
HIFANA | ハイファナ | Musician
00年代のクラブミュージックシーンを牽引する存在として国内外から熱い注目を集めるブレイクビーツユニットHIFANA。これまでにリリースした2枚のオリジナルアルバムと圧倒的なライヴパフォーマンスで高い評価を得ている彼らが、自身初となるライヴアルバム『CONNECT』をリリースした。プログラミングやシーケンスを使わない即興的要素の強いライヴパフォーマンスと、あらゆるサウンドをエディットし、精密に作り込まれたオリジナル作品のちょうど中間に位置する2.5枚目のオリジナルアルバムともいえる作品になっている。今回、この『CONNECT』のリリースに合わせ、HIFANAのメンバーであるKEIZOmachine!とジューシー、そして『CONNECT』の制作に関わったW+K東京LABの+cruzにメールインタビューを敢行した。
Text:原田優輝
サンプラーを楽器のように叩き、リアルタイムでビートを作っていくという現在の演奏方法が生まれたきっかけを教えてください。
HIFANA(以下H):元々2人とも同じベリーダンスのバックバンドとしてパーカッションをやっていたのですが、ステージでSEなどを出すためにサンプラーも使い始めたのがきっかけです。今では、ターンテーブル、DVJ、ハンドソニックやエフェクターもライブで使っています。
もともと様々な楽器な楽器に興味を持たれていたようですね。これまでに特に影響を受けたものがあれば教えてください。
H:玉と紐がついたシェイカーを手に持ってシャカシャカ振っている人、たまに野外の祭りとかで見かけますよね。僕達はアサラトって呼んでいるんですが、かれこれ10年以上ハマり続けてます。アフリカの楽器なんですが、これが楽しすぎ。お勧めします!
HIFANAの作品は音楽と映像が密接にリンクしていますが、ミュージックビデオなどの映像制作にはどの程度関わっているのでしょうか?
H:作品によってさまざまですが、出来上がるまでは何度も意見交換しつつ進めていく感じです。今回の『CONNECT』に関しては、音のテーマや内容をディレクターに伝えてからさらに揉んでもらい、MAHAROのキャラクター素材をW+K東京LABチームにがっつりと料理してもらうというやり方でした。


『CONNECT』(2007)より
『CONNECT』をリリースすることになった経緯を教えてください。
H:「様々な土地でのライブショットをまとめたライブDVDを出そう!」という話になったのがきっかけです。HIFANAとVJ GECがお届けするライヴステージを、家でも楽しく見れるような作品にしたいねとみんなで話し合いました。
ライヴアルバム『CONNECT』の見所を教えてください。
H:台湾とニューヨークでのライブアクトをメインとした遠征の様子や、新曲『CONNECT』を含むミュージックビデオが見所です。
+cruz(以下C):このアルバムは世界中で行われたHIFANAのライヴやバックステージ、歩んできた歴史、未発表映像などがミックスされ、HIFANAが何者であるかを幅広く見せています。今回はHIFANAのメンバーそれぞれのキャラクターを出したかったので、アニメーションを多用していた2ndアルバム『CHANNEL H』とは違い、彼ら自身の映像をより多く使い、リアルなHIFANAを見せています。
アルバムに収録されている新曲『CONNECT』はどのようなテーマで作られたものですか?
H:毎回アルバムのジャケットを始めとするHIFANAのアートワークを製作してくれているMAHAROが新しいHIFANAキャラを描いてくれたんですが、それが乳母車を押している子連れ狼みたいな2人だったんです。乳母車がスケボーのウィールを付けたショッピングカートで。そこから話が膨らんでいきました。


