
HARVEST by haroshi | ハーベスト バイ ハロシ | Artist / Jewelry Designer
ハート型にドクロ、ラインストーン入りのタグ風描き文字からメリケンサック型まで—。ペンダントやブローチ、バングルなど、一風変わった質感のアクセサリーが、今人気を呼んでいる。実はこれ、使い古したスケートボードをリサイクルし、手仕事で仕上げたアートピースなのだ。積層した合板のカラフルな色味や、USEDならではの風合いも味わい深く、それぞれただひとつの魅力を湛えたHARVEST by haroshiのアクセサリー。スケーターはもちろん、その筋とは近からずと思われたファッション系女子までを虜にするデザイン性と、スケボー板に新たな命を吹き込むエコロジカルなニュアンスの、目からウロコながら絶妙な組み合わせは、いかにして生まれたのか? メンバーのHIROSHERと嶋田春に話を聞いた。
Text:深沢慶太
まずは自己紹介からお願いします。
HIROSHER(以下H):一言で言うと、スケートボードをリサイクルしている2人の活動名です。「HARVEST」とは英語で“収穫”という意味ですが、スケーターにとっては使い終えたボロボロの状態のスケボーでも、自分たちにとっては熟れた状態の果実を収穫させていただく、というニュアンスを込めています。
活動を始めたきっかけを教えて下さい。
H:元々は2人とも彫金の職人だったのですが、木のアクセサリーを作ろうと思った時に、自宅にスケボーの板がたくさんあったので、試しに切ってみたのが始まりですね。
嶋田(以下S):アクセサリーの大量生産の現場で毎日、ひたすら同じものを作っていたのですが、「もっと違うスタンスでものづくりをしたい」と考えていたんです。

使い古したスケボーの板を加工してプロダクトを制作している。
H:「スケボーを切って使ってみたら?」と言われた時は正直、面白くないだろうと思いました。でも、試しにバングルを切り出してみたら、予想外に面白いものになった。板に付いた傷もひとつひとつ違っていて、作る楽しさも感じましたね。
S:最初は、足で踏んでいるものだから汚いと思われるかもしれないし、受け入れてもらえるかどうか不安でした。
H:いろいろと試行錯誤して、最初の試作品から立ち上げまで1年くらいかかりました。何から何まで手探りでしたね。お店にしても、当時インテリアショップのIDEEが展開していた「Sputnik」にアプローチをして、初めて商品を置いてもらったんですが、なんと1ヵ月後にお店がクローズしてしまったんです……。
現在のショップ展開について教えて下さい。
S:メインとしては、原宿の「Kurkku」と「Tokyo Hipsters Club」(T.H.C.)、そして国立新美術館のミュージアムショップ「Souvenir from Tokyo」ですね。
H:あとは地方のお店などに少しずつ。アメリカ西海岸・ベニスビーチの「Tortoise」というセレクトショップにも置いてもらっています。

スケボーの板の断面の模様が、ポイントになっていますね。
S:これは、カナディアン・メープルの木を何層にも貼り合わせた合板なんです。
H:とても固い木なので、加工するのが本当に大変。板自体が曲がっているから、業者も機械加工ができない。手作業じゃないとキレイに切れないんですね。以前にも加工を試みた人はいただろうけど、成功しなかったんじゃないかな。でも、自分たちには彫金の技術があったから、金属に比べればむしろ柔らかかった。そこであえて「ただ切っただけ」という風合いを残しています。いろいろな人に「こんなに簡単にできることなんだ」と感じてほしい。実際には、僕が板を切って、嶋田が磨いているのですが、電ノコでここまで細かく切り出せるわけではないので、磨きの工程はたいへんですね。
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H:輪郭がモコモコしたバングルや、ピースマークのように隙間があいているものは特に時間がかかりますね。
モチーフの選び方も独特で面白いですね……このメリケンサックは、そもそもアクセサリーなのでしょうか?
H:いや、ちょっと握ってみてもらいたいな、と(笑)。
S:よかったら首から下げてみて下さい、という感じですね(笑)。

