SIXPACK FRANCE は、特定のアーティストのコンセプトやスタイルに縛られず、流動的に表現ができる”場”、あるいは”表現者”でありたいと思っている。

現在、 SIXPACK FRANCE には10数人のアーティストが所属していますが、ジャンル、国籍、スタイルはさまざまですよね。どのような視点でアーティストを選んでいるのですか? なにか基準はあるのでしょうか?
選ぶ基準は特にないなかな。あるとしたら、僕がそのアーティストと同じ言葉で話せるかどうか、かな。実際に話をしなくても、作品を見れば直感的に判断できる。それが感じられれば、どんなアーティストにもアプローチをしているよ。
誕生から10年以上が経ちますが、 SIXPACK FRANCE は変化していますか?
SIXPACK FRANCE 自体は変わっていないと思う。ただ、この10年の間に、グラフィックアートというジャンルが飛躍的に認知されるようになって、環境は変わった。 表現の手法として、グラフィックアートというものに注目が集まってきたんだね。その流れの中に、僕らも乗れたんだと思う。ショップであれ、Tシャツであれ、僕らの活動は今この世の中で起きていることを、自分たちの言語を通して表現すること。これからもそれが SIXPACK FRANCE の核となるはずだよ。今の規模を保ちながら、焦らずにこの活動を育んでいきたい。

今回、映画のプロデュースを手がけたのはなぜでしょうか?
僕は昔から映画が大好きで、映画館で働いていたこともあるんだ。 SIXPACK FRANCE の活動をTシャツやアート以外の分野にも広げていこうと思ったときに、まずは僕に馴染みのあるジャンルから始めてみようと思ったんだ。
今回の作品を観て、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」を思い出しました。制作段階で、意識していましたか? または、他にインスピレーションになったものはありますか?
僕は、 SF 映画の大ファン。「スターシップ・トルーパーズ」、「ブレードランナー」、「ウェルカム・トゥー・ガタカ」…。好きな作品をあげればキリがない。 中でも、「低予算で作る SF 映画」にはとても愛着があんだ。たとえば、クリス・マーカーの「ラ・ジュテ」は、大掛かりなセットを使わず、既存の風景写真を組み合わせることで SF の世界を作り上げている。そういった意味で、「2001年宇宙の旅」も今回の作品のヒントになっている。 今回は映画以外でも、インディー・ロックバンドの音楽にも影響を受けているんだ。彼らの音楽は、どんなに低予算のレコーディングでも、とても力強い。ローファイでも、感情やスピリットさえあれば、素晴らしい表現を生み出すことができるってことを証明している。今回の映画では、それを伝えることがひとつの目的だったんだ。近々に DVD をリリースするから、プレミア上映に来れなかった人たちにもぜひ観てほしいな。
最後に、今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか?
たとえば空山基はとてもエロティックで注目しているよ。将来的には色々な新しいエロティックアーティストと仕事をしていきたいと考えているんだ。エロティック市場はとても大きく、とても特殊だからね。
SIX PACK T-shirts Collection

(左) HEAVY AXE「これはDAVID AXELROD という JAZ アーティストと関係しているTシャツで、 DJ SHADOW など数多くのアーテイストが彼の音源をサンプリングしているんだ。その中でも DJ SHADOW のアルバムは僕の最もお気に入りのひとつなんだよ」(右) UFO「このTシャツは空に赤ちゃんが飛んでいるんだけど、実はこれはニルバーナのアルバム『ネバーマインド』のジャケットの赤ちゃんが使われているんだよ。とても気に入っているよ」
Artist Profile
Lionel VivierSIXPACK FRANCE Art Director。1998年、パリにショップ”Sixpack France”をオープン。自らデザインを手掛けたTシャツを販売するだけでなく、スプレー・レコード・ブック・コミックを取り扱っており、ショップには様々な若者が集まり、アーティストたちの憩いの場、そして、プラットフォームとしての役割を果たす。そのコミュニティからフレンチエレクトロミュージックの先駆けである、INSTITUBEが立ち上げられ、現在SO-MEやParraなどグラフィックデザイナーやアーティストとして第一線で活躍する人物も多く誕生している。同時にポストカードやCDのジャケットのデザインなどを主に手掛けており、当時培ったアーティストたちとの人脈を活かし、1999年にはブランドとしての SIXPACK を展開し、メディアとしてのTシャツデザインを開始。
Posted by:CQ
さまざまなクリエイターのTシャツを扱うオンラインショップ。Tシャツは単に“身にまとう衣服”という存在を超えた、クリエイターの精神性やカルチャーそのものを伝達する“PROPAGANDA(伝道体)”の役割を持つものであるという考えの下に、身につけることで自分自身のルーツを悟ったり、自分の未来を切り開くための手がかり・きっかけを与えてくれる存在としての“Tシャツ(PROPAGANDA)”作品を発掘し、発表し続けている。http://seekyou.jp/






