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MINTDESIGNS | ミントデザインズ | Fashion Designer

シンプルでミニマルなフォルムに施された大胆なプリント。一見ポップでカジュアルに映る洋服には、よく見ると熟練の職人技、精巧なパターンが光る。自由な発想と小規模だからこその機動力で、家具や空間からプロダクトまであらゆるデザインをこなす“クリエイター集団”としての顔を持つファッションブランド、それがミントデザインズだ。立ち上げ当初より参加して来た東京コレクションでのランウェイショーも、今年3月に開催された07年春夏東京コレクションで10回目という節目を迎えた。新人から中堅へと進化しつつあるデザイナー、勝井北斗と八木奈央の2人に、現在の心境と今後のヴィジョンを聞いた。

Text:三浦達矢

まず、「ミントデザインズ」というユニットを組もうと考えたきっかけを教えて下さい。

八木奈央(以下Y):勝井と出会ったのは、ロンドンのアートカレッジ、セント・マーチン。クラスも趣味も違ったけれど、洋服以外の好きなものに、共通点が多かったんです。ボタン、マーケット巡り、本や雑誌などの印刷物。

勝井北斗(以下K):授業の課題でもコラボレーションしたりして意気投合していたので、自然な流れでしたね。

今年3月の東京ファッションウィーク期間中に発表した07-08年秋冬コレクションは、節目とも言うべき10回目のショーでしたが、立ち上げ当初と比べて何か変わった点はありますか。

Y:初めの数シーズンは、学生の頃に集積した知識やアイデアを表に出したいという欲求があり、それを発表していました。ただ、そこにはもちろん限界がある。ここ数シーズンは、むしろブランドを続ける中で興味を持ったものを形にするようになってきました。中でも、機屋さんなど生産に携わる職人さんに刺激を受けることが多いですね。

K:そうですね。学生時代に知らなかった技術に触発されます。テキスタイルにしても、学生の頃は、プリントはできても織りや複雑な刺繍にまでは踏み込めなかった。今は、職人と関わるようになって、その知識や技術に刺激を受けることが多く、それがここ数シーズンのコレクションには反映されていると思います。

ミントデザインズミントデザインズ

職人のどういう部分に最も影響を受けますか?

Y:知識や技術はもちろんですが、人としての部分も大きいと思う。同じ工場でも、担当者によって仕上がりや完成度は全く違います。こちらの投げた球を上手く受け取ってくれない人だと、やっぱり無難なものにしかならないけれど、会話のキャッチボールができる人だと、やり取りや作る過程も楽しくて、どんどん面白いアイデアが湧いて素晴らしいものができる。

お互いにとって、刺激的な存在だということでしょうか?

K:切磋琢磨し合っている部分はあると思います。専門家であれば、当然と思い込んで気にも留めないようなポイントに、その世界では素人の僕たちは、つい目を留めてしまう。そこから新しいものが生まれることもあります。

Y:今は職人も世代交代の時期ですが、次世代の若い職人がいる工場とは、仕事をしていても楽しい。物作りに対する意識レベルが高いし、体力と情熱両方を持っているから。いいものができあがると喜んでくれて、生産のパワーを感じます。

ミントデザインズミントデザインズ

以前に六本木で行なったショーでは、染め職人が観客の目前で実際にテキスタイルにプリントして見せるという趣向が話題になりました。何故あのような見せ方をしようと思ったのですか?

K:ライヴで何かパフォーマンスをして見せたい、という考えは当初からありましたが、ああいう形になるとは僕たち自身も想像していなかった。工場に出向き、実際に職人と触れ合う中で生まれたアイデアなんです。

Y:私たちは、大規模ブランドではないので、ふつうなら工場から優遇してもらいにくいのが現状です。だからこそ、現場に通うことが何よりも大切。直接職人とコミュニケーションを取ることで、融通を利かせてもらっています。交流が深まれば、情も湧く。こちらの情熱が伝われば、当たり前にできることの範疇を越えて、限界にまで挑戦してくれるんです。将来的には「ミントデザインズの作品であれば、採算は度外視してもやらせてもらう」と常に言ってもらえるレベルになりたいですね。

おふたり自身が職人肌だからこそ、ここまで職人にこだわるのでしょうか?