(左から)『カウマン(牛男)』、『KZOマシーン』
C:ライヴアルバム『CONNECT』をリリースするに当たって、アルバム名でもある「つながる」というコンセプトで、新しいミュージックビデオを制作しようということになりました。『CONNECT』とは、様々な方法でつながるということです。まず第一に、HIFANAのパフォーマンスを通して観客と彼らがつながることを表現しました。次に、ジューシーの兄であるMAHAROと新しいHIFANAのキャラクターを作りました。1人目はジューシーのキャラクターを反映した山育ちのカウマン(牛男)という名前のカウベルがついた新キャラクター。2人目はKZO マシーン(またの名をKEIZO)という様々な機器とつながるコードを手の指に持つ多目的ロボットです。彼はUSB、FireWire、RCAケーブル、その他のAV機器とつながっていくことが可能です。最後に、HIFANAの2.5枚目のアルバムともいえる作品『CONNECT』を通してより多くの人とつながりたかったのです。
『CONNECT』のミュージックビデオのコンセプトや制作過程について教えてください。
C:アルバムタイトル曲『CONNECT』のミュージックビデオを制作するにあたり、まずはこの曲に対するHIFANAの想いを聞くことから始めました。テーマはショッピング。買い物・大量消費に対する東京の人の執着やショッピングが人のアイデンティティを決めてしまうという事実を元に、ビジュアルを作っていきました。まずMAHAROと一緒にカウマンとKZOマシーンを創り出し、HIFANAとWOOG(共にMVを制作したデザイナー兼コ・ディレクター)と私で物語を作りました。日本の若者たちが持つ執着を、東京のシュールなショッピング体験を通して映し出しています。音楽はレコート屋、洋服はセレクトショップ、コレクターズアイテムはコレクターズ・ショップという風に。基本的に始まりは終わりであり、私たちが参加している永遠に終わらない悪しきサイクルを描き出しています。また、『Power Push Breakin’』では、HIFANAのパフォーマンスにユニークで理屈抜きのルックを与えるため、スパイカメラで撮影をしました。HIFANAのビートメイキングの秘密が分かるくらいに近い距離で映像を映しています。

『CONNECT』(2007)より
今回のライヴアルバムを筆頭に、映像制作などで密接に関わっているW+K東京LABとHIFANAの関係を教えてください。
H:良い刺激をもらえるバーガー仲間だと思っております。東京LABのみなさんにはいつも世話になってます!!
+cruzさんはHIFANAをどのようなアーティストと感じていますか?
C:HIFANAは“ビートジャンキー”なブレイクビーツ・ユニットです。彼らの最もユニークな点は、ステージ上での非常にフィジカルで魅力的パフォーマンス。アルバムで聴くと最高なんだけど、ステージでは表現しきれない、というバンドは多い。しかし、HIFANAはそのどちらも最高で、どちらかと言えばステージがより最高かもしれない。音と映像がシンクロした最高のVJ パフォーマンスと、「音楽をパフォーマンス」するともいえるやり方で、「クラビング」の意味を全く新しいものに塗り替えた。音楽の世界ではもはや一般的になったオーディオ・ビジュアル体験ですが、彼らは、自分たちの機材を通して音楽の技術と創造力を限界まで持っていく。簡単に言うと、HIFANAのような音楽を作り出す人は他にいない。彼らは次世代のDJであり、音のアーティスト。即興性を持たせた生のビートを作り出し、音楽に新しい意味を加えることで、進化を表現していると思います。

『CONNECT』(2007)より
HIFANAは海外でのパフォーマンスも日増しに増えているようですね。
H:ちょっとずつですが呼ばれるようになってきましたね。フォーマルな会合では調子に乗ってワインを飲みすぎてもゲップはこっそりと、放屁はスカしを心がけております。

ライヴだけではなく、一連の映像作品にも海外から高い評価を得ているようですね。W+K東京LABとして、今後音楽、映像分野にどのようなアプローチを仕掛けて行きたいと考えていますか?
C:そうですね。今まで私たちが制作してきたオーディオ・ビジュアル作品を集めたコンピレーションDVDをリリースしようと考えています。1枚目のコンピレーションは、東京の文化が与えている影響とエッセンスをビジュアル化したブックを伴った、今まで政策してきたミュージックヴィデオを集めたもの。2枚目は、NHKの番組『東京.NOW』のために制作した作品のコンピレーションです。この中には、私たちの実験的な要素や仕事を進め方のプロセスも詰まっています。1枚は完結したプロダクトとして、もう1枚はそこに至るまでのジャーニーを表現したものになります。また、近いうちに東京でエキジビションを開こうと考えています。
最後に、今作からメジャーに移籍したHIFANAの今後の抱負を聞かせてください。
H:全力投球フルスイングでいつもより多く傘を廻したいと思っております! 1st、2ndアルバムの制作で得たことを活かし、チーム一丸で作品もステージもより良いものをお届けしたいと思ってます。
HIFANAの初ライヴアルバム『CONNECT』のレビューはこちらから。

『CONNECT』(2007)より








