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GOTH-TRAD | ゴス・トラッド | Musician

“いま、最もアンダーグラウンドな音楽”と称されるダブ・ステップ。UKヒップホップの最新モードであるグライムが、ディジー・ラスカルレディ・ソヴリンの成功で海を越え、商業的成功を獲得しつつある一方、そのインスト・ヴァージョンであり、ダークサイドであるダブ・ステップは、地下水脈を通じて、ジワジワとシーンを広げつつある。そして、ここ日本でも、ダブ・ステップのパーティが存在することをご存知だろうか? しかも、そのパーティ「Back To Chill」の主宰者がGOTH-TRADと聞いたら、驚く人も多いハズだ。秋本“HEAVY”武士とのユニットREBEL FAMILIAでの彼の役割は、HEAVYのファンキーなベースに喧嘩を売るような、インダストリアルなビートであって、そのコントラストこそがREBEL FAMILIAの魅力だし、ましてや彼のディスコグラフィーには、『GOTH-TRAD I』と『The Inverted Perspective』というノイズのアルバムがあるのだ。それらは、ダブ・ステップとはある意味で相反する音楽性である。しかし、その後にリリースされた『Mad Raver’s Dance Floor』は一転、ダンス・ミュージックに取り組んだ作品で、その中に収録され、パーティ名にも冠されている「Back To Chill」は、UKのダブ・ステップシーンでクラシックになっているという。いったい、いま、彼に何が起こっているのか? そして、いま、地下では何が起こっているのだろうか?

Text : 磯部涼

ダブ・ステップのシーンにコミットするようになったきっかけは?

04年頃から3rdアルバム(『Mad Raver’s Dance Floor』/05年発表)に入っているトラックを作ってたんだけど、当時グライムに興味があって、“これのインスト・ヴァージョンを作ってみたいな”って思ってて。その頃はまだダブ・ステップってジャンルを知らなかったんだけどね。グライムって、BPM70ぐらいのビートの上で、ラッパーが倍速でラップしてるんだけど、それをインストでありながら、ちゃんと倍速のグルーヴがあるものにしてみようと。面白いことに、『Mad〜』って聴き直してみると、偶然にも、今グライムの中でもハーフ・ステップって呼ばれてるジャンルと同じようなことをしてるんだよね。だから、『Mad〜』を出した後のヨーロッパー・ツアーで、アルバムの中の「Back To Chill」って曲を、あっちのDJのヤツらに渡したりしたんだけど、それがちょうど立ち上がり始めてたハーフ・ステップとリンクしたみたいで、ダブ・プレートを切るやつとかもいて、そこからいろいろ繋がり始めて…、というワケ。

Goth-trad live

それにしても、ノイズのアルバムを続けて出した後に、『Mad〜』でいきなりダンスミュージックに振れたのは、傍から見てると“何があったんだろう?”って感じでした。タイトルも熱いし。

(笑)。いや、ノイズは本当に深い音楽だから、中途半端にやりたくはなかったし、2枚出して、現時点での突き詰め方はある程度見せられたかなと思ったから、また違うことをやってみたくなったんだよね。それに、オレはもともとダンス・ミュージックから音楽を好きになってるんで。ダンス・ミュージックに“行った”というよりは、ダンス・ミュージックに“戻った”という感じかな。

最初に好きになったダンス・ミュージックは?

小学生の頃に聴いた、クラフトワークの「Showroom Dummies」って曲。クラフトワークって、ポップで明るい印象があると思うんだけど、それは、すごく暗くて悲しい曲で。何でそんなものに出会ったかっていうと、小学生の頃、TVで「ダンス甲子園・イン・ニューヨーク」みたいな特別番組がやってたのね。そこで、ニューヨークのブレイカーがクラフトワークの「Numbers」で踊ってたんだよね。「これが欲しい!」ってCD屋に行ったら、実家は田舎だから売ってなくて。仕方がないんで、何枚かCDを取り寄せてもらったんだけど、その中に入ってたのが「Showroom Dummies」だったんだ。

