
Felicity | リディムサウンター |「POWER OF PEOPLE」Vol.10
個性豊かなアーティストたちが集い、国内音楽シーンにおいて独自の存在感を放つレーベルFelicityと、Public-image.orgによるコラボレーション連載「POWER OF PEOPLE」。
毎回、同レーベルの旬のアーティストが登場し、これまでに影響を受けてきた「10人のクリエイター」たちを紹介してくれます。音楽というジャンルを超え、様々な分野との交流も盛んなFelicityのアーティストたちのバックグラウンドや意外な趣向をお伝えしていきます。
今回のゲストは、カジヒデキとの共同プロデュース作品「TEENS FILM」をリリースしたばかりのリディムサウンターです。
Interview:大草朋宏
リディムサウンターが影響を受けた”自分のルーツにこだわり続ける”10組のクリエイター
DJプレミア
中学2年生までほとんど音楽を聴いてなかったんですが、最初に好きになったのがヒップホップ。一番ハマったのはDJプレミアです。ループの組み方が近代的で独特でした。ピートロックのトラックはネタ感が強いのですが、プレミアはいろいろなものをカットアップして構築していて、絵を描く感覚に近かったと思います。特にドラムのタイム感、ノリ、音質が違いましたね。プレミアのレコードは、2枚使いしやすかったし、スクラッチするといい音がするんです。もちろん、プレミア自体のスクラッチもすごく好きで、当時はバトルDJを目指して練習していたんですよ。その後、ドラムを始めたんですけど、それもプレミアでドラムの音というものに目覚めたからだと思います。
Q-Tip
僕が好きになった頃は、あまりア・トライヴ・コールド・クエストの活動は盛んではなくて、ジャネット・ジャクソンの『Got ’til It’s Gone』に参加しているQ-Tipを聴いて好きになりました。トライヴの最後のアルバムは、今になってスゴさを体感しています。前衛的な音作りで、ジャズに近い。ジャジーヒップホップということではなく、黒人の天性のジャズですよね。ラップでも、Q-Tipのパンチラインが大好きです。一聴しただけでわかるあの声も、ファッションセンスも最高。みんながQ-Tipの好きなところとしてあげるところが、そのまま全部好きです(笑)。
コモン
プレミアやQ-Tipは、クラブやパーティで盛り上がってカッコ良いというイメージだったけど、コモンは曲が良くて家でも普通に聴ける。初めて聴いたとき、感動して泣きそうになりました。当時はほとんど12インチレコードで買っていたんですけど、コモンのサードアルバム『One day it’ll all make sense』はCDも買ったので、結果的に家で一番聴いたアルバムになりましたね。サードまでは、No I.D.というプロデューサーと主に一緒に作っていて、これが最高の組み合わせなんです。それにニューヨークじゃなくて、シカゴというところもカッコ良い。その後のカニエ・ウェストにつながる、知的なソウルマナーがあるんですよね。
MURO
とにかくミックステープですね。初めて聴いたときは、ヒップホップが入ってなくて、”なんだコレ?”って思ったんです。それまではヒップホップはヒップホップだけだと思ってたんですよ。でもこのミックステープによって音楽の幅を広げられましたね。しかもスティービー・ワンダーとかマービン・ゲイじゃなくて、全然知らないアーティストばかり。それにカセットテープのジャケットもおしゃれでしたね。ペリエとかチョコレートをモチーフにしていたりして、そういうセンスも好きです。ファションにも影響を受けました。東京に遊びにきたときは、ムロさんがやっていたサベージにひとりで行ったりして。日本人だからマネしやすかったんですね。
坪口昌恭
東京に出てきて、音楽系の大学に入ったんですが、そのときの先生が坪口さんだったんです。それで僕が憧れていたイエローとかクラブ・エイジアとかでライヴをやっているというから、ぜんぜん知らないまま連れて行ってもらったんです。そのときのライヴが東京ザヴィヌルバッハ。つまり坪口さんと菊池成孔さんというふたりに、東京に来ていきなり出会うんです。もう、わけのわからない世界で、完全に衝撃的(笑)。キーボードをやりたかったので、ローディをやらせてもらいながら勉強していました。東京に来て数ヶ月で、クラブで十何人でライヴをやってたり、ノイズギターがメチャクチャカッコ良い大友良英さんがいたり、本当に意味が分からなくて、とにかく「東京ヤベ〜」と。
菊池成孔
ということで、菊池さんにも、坪口さんと同時に会ったんです。よく3人で食事に行っていたんですが、菊池さんの話がクソ面白い。おかしなエピソードがたくさんあります。デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンのライヴで指揮をしているときにステージから落ちて病気が治ったとか、大阪で串カツを食べながら新世界周辺を詳しく案内してもらったとか。大人のディープな世界もたくさん教えてもらいました。一度、ふたりでマンガ喫茶の同じ部屋に入って、隣でブログを書いていたこともありました(笑)。当時、クラバーがローディをやっていると、ネタにされていましたね。結局、大学在学中の4年間ついて回りました。