H:かたちが可愛いので、“愛の鉄拳”というニュアンスで最初は「ラブ・パンチ」と呼んでいました。中学生の時にメリケンサックをベルトのバックルにしている人がいたことから思いついた。それをスケボーの板で作っているのが、僕たちなりの“ボケ”なんです。ブローチの骸骨も、フリーメイソンのマークをモチーフにしています。
S:フリーメイソン絡みの会合にも行ったんだよね(笑)。
H:本当はフリーメイソンのコンパスのマークを作りたかったんです……調べ始めると、とことん調べないと気が済まない性格なので(笑)。

モチーフなどのアイデアは、どこから生まれるのでしょうか?
S:モチーフはいつも2人で話し合って決めています。「猫」が趣味なので、猫の顔をプリントしたブローチも作っています。


H:あまりにボロボロの板だとそのままでは使えないので、シルクスクリーンで模様を刷って加工する方法も試してみた。うちの猫の写真をプリントしたシリーズです。
アクセサリーだけではなく、オブジェも作っていますね。
S:材料の板が増えてきて、小さなアクセサリーを作っているだけだと消費が追いつかないので、大きいものも作ってみようと、立体のドクロのランプやハンガーも作ってみています。

H:あと、他社比社とのコラボレーションで作ったハンマーがあるのですが、本来はヘッドが鉄で持ち手が木なのを、持ち手を鉄、ヘッドをスケボーの板で削り出して作ったもの。「本当はこっちが鉄じゃん!」というボケなんです(笑)。他社比社とは、去年の秋にデザインイベント「DesignTide」に出店していた際に知り合いました。
S:それがきっかけで、彼らが宇川直宏さんと共同で運営している「Mixrooffice」で2月に開催した展示会に、そのハンマーのオブジェも出品しました。

活動を通して、人にどんなことを感じてほしいと思っていますか。
S:量産品のアクセサリーを作っていた時に感じていたことですが、みんなと同じモノではなく、それぞれが違うモノを受け入れられるような世の中になってくれれば、と思います。
H:また、ボケについてのことなんですが(笑)、笑いはコミュニケーションのひとつの手段だと思うんです。例えばこのハンマーなら、一目見て「何これ、ヤバい!」と思うことで、感覚を共有できますよね。自分のスケボーの板をカエル型に切って乗っているんですが、これまで話しかけてこなかった人が、それを見ると話しかけてくる。それと同じで、このHARVEST自体がコミュニケーションツールになると思うんです。身に付けた人同士が「これはスケボーでできているんだよ」という話をしているのを聞くと、とても嬉しいですね。
“リサイクル・プロダクツ”という観点からも、注目を集めていますね。
H:でも、それはあまり打ち出したくないんです。最近、エコロジー関連で取材が来ると、なぜか「家庭菜園に興味はおありですか」とか聞かれる。「ロハスって何だと思いますか」と質問されて、「たぶん流行だと思います」と答えたり(笑)。僕らは普通の一般市民だし、「できる範囲のことをやっていく」のが、僕たちのスタンスです。リサイクルのことを言わなくても、パッと見ただけで惹かれるモノでありたい、と考えています。
S:商品展開も増やせたらいいなとは思うのですが、できる限り2人でやっていきたいと思っています。
今後やってみたいことや、展開の予定について教えて下さい。
H:他社比社と一緒に、スケボーの板を使った怪獣を作ろうと話しています。マストワンがデザインしたものを、僕たちが製作するのですが、平面の骨をひとつずつ差し込んで恐竜の骨格を作る木のおもちゃのように、ひとつずつのピースをスケボーで作る。ものスゴく大きなモノになると思う(笑)。これからも少しボケを入れた感じで、「何これ、ヤバい!」と思わせるようなものを作っていきたいですね。

NO,12GALLERY and HARVESTpresents Hand shaped sk8board at no,12gallery





