
原田優輝 | サンフランシスコ「ArtPad SF」 レポート |「WORLD CULTURE REPORT」Vol.18
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今回は、PUBLIC/IMAGE.編集部原田が、サンフランシスコで5月19日から22日まで開催されていたアートフェア「ArtPadSF」の模様を中心にお届けします。
Text:原田優輝
先月、人生初のサンフランシスコに行ってきました。カリフォルニアのあふれんばかりの陽射しをイメージしていたのですが、空港に着いたらなんと雨…。しかも、東京よりも気温が低く、いきなり期待を大きく裏切られてしまいました。寒暖の差が少ないサンフランシスコは、夏は涼しく、冬は暖かいという理想的な気候らしいのですが、数日間暑いくらいの日が続いていた東京から来た僕にとっては、雨のサンフランシスコは、事前のイメージとのギャップもあり、相当に寒く感じられました。ただ、アートフェア期間中は天気も回復し、心地良い西海岸の気候を満喫することができました。
サンフランシスコでは、5月19日から22日まで、「ArtPadSF」「artMRKT San Francisco」「SF Fine Art Fair」という3つのアートフェアが同時に開催されていました。期間中は各所でパーティなども行われていたようで、ちょうど日本のデザインウィークのような感じだったのだと思います。3つのアートフェアはそれぞれ主催者も違い、会場のセレクトや参加ギャラリーも三者三様なのですが、その中でも最も興味を引かれた「ArtPadSF」に、まずは足を運んでみました。会場は、ダウンタウンから徒歩圏内にある「PHOENIX HOTEL」というホテルでした。


何気なくひとりで歩いて会場に向かったのですが、近づくに連れて、なにやら不穏な雰囲気が…。日中だったにも関わらず、路上には多くのホームレスとおぼしき人たちや、ストリートギャング(!?)的な方々が、何をするでもなく、たむろしていました。会場のPHOENIX HOTEL周辺は、テンダーロイン地区と呼ばれる悪名高き犯罪多発地区だったのです。それまでサンフランシスコのどこを歩いていても、身の危険を感じるようなことはまったくなかったのですが、ダウンタウンからほんの数ブロックしか離れていないこのエリアだけはまったく空気が違い、歩くだけでも相当怖かったです。後になって思い出したのですが、実は、PUBLIC/IMAGE.3Dでも、サンフランシスコ在住のフォトグラファーSean Desmond氏が立ち上げた「The Tenderloin Project」の展示を過去にやっていました。
1ブロック歩くだけでも、このような黒ずくめな感じの方々が、数ヶ所にたむろしていました。どこからともなく「Bitch!!」という叫び声なんかも聞こえてきたり…。おそるおそる、バレないようにiPhoneで撮影した写真がこれです。
世界中の色々な街のグラフィティを見るのは楽しいですが、今回ばかりは、あまりそんな余裕はなかったです…。なにやら凶悪な感じがします。
なんとか無事会場にたどり着き、早速中に入ってみると、コの字型をしたホテルの中央にはプールなんかもあり、殺伐とした外の世界とはうって変わり、なんともピースフルな雰囲気。そこかしこで関係者たちが楽しそうにおしゃべりをしていました。現在もホテルとして使われている会場では、約35のギャラリーが、内装の異なるそれぞれの部屋で、ロケーションを活かした展示をしていました。

Robert Berman Gallery E6
ベッドなど部屋の設備をそのまま活かした展示も結構ありました。

Cameron Gray(Robert Berman Gallery E6 / San Francisco)
Cameron Gray(Robert Berman Gallery E6 / San Francisco)
L.A.の作家Cameron Gray氏の作品。近づいて見てみると、誰もが知っているキャラクターや作品などのイメージを、モザイク状に集積させていることがわかります。
Troy Abbot(Art Modern Gallery / Miami)
「幻影」と「現実」、「精神」と「身体」などの関係をテーマにするTroy Abbot氏の作品。鳥かごの中にあるモニターに、鳥の映像がプロジェクションされています。
Nick Gentry(Art Modern Gallery / Miami)
フロッピーディスクやVHSテープ、カセットテープなどを素材にしたポートレート作品を作るイギリス人アーティストNick Gentry氏。
Park Life
サンフランシスコを拠点にするストリートアートに強いギャラリー兼ショップ「Park Life」のブース。スケジュールの関係で実際のショップには行けなかったのが残念です。

