
□□□ | クチロロ | Musician
1998年、三浦康嗣を中心としたブレイクビーツ・ユニットとして活動を開始した□□□(クチロロ)。2006年に坂本龍一のレーベルcommmonsに移籍し、村田シゲの正式加入を経て、今年9月、大傑作アルバム『TONIGHT』をリリースしたことは記憶に新しい。12月5日に開催される「Public/image.FOUNDATION vol.2」への出演が決まっている彼らに、最新作『TONIGHT』から、学生時代の部活の話まで、気になる部分を色々と掘り下げてみた。
Text : タナカヒロカズ(OmegaTriibe)
早速ですが、個人的には、『TONIGHT』が本年度ベストディスクだと思っています。制作に取り掛かったのはいつ頃からだったのですか?
三浦:たしか表題曲に手をつけたのが、今年の3月あたり。いつもは、曲のストックが比較的あるんだけど、今回はほとんどなかったので、曲作りの部分からイチから作った感じですね。
制作にあたってのコンセプトはあったのですか?
三浦:前のアルバム『GOLDEN LOVE』が、かなりポップな作品だったので、今回は普通のテンションでありつつ、両極端があるアルバムにしたいというのがありました。歌モノはとことんキャッチーに、そうじゃない曲は「歌謡」というのを全く意識しないで作ってみようと。どちらの面もクチロロだし、一枚の中に両極端なものあった方が、逆に分かりやすいかな、と。
歌モノサイドとも言える表題曲『TONIGHT』のリリックは、特に衝撃的ですよね。「死んでみた」から始まるという…。でも、恐ろしくキャッチーな曲に仕上がっていますよね?
三浦:でしたね。やっぱりこの曲が一番大変でした。大体いつもトラックが先にできるんですけど、普通の、というか中途半端な歌詞だと負けちゃうな…と。だから、何か引っかかりのある歌詞にしないとというのがあったんです。曲が呼んでるっていうか、ある時にピンときたんですよね。でも、それはまあ難産でしたね(笑)。

アルバム全体を通して、ストリングスのアレンジが印象的に感じるのですが、あれは誰の手によるものなのですか?
村田:□□□のバンドで鍵盤を担当している横山君で、「曽我部恵一ランデブーバンド」なんかでも活躍しているメンバーに任せてました。
三浦:せっかくそこそこ制作費があるんだから、貧乏人っぽい発想で、「ストリングス入れちゃえ!」って(笑)。一枚を通して、要所要所で効いているかなと思います。
今回のアルバムから正式加入した(村田)シゲさんの作った曲も印象的ですよね。
三浦:最後のトラック『slightly confused Feat. ughhellabikini』はシゲが作った曲なんですけど、かなりゆる~い感じの曲で。アルバム作ってる間、ずっとこういうテンションだったんですよね。基本的に、自宅で作業してるので、朝方まで音作って、ダベって、飯食ってっていう日常のループ。
村田:確かにそんな感じだったね。結局、今日の作業は進んだのかどうかわかんないけど、素材は目の前にいっぱいあるっていう(笑)。いい具合のダラダラ感があの曲には込められてますね。

なるほど。アルバムの最後があの曲であることによって、いい意味で締まらないっていうか、またアタマのトラックに戻ってエンドレスリピート的な終わらない夏休みor文化祭前日感がスゴく出てますよね!
村田:それはありがたい意見ですね(笑)。
三浦:ずっとそのままパーティーみたいな(笑)
アーティスト写真もかなりユルい感じですけど、アルバムの制作の空気感そのままって感じなんでしょうね?
村田:そうそう、まんまあんな感じですよ。
三浦:そうだね、「とりあえず寿司食わせときゃいいだろ」って感じで(笑)。
村田:あと、モノポリーが一瞬僕らの間で流行って、ライブツアー明けで朝方都内に戻ってきたら、なぜか全員「モノポリーを無性にやりたい!」っていう謎のテンションになって、やる場所がなかったんで昼間っから、居酒屋のボックス席でやったりとかね。
三浦:そう、そんなこともあったね。で、その次のライブで札幌行った時に、モノポリーをホテルに忘れてきちゃって、しょうがないから新しいの買うかって。でも、英語版しかなくて、なんかイマイチ盛り上がんない感じで、僕らの中で廃れちゃいましたけど(笑)。なので、アー写で使ってるモノポリーをよく見ると、実は英語版になってるんですよ。「英語だからお洒落だろ」とか関係なくて、仕方なくなんです(笑)。