いきなり「Showroom Dummies」っていうのが、何ともGOTHさんらしいですね。

そうかな。ケーブルTVでチャート番組を観たりするのも好きだったんだけど、中学生の頃に、UKでいきなりナイト・メアズ・オン・ワックスが1位になって。そこで、ワープを知って、LFOとかプロディジーみたいなテクノを聴くようになって、そのうちアブストラクト・ヒップホップを知って、テクノ・アニマルを聴くようになって、そこからテクノ・アニマルのケヴィン・マーティンがやっていたバンドのゴッドや、もう1人のメンバー、ジャスティン・ブロードリックのやっていたゴッドフレッシュを知って、インダストリアルやノイズを聴くようになって、どんどん深みにはまっていって……という感じかなぁ。

Goth-trad live

やっぱり、一貫してダークでヘヴィなものが好きなんですね。では、ダブ・ステップが、久しぶりにGOTHさんのダンス心を揺さぶったのはどうしてだったんですか?

うーん、『Mad〜』からさらに遡って、『GOTH-TRAD I』に収録されているリズムトラックやREBEL FAMILIAの1stの音源とか聴いてみると、その時点で既にハーフ・ステップっぽいリズムを作ってたりするんだよね。だから、オレの中にもともとあった感覚なんじゃないかな。だからこそ、UKのダブ・ステップシーンとリンクしたのは不思議な感じがするし。あと、ある時期からアブストラクト・ヒップホップとかエレクトロニカみたいなものが急につまらなくなって…。なんか悪い意味で抽象的というか、どれが誰の曲なのか分からないようなものが増えてきたような感じがしたんだよね。なんとなくドープな雰囲気に酔っているだけというか。

でも、ダブ・ステップも抽象的といえば抽象的ですよね?

いや、あれはベースラインにちゃんとメロディがある。オレ、こんな音楽を作ってて、「え?」と思われるかもしれないけど、メロディはスゴく重要なものだと思っていて。自分の曲にも、絶対メロディを付けるようにしているし。ダブ・ステップとかドラムンベースみたいなダークでヘヴィなインストゥルメンタル・ミュージックでも、良い曲には必ずメロディがある。シンプルなんだけど、力強いメロディがね。オレはそれがセンスだと思う。アブストラクト・ヒップホップでも、ダイアレックみたいな良いものには、やっぱりメロディがあるしね。

好きなメロディ・メーカーは?

ダブ・ステップだったら、デジタル・ミスティックかな。彼らのベース・ラインにはセンスがある。もちろん、HEAVYもそうだしね。

REBEL FAMILIA

REBEL FAMILIAの新作『Guns Of Riddim』はどんなアルバムに仕上がりました?

ものスゴい数のライヴをこなしてきたから、ふたりのコンビネーションのレベルがさらに上がっているし、オレに関して言うと、ちゃんとソロ・ワークからのフィードバックが生かされてるんじゃないかな。ファーストは、ノイズをやっていた頃だったんで、ビートもインダストリアルっぽかったと思うけど、『Mad〜』以降である、今回の『Guns Of Riddim』では、リズムがグルーヴィーになって、音の抜けも良くなったと思う。

では、最後に「Back To Chill」についてコメントをお願いします。

うん。今、ダブ・ステップに興味を持ってる人は多いと思うんだけど、やっぱりベースとドラムを聴く音楽だから、デカい音で聴かないと意味がない。その点、(会場の)「Saloon」は、ロー・エンド(低音のいちばん低い音域)もしっかり出るから、是非現場に遊びに来て欲しいね。

ダブ・ステップはまさに、現場じゃないと聴けないし、聴こえないアンダーグラウンドな音楽ってことですね。

その通り。あと、アンダーグラウンドってことでいうと、「Back To Chill」ではDJに、トラック・メーカーを積極的に起用してる。そもそも、オレもそうだし。なぜかと言うと、ダブ・ステップのDJの面白さって、ダブ・プレートなんだよね。いかに誰も持ってないダブ・プレートを持ってるかで、そのDJの良さが決まる。だって、その曲を聴きたいと思ったら、そのDJのパーティに行かないといけないわけだから。じゃあ、ダブ・プレートをどうやって集めればいいかというと、自分の曲とトレードするしかない。だからこそ、UKでは、DJ = トラック・メーカーだし。日本も、DJがトラックも作ることによって、よりシーンが発展すると思うんだ。DJだけやってたら、所詮向こうのシーンが作ったものをかけてるだけ。つまり、向こうのシーンの真似になっちゃうワケだし。だから、「Back To Chill」ではデモも募集していますよ。

Back to chill

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