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Hitomitoi | 一十三十一 | Musician

スーパーフラットな審美眼でユーミンからCICADAまでを同列に取り込み、全方位的に展開される唯一無二の一十三十一ワールド。ポップフィールドを表現の場とする一方で、アヴァンギャルドなクリエイターたちを引き寄せる摩訶不思議な魅力も持ち合わせる。前作『Synchronized Singing』は、そんな彼女の磁力を証明する傑作だったが、ASA-CHANGが全曲をプロデュースしたニューアルバム『Girlfriend』では、聴くものの心にしみ込んでくるシンプルで力強い“歌”が印象的だ。5月4日にUNITで開催される「Public/image.org」創刊記念パーティでもライヴを披露してくれる予定の彼女に話を聞いた。

Text:原田優輝

まずは、リリースされたばかりの新作『Girlfriend』のコンセプトを教えてください。

今回のアルバムは、私の声とメロディが主役で、ASA-CHANGがそのまわりの空間で遊んでいるようなイメ−ジなんです。だから、様々なクリエイターが作ったサウンドの中で私が遊ぶというコンセプトの前作『Syncronized Singing』とは対照的。『Syncronized〜』後の自然な流れとして、ひとりのクリエイターとしっかりやってみたいという気持ちがあったんです。楽曲の方向性も、カラフルでポップだった前作とはうって変わってシンプルで骨太で“素肌”的なものにしたかったんです。

今回コラボレートしたASA-CHANGの印象を教えてください。

スゴくおもしろくて、キュートな方です。彼がいるとスタジオがリラックスムードになる。脱力しているんだけど、出来上がるものはハッとするくらい感動的なんです。やわらかくて繊細な感じがして。そして素晴らしい包容力! 私の目指したい21世紀のヘンテコ素敵ポップスを絶妙なアレンジで表現できるのは彼しかいませんでした。

hitomitoi

実際の制作過程はどのような感じだったのですか?

まず、収録曲を選びながら、アルバムのイメージをいろいろ話し合いました。それから、私の歌詞とASA-CHANGのアレンジを同時進行で作っていって。歌詞とメロディをASA-CHANGに送って、それを見て彼がアレンジを変えてくれたりとか、一連のやりとりがとてもおもしろかったです。お互いにスゴく集中してたので、イメージが固まってからは、完成まで10日程しかかかりませんでした。詞も何かに突き動かされるかのようにひたすら溢れてました。

歌詞はプライベートな出来事から生まれることが多いのですか?

ひとつひとつはそうかもしれないけど、すべてつながっているワケではないです。記憶の残像のようなものを線にしていくことで世界観を作っていくので、すべてが日記のような感じではない。(詩は)突然やってきたりするものなので、何かが足りない時に生まれることが多いです。満たされている時や大勢でワイワイしている時にはあまり出てこない(笑)。

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一十三十一さんは、シンガーとしてポップフィールドで活躍されていますが、今回のASA-CHANGを始め、多くの個性的なクリエイターとコラボレーションされていて、日本のポップミュージックシーンでは特異な立ち位置にいるように感じます。

でも、そこがもともと自分のいた場所だし、元来備わっている感覚なんです。コアなアートや音楽が好きなのも、ユーミンが好きというのと同じ。良いものは良いし、そこに区別はないんです。どっちも自分のなかにある感覚ですからね。

毎回、様々なクリエイターと組まれていますが、どのようにパートナーを決めているのですか?

いろいろですが、私からアプローチしたりすることも多いですね。ディレクターと作品の方向性を共有してから、今回はこの人がいいんじゃないかということを決めて、声をかけさせてもらっています。

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作品ごとに表現したい世界観やイメージは明確にあるのですか?

はい。歌詞や曲のイメージはだいたい最初からハッキリしています。それをプロデューサーやディレクターと話し合って固めていくんですが、逆にイメージが明確だからこそ、それを第三者に壊して欲しいときもある。それによって、まったく違う視点で自分の作品を見れることもあるんです。セッションをしていて一番楽しいのは、思いがけない自分の一面を発見できることなんです。

多くのクリエイターと関わりあって作品を作り上げていくことが、基本のスタイルとなっているのですね。

そうですね。札幌でライヴをしていた頃から、ヒップホップのクルーやアイヌ音楽家のオキさんらとフリースタイルをやったりもしていましたね。自分の言葉とメロディが、そこにある音楽と交わる感覚がとても好きです。マインドと指先が直結しているジャズ的な感覚に共感を覚えるんです。高校生の頃は、兄と宅録もしていました。兄が作った音で私が歌ったり、歌詞をつけたりしていくんです。それは外に向けて発表するというよりは、遊び感覚で作っていたものだったんですけど。

ライヴでもいろいろなアーティストと共演されていますね。

最近の基本はピアノトリオですが、それ以外のライヴもいろいろやってます。
DJのL?K?Oとセッションしたり、私がSuper Deluxeで主催しているイベントでは、民族音楽とのコラボレーションなんかもやっています。

hitomitoi

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一十三十一さんの中には様々な音楽性を感じますが、ルーツはどこにあるのですか?

いつもそれは考えているんですけど、ハッキリとはわからないんです。特定の誰かに影響を受けたワケでもないですし。でも、あえて言うなら、北海道でトロピカルリゾートレストランを経営していた家に育ったことが関係しているかもしれない。そこで流れていたリゾートミュージックのようなものを、小さい頃からずっと身近で聞いていました。(山下)達郎さんから、ジャズ、ソウル、ロック、ニューミュージックまで選曲は多彩だったんですが、美味しい料理にあう美味しい音楽が流れていましたね。

「美味しい音楽」というのは、そんな環境で育った一十三十一さんならではの表現ですね(笑)。

子供の頃からよく家族で海外へに出ていたのですが、どんな田舎でも都会でも、その土地独自の音楽と料理が必ずあるんです。言葉が通じなくても、誰もが仲良くなれる手段。音楽と料理は共通する部分がかなりあると思ってます。レストランもエンターテインメントだし、面白くて深い世界ですよね。

なるほど。一十三十一さんの独特なバックグラウンドが少し分かったような気がします。どうもありがとうございました。

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