参加していたギャラリーは、サンフランシスコやロサンゼルスなどアメリカ西海岸が中心でしたが、なかなかレベルも高く、じゅうぶんに楽しむことができました。その後、比較的近くで開催されていた「artMRKT San Francisco」にも行ってみました。こちらの写真も少しだけ紹介します。


約80のギャラリーが出展していた「artMRKT San Francisco」は、「ArtPadSF」とは対照的に、広々とした屋内の会場で、アート関係者やコレクターたちがシャンパンなどを飲みながら談笑していて、いわゆる典型的な「アートフェア」会場というイメージ。一般の来場者も、「ArtPad」よりやや年齢層が高かった気がしました。
Liu Dao(Tally Beck Contemporary / New York)
上海を拠点に活動するアートコレクティブLiu Daoの作品。Tally Beck Contemporaryは、アジアのアートに特化したNY・ロウワーイーストサイドにあるギャラリーだそうです。
Mike Stilkey(LeBasse Projects / Los Angeles)
古紙、レコードカバー、本などにペインティングをするL.A.在住のアーティスト、Mike Stilkey氏の作品。
もうひとつのアートフェア「SF Fine Art Fair」にも行きたかったのですが、会場がだいぶ離れていたため断念。でも、全く雰囲気の違うふたつのアートフェアを見ることができたので満足です。最後に、サンフランシスコ滞在中に足を運んだいくつかのショップも紹介して、このレポートを終わりたいと思います。
NEW PEOPLE
NEW PEOPLE Add.1746 Post St, San Francisco
ジャパンタウンにある日本の最先端カルチャーを紹介するショップ「NEW PEOPLE」。内装をトラフさんが、什器のアートワークを横山裕一さんが手がけるなど、前から興味を持っていたお店です。カフェ、ショップ、洋服、ギャラリーがフロアごとに分かれて、さまざまな視点から日本のカルチャーが紹介されています。日本映画の上映なども行われているようでした。日本人が見てもなかなか楽しめる内容だったのですが、存在自体があまり知られていないのか、割と閑散としていて、少しもったいないような気がしました。
NEEDLES & PENS
NEEDLES & PEN Add.3253 16th Street, San Francisco
個人的になかなか熱かったエリア・ミッション地区にあるNEEDLES & PENS。さまざまなハンドメイドグッズやジン、フリーペーパーなどが置かれていて、アーティストの展示も定期的に行われているようでした。やはりサンフランシスコにはジンカルチャーがかなり根付いているようで、それぞれのクオリティもかなりのものでした。また、ここの他にも、ペーパクラフトに特化したショップなどがいくつか見られ、サンフランシスコには、紙でものを作る文化が浸透しているような印象を受けました。
AMEOBA MUSIC
AMEOBA MUSIC Add.1855 Haight Street, San Francisco
ヒッピー発祥の地、ヘイトアシュベリーにある新品、中古のレコード、CD、DVDなどを扱う老舗ショップ。「The World’s Largest Independent Record Store」という触れ込みに偽りはなく、体育館を思わせるほど広大なスペースに、ありとあらゆる音源が所狭しと並んでいます。「J-UNDERGROUND」という日本のアンダーグラウンド音楽を扱うコーナーだけでもかなりのスペースが取られていて、下手な日本のレコードショップよりも充実した品揃えだったことには驚きました。音楽好きなら、ここで簡単に一日過ごすことができそうです。
以上、PUBLIC/IMAGE.原田によるサンフランシスコレポートでした!



Posted by:原田優輝1981年生まれ。編集者。「DAZED&CONFUSED JAPAN」「TOKION」編集部などを経て、現在Webマガジン「PUBLIC-IMAGE.ORG」編集長を務める。また、フリーの編集者/ライターとしても、カルチャー、デザイン、ファッション系媒体の企画・編集・寄稿、ムック制作、クリエイターのコーディネート、トークイベントの企画・司会進行などを手がけている。
