キース・へリング
自分でも絵を描くのが好きで、僕も線で書くんです。だから線だけで表現する絵が好きなんです。マッキーの太さが好きなんですが、キース・へリングも線にこだわっていますよね。ポップアートに関しては、詳しくないし、本職ではないので、あまり影響を受けたりはしていないんですが、キース・へリングだけは最近やはりいいなと感じて。単純に見ていてハッピーになりますよね。あまりアートに詳しくないから、恥ずかしげもなく、キース・へリング好きを公言できます(笑)。
西堀 晋
京都のefishというカフェと仲良いんですが、そこのオーナーが西堀 晋さんという人で、プロダクトデザイナーなんです。無印良品のラジカセを作った人なんですが、いま、Appleのインハウスデザイナーになっていて、初代iPodシャッフルをデザインしたという噂。ブログを読んでいるんですが、考え方にとても共感できるんです。僕は文章を読むのが苦手なんですが、それでも読みたくなる日記。ロマンチックだけどくさくない。自分のデザイン論を書いたりもしているんですが、押し付けがましくない、そんな空気感が素敵ですね。今一番会いたい人です。
水戸岡 鋭治
鉄道とか乗り物が好きなんですが、「なんで九州の電車はおかしなことになっているんだろう」と思ったら、水戸岡さんという人がデザインしていることがわかったんです。90年代後半に、日本の鉄道デザインを変えた人です。奇想天外なデザインなんですが、それでいてお客さんの目線で、細部までこだわっている。それまで実用一辺倒のデザインだったのが、乗る楽しさも考えたデザインになったんです。友達などに、”この電車すごいよ”といって、わかってもらえる。そういうのはすごく大事だと思うんです。電車マニア以外でもワクワクするような公共性のあるデザイン。水戸岡さんには、ちゃんとデザインされたものは、乱雑に扱われないという姿勢があって、それは音楽にも言えるし、何にでも置き換えられると思うんです。
北斗星(列車) 
小さい頃、郡山に住んでいて、母の実家がある帯広に、寝台特急の北斗星に乗って行くのが好きでした。上野を出発して、青函トンネルをくぐって、一晩かけて札幌に向かうという陸続きの感覚。そんな人のロマンを乗せて走るという列車に、いまだに影響を受けていますね。直接的にはジャケットのデザインを北斗星カラーにしてみたり、北斗星に乗った感動を目指して曲を作ることは、実は結構あるんですよ。甘酸っぱい雰囲気で(笑)。今でも心のどこかに、常にある。やっぱり北斗星は、いいですね。
Release Information

極上のポップネスを疾走感のある演奏で包み込んでいる本作は、カジヒデキとリディムサウンターの共同プロデュース。キラキラしたメロディと躍動感のあるバンドサウンドが融合した、爽快なネオアコサウンドだ。どこか青空の下に出かけたくなる一枚。
『TEENS FILM』
アーティスト名:カジヒデキとリディムサウンター
レーベル : felicity
リリース日 : Nov.3rd 2010
Artist Profile

リディムサウンター02年に東京で結成。03年、Niw! Records第一弾のコンピレーション「Niw Stocks」にてデビュー。ソウル、ヒップホップ、ロック、パンクなどの様々な音楽性を独自のセンスでまとめあげたデビューアルバムが瞬く間に話題となる。その後、メンバーの変遷を経て、現在の5人編成(Dr.TA-1/Vo.KEISHI/Gt.HIROSHI/Ba.HAMADA/Tp.HONMA)に。新しいオリジナルな音楽スタイルを確立させ、自分達のルーツであるブラックミュージックを織り交ぜた「Think, Lad & Lass」を07年にリリース。その後もアコースティックアルバム、海外アーティストも参加したRemixアルバムをリリースするなど活動の幅は広い。また、3rdアルバム「Days Lead」では、ストリングスも多様したアカデミックでポップな仕上がりで高評価を得る。そのツアーファイナルとなった赤坂ブリッツでは、11人編成のRiddim Saunter Orchestraとして成功を収め、FUJI ROCK FESTIVAL ’10 WHITE STAGEでも同編成で何千人の観客の前で圧巻のステージをみせた。
Posted by:Felicity
2002年の設立以来、ジャンル、洋の東西を問わず知的好奇心を刺激するような良質な作品をコンスタントにリリースしてきたレーベル。 音楽ソフトだけにこだわらず、アートブックや写真集など、その アーティスト、また作品に適したフォーマットでのリリースなど、やりたいことにはチャレンジし続けるスタイルで、今後も多くの作品を世に送り出す予定。公式Twitterアカウントはこちらから。













