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JOHN WARWICKER(tomato) | ジョン・ワーウィッカー(トマト) | Artist / Art Director / Graphic Designer

映像、音楽、グラフィック、建築をはじめ、あらゆる分野で才能を発揮してきたtomatoの存在が、90年代のクリエイティヴ業界に与えた影響は計り知れないものがある。ジャンルの横断やクリエイティヴ集団という概念が、当たり前に語られるようになったのは、彼らの功績に拠るところが大きいだろう。00年代に入っても、活動フィールドを広げて続ける彼らは、昨年11月、とりわけ大きな人気を誇るこの日本の地で、アンダーワールドとともに、アーティストラインナップから会場のヴィジュアルクリエーションまでを総合的に演出したイベントOBLIVION BALLを成功させ、tomato健在を日本のファンにアピールした。今回、Public/image.は、同イベントのために来日したtomatoの中心人物に取材の機会を得ることができた。2008年の幕開けを飾るのは、tomato設立メンバーの一人にして、常にチームの中心で精力的な活動を続けるジョン・ワーウィッカーのスペシャルインタビューだ。

Text:原田優輝

昨年11月に幕張で開催されたOBLIVION BALLについて教えてください。

今回のイベントは、tomatoとその友人たち、そしてアンダーワールドとのコラボレーションが大きなテーマでした。コラボレーションには、ひとつの作品を皆で協力して作る場合と、それぞれの作品を同じ場所で展示するという方法があると思うのですが、今回は後者の方法による“アートジャム”をやりました。

具体的にはどのような試みだったのですか?

幅45m×高さ7mの壁を5分割して、サイモン(・テイラー)、カール(・ハイド)、友人のトオル、私、そして私の妻がそれぞれの作品を作っていきました。以前からやりたいと思っていた試みだったのですが、これだけ大きな壁を一日で埋められるか、そして完成度をどこまで高められるかという点に若干の不安があったので、今回まで持ち越されていたのですが、幸運なことにビートインクがこの話に賛同してくれたので、実現することができました。

JOHN WARWICKER

構想はどのくらい前からあったのですか?

この2年間程、アンダーワールドのメンバーと毎日作品を見せ合ったりしながら、真剣にこのイベントについての構想を練っていました。カールは、2000枚以上のイメージを携帯の写メールで送ってくれたし、リックに至っては、ハードドライブ1つ分程の作品を送ってくれました。そういうやりとりをずっと続けていましたね。

tomatoとアンダーワールドの関係はどのようなものなのですか?

私たちの間では、コラボレーションの「過程」が常に重要な意味を持っています。すでに17年間も、お互いの作品を共有するというプロセスを続けていて、私とリックとカールの3人に至っては、それを25年間もやってきています。今回のアートジャムもその延長から生まれたものです。私がロンドンに住んでいた頃は、tomatoのスタジオでお互いの作品を見せ合って、アップデートするという作業をしていたのですが、現在は私がメルボルンに住んでいるので、ネット上で作品の交換を毎日続けています。

JOHN WARWICKER

今回の試みを日本で実現できたことについて、どのような感想をお持ちですか?

こういうイベントを最初に日本で出来たことは非常にうれしく思っています。日本のオーディエンスの反応や会場の雰囲気は、非常に特別で心地良いものです。日本の皆さんは、私たちのことを好きでいてくれているし、とてもフレンドリーで礼儀正しいので、たとえペンキを被っても怒らないでいてくれるのがうれしいですね(笑)。イギリス人だったら、おそらくビール瓶を投げつけてくると思いますよ(笑)。また、今回の試みはスタッフの協力なくしては実現不可能だったので、彼らには本当に感謝しています。

確かに日本では、アンダーワールドやtomatoの人気は特に高いですよね。あなたたち自身、日本人と共通する感覚があると感じることはありますか?

言葉で説明することは非常に難しいのですが、同じ精神を共有しているという感覚はあります。tomatoには、ジョエル・バーマンというドイツ人のメンバーがいるのですが、彼は幼少期に神戸に住んでいましたし、サイモンの奥さんは日本人ですし、長谷川踏太にいたっては日本人ですからね。日本の文化というのは、tomatoのメンバーが皆、常に気にしていることですね。

JOHN WARWICKER

そういった日本文化の影響が作品につながることもあるのですか?

もちろんあります。私たちが感じている日本の文化や精神は、実際の日本人が感じているものと同じものではないのかもしれませんが、非常に感銘を受けているし、そこから発想が生まれることも多いです。ひとつの例として、私のパーソナルな体験をお話ししましょう。私のおじいさんは数学者なのですが、アートにも造詣が深く、書斎には18世紀のペインティングの本から数学書までさまざまな本がありました。子供の頃に、そこで葛飾北斎の画集を見たのですが、それが私のアートとの最初の接点なのです。

その時にはどのようなことを感じられたのですか?

