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Luvits! |『PVCの女神』|「TOKYO STOCK」Vol.5

アイドル、アニメ、アニソン、マンガなど世界的に注目を集める”ジャパンコンテンツ”を、ニュース、インタビュー、コラムなどによって多角的に紹介するWebサイト「Luvits!」と「Public-Image.org」によるコラボレーション新連載「TOKYO STOCK」。
毎回「Luvits!」の人気記事をピックアップし、その中から特に気になるトピックについて、『東のエデン』や『交響詩編エウレカセブン』の脚本を手がけた佐藤大氏率いるStoryRidersが独自の視点で掘り下げていきます。

連載5回目となる今回は、アニメ『四畳半神話大系』に登場する明石さんのフィギュアを切り口に、フィギュア全般ないしオタクの変移について、StoryRiders所属のライター、永川成基氏が寄稿してくれました。

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第1位サエキけんぞう著のムック本が発売!

第2位東京女子流も参戦、EXTRAVE!!!

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第5位『四畳半神話大系』より明石さんのフィギュア発売!
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第8位アニメ『まよチキ!』いよいよ放送開始!

第9位『マクロスF』胸キュンアルバム発売!

第10位セブンイレブン漫画全巻プレゼントキャンペーン実施中!

『PVCの女神』

Text:永川成基

私の調査によれば、テレビを買い換える理由の第一位は地デジ対応などではなく、二次元の世界に突入するためにブラウン管に突撃し大破させてしまったためです(あくまで私の調査)。
ということで二次元世界への接続を求めてはアニメ! まんが! ゲーム! にアディクトする皆さん(含むオレ)こんばんは。ストーリーライダーズ永川です。二次元へ行くのは現代の科学技術をもってしても困難なので(22世紀になれば『絵本入り込み靴』が開発される予定)私としては発想の逆転を激しく推奨します。すなわち、二次元に行くのではなく、二次元の嫁を三次元へお迎えする、というのはいかがでしょうか。平たく言えばフィギュアの話です。

かつて、アニメフィギュアを追い求める道のりはあまりに深く険しい道でした。あ、今おっさんOTKの昔語り警報が発令されましたね。二次元において最高に輝くべくデザインされたキャラクターたちは、立体を二次元に写し取ったものではないので、過去(私が少年の頃)のフィギュアは立体になった時点でメントスガイザーのごとくコレジャナイ感が噴出します。(ちなみに『邪神像』でググることにより当時のコレジャナイ感の雰囲気を知ることができます)

そのうえアニメフィギュアは普通の模型店では売っていない未塗装・未完成品が当たり前でした。つまり買ったからには作らなければいけないのです。親に見られると恥ずかしいので、親が寝てから(離型剤を落とすため)バラバラになった女体と共に入浴しパンティラインで分割されたケツを磨いたものです。翌日は、真冬の寒さにガチガチ震えながら家の前でサーフェイサーを吹き、犬を連れた近所のおばちゃんに挨拶されつつ、飛びついてくる犬からレジンの女体を守らなければなりませんでした。しかも当時はあまり知識がなかったので、缶の塗装スプレーを使用する際、温水で暖めてから使用するということを知らず、気温が低くてガス圧が足りずドロドロの塗料に困惑し、しつこく吹き付けていたところ、ガスでリボンのような細かいパーツを吹きとばしてしまい排水溝にホールインワンさせたことあります。

しかたがないのでプラ版の細切りをチャッカマン(柄の長いライター)であぶりながら曲げていたのですが、いつの間にか日は落ち、マッチ売りの少女のような気分になりました。塗装で汚れないよう、大量の新聞紙を用意していたため、その付近で火遊びをしていたということで、当然のように職質を受けました。今考えれば、塗装はともかくプラ版の加工は家に入ってやるべきでしたね。当時は昭和の時代だったのでおまわりさんに気をつけろよと言われたくらいで助かりましたが、今なら放火未遂で指紋くらいとられているかもしれません。しかし、時代が新しくなればいいこともあります。今や2011年。気泡だらけのヌートリア顔なレジンキット(未塗装・未完成品)を購入する時代は終わりを告げたのです。

