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Luvits! |『今、最も採集したいアイドル『AKB48』の生体』|「TOKYO STOCK」Vol.3

アイドル、アニメ、アニソン、マンガなど世界的に注目を集める”ジャパンコンテンツ”を、ニュース、インタビュー、コラムなどによって多角的に紹介するWebサイト「Luvits!」と「Public-Image.org」によるコラボレーション新連載「TOKYO STOCK」。
毎回「Luvits!」の人気記事をピックアップし、その中から特に気になるトピックについて、『東のエデン』や『交響詩編エウレカセブン』の脚本を手がけた佐藤大氏率いるStoryRidersが独自の視点で掘り下げていきます。

連載3回目となる今回は、様々なジャンルのニュースがランクインする中、圧倒的な注目度で世間を賑わすAKB48とアーティスト・清川あさみがコラボレートし、メンバーそれぞれを動物に見立て撮りおろした写真集発売のニュースについて、StoryRiders所属のライター、武田無我氏が寄稿してくれました。

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『今、最も採集したいアイドル『AKB48』の生体』

Text:武田無我

先日、AKB48とコラボレーションした写真集『美女採集』の新刊が発売された。『美女採集』とは、新進気鋭のアーティスト・清川あさみが、今1番旬な美女をピックアップし、衣装・アートワークにいたるまでディレクション、独自の世界感を生み出す写真集のことだ。そこで取り上げられる美女たちは、まさに「採集」の言葉通り、動植物の図鑑のようなスタイルで彩られ、清川あさみが生み出す独特の世界感によって今まで見たことのない一面を覗かせている。その『美女採集』にAKB48がコラボレーションし、出来上がったのが『AKB48×美女採集』だ。

そこでは、メンバー48人全員が個性豊かな動植物に変身している。例えば、大島優子はリスに、前田敦子はすずめに、篠田麻里子はミーヤキャットなど、清川あさみが想像するAKB48ひとりひとりのイメージキャラが動植物に当てはめられているのだ。出来映えとしては、見事という他ない。だが、実は私はこの写真集の企画の噂を始めて聞いた時、正直失敗すると思っていた。というのも、最近までAKB48についてよく聞かれる言葉と言えば、「人数が多すぎて、メンバーが把握できない」という声だった。つまり、視聴者の大半がメンバーのキャラクターを把握できず、AKB48というグループを単なるをひとつの総体としてしか見ることができなかったのだ。

一方で、『美女採集』という企画が持つコンセプトは、キャラクターや個性を獲得した美女たちが、新たな図鑑としてのイメージを持って生まれ変わるというもの。つまり、AKB48のキャラ不在の状態と美女採集のコンセプトは、当初から大きな乖離を持っていたということだ。そんな状態で写真集を作ったところで、結局AKB48のキャラクターを新たなイメージで彩ることなどできないと私には思えたのである。しかし、完成した写真集を見たら、そこには見事なまでにキャラ性を獲得としたAKB48が写っていた。

写真集の中の彼女たちのキャライメージにはなんの遜色も感じなかったし、むしろ、それぞれの個性がわかりやすい形で提示されているくらいであった。これはもちろん、写真集を制作した清川あさみの感性が彼女たちのキャライメージを的確に捉えていたということが言えるのだが、しかし、逆に、誰が誰なのかわからないと言わていたAKB48が、それだけの個々のキャラ性をついに獲得したということも言える。そして、その意味は、48人以上もいるアイドルユニットがついにそのキャラクターを認知されたということで、これはアイドル史上、革命的なことでもあるのだ。では、それがなぜ革命的なのか、ちょっとそのことについて説明してみたい。

まず、アイドルがデビューする場合、ピン(1人)の場合と、ユニット(複数メンバー)のふたつのパターンがある。普通はピンでデビューし、そのアイドルが独自の個性を身につけ、ファンを獲得、人気を得ていくのがオーソドックスな流れだ。しかし、ピンで勝負できないアイドルの場合や、もしくは、楽曲などを演奏するためグループにした方が人気が出ると見込まれる場合には、複数人で構成するユニットとして売り出す方法が取られる。まさにAKB48はそのパターンのひとつである。しかし、大人数のユニットにすればなんでもいいのかというと実はそうではない。これは過去のアイドルユニットを見ればわかることなのだが、実はそこには、ある法則性があるのだ。それは、「ユニットの構成人数を5人以下にする」というものだ。

例えば、ピンクレディーWinkPUFFYなどは2人組だった。キャンディーズ少女隊ribbonなどは3人組、そして、90年代を代表するC.C.ガールズシェイプUPガールズSPEEDなどは4人組、さらに、CoCoプリンセスプリンセススーパーモンキーズなどは5人組であった。では、6人以上のグループはといえば、実はほとんどいない。このように人気が出たほとんどのアイドルユニットの構成人数は5人以下で構成されているのだ。そして、これはアイドルユニットに限らずとも例は挙げられる。例えば、戦隊ヒーローもの、これらの構成人数は5人だ。1975年に「秘密戦隊ゴレンジャー」が放映されて以来、35年間変わっていない。もちろん、3人戦隊であるサンバルカンや主人公1人の仮面ライダー、ウルトラマン、メタルヒーローシリーズなども制作されたが、人数が5人以上に増えることは決してなかった。