当時まだ6歳だった私にとって、それはまったくの異文化でした。でも、一瞬にしてそれらが私の中に入ってきて、大きな刺激を受けたのです。有名な北斎漫画などもその時に見たのですが、レンブラントのような絵画とはまったく違い、今にも動き出しそうなほど繊細で生き生きとした描写がされていたことが衝撃でした。何千もの木版画や漫画を作った北斎のエネルギーを子供ながらに感じ、自分もそのようなアートをたくさん作っていきたいと思うようになったのです。

JOHN WARWICKER

確かにあなたたちがこれまでに制作してきた作品には、映像はもちろんグラフィック作品にしても“動き”が感じられるものが多いですよね。

そうですね。例えば、ペインティングの場合、その絵自体は動きませんが、ラインひとつを取ってみると、そこには制作者の視点や経験、背後にある生活が集約されていると思っています。そうした考えを持つようになったのも、北斎の絵に触れるようになってからです。また、彼が80歳の時に、「100歳になったらもっと良い絵が描けるようになるだろう」というようなことを話したそうなのですが、その言葉から自分のペースで制作を続けることの大切さを受け取りました。今の時代は、若い人たちが新しいモノに興味を示し、スゴいスピードで制作を続けています。ですが、そうした環境のなかでも、自分のペースで長く続けていくことは非常に大切だと思っています。

あなたはすでに長い間制作を続けてきていると思いますが、創作のモチベーションを保ち続けていられる理由はどこにあるのでしょうか?

ある朝起きた時に、もう続ける気力がなくなっているかもしれないということへの「恐怖」が、私を創作に駆り立てているのです。現在、tomatoのメンバーは全員家庭を持っていて、それぞれが家族を養なっていかなくてはなりません。そういった具体的な責任が伴ってくるなかで、自分自身が豊かであることと、自分の生活を豊かにすることのどちらかに傾くのではなく、その間の非常に細いラインを歩いているのです。

日々「恐怖」を感じ続けていることが、モチベーションを維持する助けになっているということですか?

そうです。年を重ねるごとに、ある瞬間にエネルギーを投入していくことは難しくなっていきます。私たちは、自分の父親や祖父のような格好はしていないし、気持ちも若いと言えますが、身体は確実に衰えています。でもそれは、30年、40年という経験が補ってくれているのです。幸運なことに、私たちは色々な世界を旅することができて、さまざまな刺激を受けるチャンスがあります。だからこそ、常に敏感になっている必要があるのです。例えば、このホテルの外にある石庭にしても、そのテクスチャやパターンにはリズムがあります。そして、それにインスパイアされてタイポグラフィや映像を作ることも可能なのです。そういった感覚は持ち続けていかなくてはいけないと思っています。

JOHN WARWICKER

これだけさまざまな表現が世に出ている現在、新しい表現を続けるための秘訣はあるのでしょうか?

ありとあらゆる情報や表現方法があるなかで、私たちは常に誘惑にさらされていて、そのなかに身を置いていると、自分の作品が作れなくなる可能性もあります。時には、世界から自分を隔離することも必要なのです。消費社会に取り込まれることと、新しい文化を創造していくことは、まったく異なることです。常に世界は変化していて、それを感じることはもちろん大切です。でも、そのなかで私たちが担わなくてはならないパートは、文化を創造していくということなのです。tomatoにしても、大きな世界の流れとリンクしている時期もあれば、ズレている時もあります。それは才能などとはまったく関係のない「環境」のせいでしかないのですが…。これまでもtomatoは世界と近づいたり離れたりしながら進んできているのです。

現在、tomatoと世界との距離はどのくらいあるのでしょうか?

最近のtomatoは、皆がエネルギッシュになっている時期なので、状況的には良い傾向にあると感じています。エネルギッシュに活動しているところには、周りも興味を示してくれますからね。

活動が再び活発になり始めている理由は、テクノロジーの進歩がもたらした新しい表現にあなたたちが可能性を見出しているというところもあるのでしょうか?

確かにテクノロジーを使った作品が作りやすくなったという環境は良いことだと思います。ですが、新しい技術によって、自分たちの創造性が制限されてしまう危険性もはらんでいます。例えば、PCのモニターが私たちの意思とは関わらず、工業製品の規格として、その画角が決められているように。テクノロジーが人間の考えや行動パターンをコントロールし始めている現実は、大きな問題でもあると思っています。人間の経験というものは、テクノロジーを使ってアウトプットされるものよりも、圧倒的に大きなものなので、それを制限してしまうことは非常に危険なことなのです。テクノロジーは便利なものではありますが、それはメディアではなく、あくまでも道具でしかありません。メディアというものは、自分の考える脳であり、身体なのです。

JOHN WARWICKER

tomatoの今後の予定を教えてください。

UNDERWORLDLIVE.COMで「BOOK OF JAM」というマンスリーマガジンを発行していく予定です。

最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

自分自身のオリジナルの道を見つけてください。

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