
植本一子 + 南波一海 | JUN OSON | 「お忙しいところ失礼します。」Vol.9
写真家・植本一子氏と、ライター南波一海氏が、毎回気になるクリエイターの仕事場に突撃する連載コラム「お忙しいところ失礼します。」。
かえーってきたぞ かえーってきたぞ(植本一子)
というわけで、お久しぶりです。今月から連載再開させて頂きますので、今後ともよろしくお願いします。
さて、およそ10ヶ月ぶりにお忙しいところ失礼させて頂くのは、PUBLIC/IMAGE.3Dで開催された『MUSIC ILLUSTRATION AWARDS 2010』での展示も記憶に新しい、イラストレーターJUN OSONのアトリエ。冬の陽が明るく差す午前中に彼のお宅を訪れ、話を伺ってきた。
Photo:植本一子
Text:南波一海

四畳半のスペースには作業机。その上にはパソコンのモニター、横にはスキャナがある。それからいくらかの資料と用具が整然と置かれ、壁には自身の作品がいくつか掛かっている。実に仕事場らしい仕事場である。ここから、カラフルでユーモラスな数々のキャラクターが生み出されていく。一日どのくらいの時間イラストを描いているだろうか?
「多分、一日に2~3時間くらいですよね。(実働時間を)密集させれば。忙しいと言いつつ、本当はそのくらいかもしれません」
と、実作業の時間は驚くほど短い。つまりはアイデアを捻り出すまでの時間が肝要ということになる。
「それが重要。一番辛いんですけどね、どんなものを描くか思い付くまでが。僕は(イラストの完成形が)見えている方だと思います。抽象的なものを描く人は違うんでしょうけど、僕の場合は描きながら段々と(完成形を)見つけていくというのができないんです。それさえ見つけられれば進むんですよね」
アイデアが思い付いてからイラストが完成するまでの迷いはほとんどないとのこと。そのヴィジョンの強さ、作画のスピードがイラストに力を宿しているのかもしれない。
基本的な作業フローは、用紙に鉛筆で下書きして、ペン入れをした上でスキャナで取り込んだ上で色を付けていく。
「展示するもの以外の、仕事の絵はほぼ100%パソコンでやります。応用が利かないのが嫌なんですよね。デジタル人間なので。意識的に絵を描き始めたのもパソコンからなんです。高校時代に父親が要らなくなったパソコンをくれて。その中に入っているおえかきソフトみたいなので描いていて。色を塗るのが面倒臭くてすごい嫌いなんですよ(笑)。パソコンだとその辺がクリアされているので」
シンプルなシステムで作業が出来てしまうため、仕事場は広いスペースを必要としないが、その点で気になる点もあるとのこと。
「この部屋だと絵を描ける最大サイズが決まってしまうのが嫌なんですよね。美術館とかに飾ってあるのは大きいじゃないですか。(大きい作品を作るのが)憧れで。基本はでかい方が面白いと思っているので」
JUN OSONの馬鹿でかい作品…、非常に見てみたいと思った次第。
最後に素朴な質問。OSONというペンネームの由来について尋ねてみた。
「愛知県日進市の出身なんです。アウトサイダー・オブ・ニシン(OUTSIDER OF NISSIN)でOSONなんですよ。地元の友達に“携帯に貼るシールをデザインしてくれ”って頼まれて。“漠然と言われても何作ればいいの?”ってなった時に“俺たちのグループ名を作ろう”ってことになって。地元の友達は“○○○ OSON”っていう名前なんですよ(笑)」



仕事場入口より。窓に面して設置された作業机の上で、JUN OSONのキャラクターの全てが生まれている


スキャナの上にはイラストの元となる貴重な原稿が。その左には珍しく(!?)自らの手で着色した原稿も。「元の絵と色だけ付けたものとをパソコン内で合わせることもありますね」


(左)作画で使う道具は至ってシンプル。「ものに執着があんまりないんですよね。選択基準が“なるべる手軽に手に入るもの”という。これも近所の文房具で買えるものなんです」その姿勢は以前に取材した大原大次郎氏のそれ同じくするものだ
(右)
ほとんど唯一と言えるフェイバリット・アイテムがUSBラジオチューナーのradio SHARK2(Griffin Technology)。単純作業する時に重宝するそう。「単純作業に入る時が一番楽しいですね。“やった! 後はラジオ聴いてやるだけだ”みたいな(笑)。これがないと困りますね」

Creator Profile
JUN OSON大学卒業後、デザイン事務所勤務を経てフリーのイラストレーターに。現在は挿画や雑誌のカットなどの紙媒体を中心に、TV媒体、Web媒体、アニメーション、Tシャツデザイン、壁画などジャンルレスで幅広く活動中。
Posted by:植本一子
84年広島県生まれ。写真家。02年、高校生の生活フォトコンテスト受賞。03年、日本写真芸術専門学校在学中に、キャノン写真新世紀で、審査員の荒木経惟氏らから賞賛を受け、優秀賞を受賞する。2009年11月よりA/M所属。
南波一海
ライターなど。音楽誌『ヒアホン』編集の他、各専門誌で音楽や映画などについて執筆中。
近況:木下美紗都 『瀬田なつき×木下美紗都 SOUNDTRACKS』(WEATHER048/HEADZ148)に参加しました。聴いてみて下さい。