K:むしろ逆だと思います。職人的ではないからこそ、逆にその知識や技術に強い憧れがある。彼らへのリスペクトが、六本木のショーでもプリントの実演という形を取らせたのだと思います。

職人のパファーマンスもそうですが、会場そのものも含め、毎回ショーのプレゼンテーション形式に趣向が凝らされていますね。

K:シンプルなランウェイでモデルを歩かせるのが、洋服が一番きれいに見えるのは分かっているんです。ただ、あえてそうしたやり方を避けているところがある。小学校の廊下や、カフェでもショーをしました。カフェで発表したのは、ニッティングプロジェクトのコレクション。ペリエのボトルやワイングランスなど、観客席として使用したテーブルの上の小物を、すべてニットでくるみました。空間まるごとデザインする、それがミントデザインズ流です。

ミントデザインズ

今年3月に開催された最新コレクション(07-08年秋冬シーズン)のショーについて教えてください。

Y:テーマは「MIDNIGHT BOOK CLUB」で、会場はブックストアでした。2人とも雑誌や本などの印刷物が好きなので、いつか本屋でショーをしたいというのはずっと頭にあったんです。本に対する欲求を、ここですべて発散したかも(笑)。

K:今回は、まず空間ありきでした。ブックストアという会場が先に決まっていたので、逆にそこから洋服のデザインへのフィードバックもありました。例えばボリューム感のあるフリルは、本のページがパラパラとめくれるところをイメージしたもの。洋服のデザインを左右するほど、僕たちにとって空間は大切です。

ミントデザインズ

ところで、家具やプロダクトのデザインなど、ファッション以外にも積極的に活動されていますが?

K:ミントデザインズというのは、あくまでファッションブランドですが、ファッション第一主義ではないんです。トレンドも特に意識せず、あえてファッションを客観視しているところがあります。

Y:だからこそ、グラフィックや建築など、他分野のクリエイターから興味を持ってもらえる。彼らとの交流がまた新たな企画を産み、幅広いデザイン活動に繋がっています。

K:大きなビジネスには結びつかないけれど、雑誌企画のダンボールハウスの作成とか、ミラノサローネへの参加とか。ファッションという枠組みを離れた活動もミントデザインの一部ですから。

今ハマっていることを教えてください。

Y:子供服! パリの百貨店ボン・マルシェの企画展から話が始まりました。大人の洋服には使い辛いピンクなど、意外な色が売れるから面白いですね。

ミントデザインズミントデザインズ

海外進出についてはどう考えていますか?

K:今も海外ショップとの取引はありますが、アジアがメイン。もっと西洋人にも着て欲しいな。数シーズン後には、ヨーロッパやアメリカの都市にも進出したいですね。

Y:日本のバイヤーは、ミントデザインズの服はヨーロッパっぽいと言いますが、海外のバイヤーは日本っぽいと言う。ある海外のジャーナリストは、「いわゆるこれまでの代表的なブランドにはなかったものを感じる」とコメントしていました。意識していなかったことを気付かされるので、興味深いです。

自分たちが引退しても、ブランドを存続させたいですか?

Y:洋服をひとつのプロダクトとしてデザインして行く、という姿勢は、初めから変わっていないし、これからも変わらないと思う。洋服は着る人の日常に取り入れられ、その中に溶け込んで行くもの。ブランドそのものではなくても、ミントデザインズの遺伝子のようなものが、人々の生活の中に残って行けばいいかな、と思っています。

K:ただ、100年続く会社でありたい! 100年後も揺るがず残っているほど盤石な企業を目指しています。

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