インターネットでポチポチするだけで、過剰梱包気味のAmazon段ボールに包まれ精密な着色フィギュアがやってくる時代がやってきました。しかも現代の仏師こと原型師たちの超絶スキルにより、二次元のキャラクターは破綻なく三次元の存在となりました。大量生産品だというのに魂が入りすぎです。運慶、快慶とて衝撃をうけるに違いありません。あまりに神すぎて、あらゆるOTKの部屋が寺社仏閣化しつつあります。そんなわけで、到着後即座に開封→叩頭跪拝のコンボを決めたくなるほど現在のフィギュアのクオリティは高くなりました。しかも圧倒的に安価です。私が貴族ならこのケツを産み出した原型師に領地を与えるだろう、と思えるほどのフィギュアがわずか数千円で手に入ります。この国が天国に一番近いのは間違いありません。

良い物はやはり売れます。長引く不景気でしょっぱい話ばかりになってきたOTK業界において、フィギュア界隈だけは活気にあふれ盛り上がっているように見えます。かつて、アニメファンの主な消費ターゲットはLDなりDVDなりの映像ソフトでしたが、今やアニメの映像ソフトは驚くほど売れなくなってきています。アニメファンの消費の筆頭がフィギュアに集中してきているのではないでしょうか(私の印象で数字の裏付けはありません)。映像ソフトは2話で数千円もするので割高感があります。やはり若い人はそんなに出せない。コンテンツ業界では若者に物が売れない理由として「携帯にお金を使ってるから」というのを好むのですが、それはホントの理由ではなくて、今の若い子は本当にお金を持っていません。

はっきり言うと企業はもう若者相手の商売をしなくなってきています。今放映されているアニメを見れば分かるのですが、子供向け(お金を出す親がターゲット)か、OTK向けのアニメしか存在していません。玩具にしても、今の団塊〜団塊ジュニア世代が若かった頃に欲しかったモノを、その世代の財力向けに出すか、6ポケット(両親と両祖父母の6人)が出すお小遣いにフォーカスしつつあります。そんなわけで、収入の大半をOTK趣味に費やすことを普通だと考えている古参のOTKたちは若いOTKを見て「薄い」と捉えがちなのですが、それはまったくもって間違いです。今の若いOTKは使えるリソースが圧倒的に少ないので、その分リソースを賢く使っているだけです。

もっと言えば、基本的に趣味というものは、無限に暇つぶしするためのものなので、お金や時間といったリソースを無尽蔵に消費できるように作られています。今のOTK趣味がすごいと思うのは、その気になれば(ネット環境さえあれば)ほとんどお金を使わなくてもエッジにいられる趣味だということでしょう。アニメのエアチェックと、動画サイトに掲示板のチェックだけで先端を享受できます。これだけお金をほとんど使わなくてもエッジにいられる趣味というのは、他に将棋や囲碁くらいしか無いんじゃないでしょうか。(これらもネットのおかげでコストのかからない趣味になりました)もっと言えば、現在の若いOTKが愛するコンテンツトップスリーは「ボーカロイドの楽曲」「東方」「ヘタリア」なのですが、これらは出自が商業ベースですらありません。(ボーカロイドは商業プロダクツですが、ボーカロイドの楽曲は違います)ネットに広がる二次創作を無限に消費できる状態が作られていて、商業側に位置する私たちは胆が冷えます。

OTK趣味はお金をつかわなくても楽しくてセキュアな趣味なのですが、OTKならば所有欲はあります。大好きなもの、大好きな世界を手中にしたいというのは当然で、かつてはやはり作品世界を手に入れる究極の手段を映像ソフトに帰着させていたのですが、今や、大量生産品のフィギュアは単体で作品世界を背負えるほどのクオリティに到達しています。すぐれたフィギュアは一撃で世界をダイレクトに伝えるインパクトを内包しているので、限られたリソースで一つ選ぶとしたら、フィギュアを選ぶのではないでしょうか。それに、フィギュアは物質として完全に所有できるところがいいですね。よく言われる冗談に「フィギュアはP2Pで流れないからいいよな」というのがあるのですが、確かにコンテンツ業界は今、そっち方面でピリピリしすぎています。

映画館で映画が始まる前に、頭がビデオカメラになった怪人(デザインはあさりおよしとお)がでてきたり、深夜アニメの冒頭に女子キャラに重なって「インターネットにうpしたら地獄行く(要約)」というメッセージが表示されるのを見るにつけ「客を泥棒扱いかYO!」と不快になるのですが、それだけP2Pやら動画サイトへの出回りは激しくて、それを深刻な脅威と考えているのだと思います。それはさておき、物理的実体を愛でるべく私は今日もPVCの女神のBUY NOWボタンをクリックしています。と、言いつつうちには幼児がいるのでフィギュア類は段ボールの肥やしです。夏に届いたフィギュアが箱の中で未開封のまま……。いっそ3月3日に盛大なひな壇を作るか! と考えています。





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