つまり、5人以下にしないとユニットは成功しないという法則があるということなのだ。では、なぜ5人以下なのか。実はそこには人間のキャラクターを把握する際の特性が絡んでいる。人間が違和感なくキャラクターを把握できる最大人数は5人までと決まっている。その理由は、それ以上の人数になると、キャラがかぶったり、没個性的なキャラが出てきてしまうなどしてユニットとしての意味をなさなくなるからだ。そして、何よりも、6人以上になると、視覚的に一目で網羅できないということもある。つまり、人数が増えると言うことは、単純に没個性を生んでしまうことであり、個性が最も要求されるアイドルユニットなどでは、構成人数を5人以下に抑えるということが暗黙の了解だったのである。

しかし、AKB48はデビュー当初から構成人数が48人。もはや5人どころの話ではない。にも関わらず、ついにキャラクターが把握され、これだけの人気を獲得した。その理由はなんなのか。実はそこには、80年代、90年代のアイドルユニットにはなかった「テコ入れの原理」というものがあった。テコ入れとは、簡単に言えば、メンバー交代のことだ。メンバーを変え、ユニットの新鮮さを保つことでファンの飽きを回避する。これが頻繁に行われるようになったのは実質2000年代のアイドルからで、80・90年代のアイドルユニットは脱退などによるメンバー補填はあったものの、作為的にメンバーを入れ替えることはなかった。そのため、時間と共に飽きられ、いつの間にか消えてしまった。
対して、テコ入れを巧みに導入したユニットとして有名なのは、2000年代の代表するアイドル、つんく♂プロデュースのモーニング娘。だろう。

1997年、中澤裕子・石黒彩・飯田圭織・安倍なつみ・福田明日香の5人で結成されて以降、定期的にメンバーを増やし、卒業という体で旧メンバーと新メンバーを次々に交代、リフレッシュを計った。そのため、通常2・3年が限界と言われるアイドルユニットの中でも、モーニング娘は10年以上も第一線で活躍し続けた。しかし、実はここにも大きな落とし穴があった。それは「テコ入れ」の仕方が単純な「足し算」だったということだ。最初は5人でスタートしたモーニング娘だったが、途中から、新たなメンバーを足し、人数が単純に増えた。しかし、メンバーの突然の脱退などが頻発する中で、それをひたすら新メンバー投入という形でしのいでしまった。その結果、オリジナルメンバーが存在しないグループとなり、最初こそテコ入れによってリフレッシュ感のあったファンも次第に付いて行けなくなり、結果ファン離れを引き起こしてしまったのだ。つまり、単純な足し算のテコ入れでは、最初のうちこそ新鮮さを保てても、結果、「付いていけない」という感覚からファン離れを起きてしまうということなのだ。

では、AKB48の場合はどうだろうか。AKB48はデビューから48人いる。状況から見れば、5人以下の法則も守っていなければ、最初から「付いていけない」印象しかない。しかし、実はそこにこそAKB48の戦略があったのだ。まず、「付いていけない」環境からスタートしているため、モーニング娘のような流れでファン離れを起こすことがない。さらに、活動する中で脱退メンバーが出ても、それを単純な補填ではなく、一気に何10人も増やして別グループを新たに構成したり、ユニット自体を分割して別の物に作り変えてしまうなど、引き算や割り算、かけ算を巧みに駆使してマンネリ化を防いでいるのである。そして、何よりも注目すべきは、5人以下の法則を破る48人という人数であるが、実はAKB48はメンバーを特殊な立ち位置に立たせることでその法則性をしっかり守っているのだ。

これはあまり知られていないことだが、実は、AKB48のメンバーは所属している事務所がひとりひとり違う。つまり、メンバーひとりひとりがピンのタレントという立ち位置を守っているということだ。これは何を意味するかというと、独立したピンのタレントが48人以上集まってユニットを作っているということで、つまり、5人以下の法則を守りながらも巨大なユニットを成功させるというまさにアンビバレントな現象を生み出しているということなのである。このアイドル形態はまさに革命的という他ない。もちろん、AKB48の仕掛け人が名プロデューサー秋元康であるのは周知の事実だが、彼は過去にもこういった革命的なユニットを作っていた。それは「おにゃん子クラブ」である。おにゃん子クラブは5人以上のユニットでありながら成功した唯一のユニットであった。つまり、秋元康が仕掛けるアイドルユニットは、常にその時代に新たな革命的出来事を巻き起こし、アイドル史に新たな1ページを刻み続けているのである。

先日、AKB48の通算18枚目のシングル『Beginner』が発売1週目で82.7万枚を売り上げた。これは女性グループ歴代最高の初週売り上げ記録だ。CD不況と言われるこの時代にありながら、この記録は信じがたい現象である。そして、前田敦子や篠田麻里子などを筆頭に、ドラマやバラエティー、CMなどでそれぞれがピンのタレントとして成長し始め、先日のAKB総選挙では大島優子という新たなフロントガールが生まれた。その動向には、ファンならずとも多くのメディアが注目し始めている。誰が誰なのかわからないと言われ続けた巨大すぎるアイドルグループ。それがついに国民の認知度を得て、そのキャラ性を獲得し始めている証拠だ。今最も”採集したい”美女たち、清川あさみが着目した通り、それがAKB48であることは間違いないのだ。

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