坂本教授の主宰する「commmons」だけに、YMOの『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』のジャケへのオマージュというのは深読みですか? 麻雀卓がモノポリーで、コーラが寿司っていう。
村田:あー、そう言われたら、確かに近い。
三浦:え? そうなんだ。特に考えてなかったです。寿司とモノポリー、好きなものが目の前にあればいいかって(笑)。
□□□と言えば、PVにも斬新な作品が多いですね。
三浦:色んなクリエイターにお願いしたら楽しいかなと。個人的にはあんまり映像詳しくないんですけど、最近はシゲがYouTubeで面白いネタを教えくれるので、積極的に見るようにはしてますね。

話は飛びますが、おふたりは中学・高校時代、「部活」は何をしていましたか?
三浦:え? 唐突ですね(笑)。僕はその頃アメリカだったから、スゴい色々でした。
村田:何それ(笑)?
三浦:いや、アメリカの部活って、季節によって変わるんだよ。一年中同じ部活ってことはないの。野球部とか陸上部は春しかやらないし。
村田:飽きっぽいにも程があるね(笑)。
三浦:いやいや、そういう意味じゃなくて(笑)。だから僕は、秋はクロスカントリーで、冬はバスケットボール、春は野球。バスケはそんな上手くなかったけど、野球は割と出来た。脚速かったし。
村田:え、脚速いんだ! それもうちょっとアピールしてこうよ、ライブとかで(笑)。
三浦:「オレ、脚速えーんだぞ!」って(笑)? シゲは?
村田:僕は、中学で最初バスケ部に入ったんだけど、最初の2ヶ月とかひたすら「球拾い」ってものをさせられるわけですけど、先輩はあんなにシュート打ってんのに俺なんもできねーじゃんって…。人生的にかなり過酷な体験だったんですぐ辞めて、その後は体操部に入ったんだよね。
三浦:お、んじゃあれ? グルグルグルーって?
村田:そうそう、大車輪ね。鉄棒と手の間にスポンジ巻いてると、ずっと回れるんだよね(笑)。


(左) 『TONIGHT』(2008/commmons)、『snowflake』(2008/commmons)
意外にもかなりアクティブな学生時代だったんですね。その後、音楽を始めたきっかけは?
三浦:高校の頃には日本に戻ってたんで、普通に「学園祭でバンドやるか!」ってなって。アメリカにいた時に、友達の家にドラムがあって、それを叩いてたら結構楽しかった思い出があったので、最初はドラムをやってました。でも、その頃からレコードとかを買うようになって、大学に入る頃に、バイトしてターンテーブルとミキサーを買い揃えたんです。そのうちサンプラーも導入して、□□□が始まるわけです。それくらいの年頃って、他にそんなやることもないじゃないですか。バイトでお金貯めて、女か酒かサンプラーって感じで(笑)。
(笑)。サンプラーはやはり「MPC-2000」ですか?
三浦:そうですね。あれで劇的に変わりましたよね。ループの組み方とかもスゴく簡単だし。普通に手に入れやすい値段でしたしね。

ライブの形態も色々と変化してきていますよね?
三浦:そうですね。初期のターンテーブル、サンプラー、マイクみたいなDJセットでのライブから始まってね。
村田:僕が□□□をサポートし始めた去年あたりのライブの編成は、バンド形態という感じで、ステージにメンバーが7人いたりしたしね。
三浦:でも、生バンドがサンプラーを足しましたみたいな形態はカッコ悪いなと前から思っていて、サンプラーがバンドの根幹にあるというか、サンプラーの個性を最大限に活かしたライブを最近は心がけていて、やっとしっくりしてきたなという手応えはありますね。
ステージでは、曲によってメンバーがメインの楽器とサンプラーを持ち替えて演奏してみたり、目まぐるしく変化していきますよね?
村田:そうですね。ステージセットの中央にサンプラーがセッティングされていて、曲によって僕やシゲ、鍵盤の横山君がサンプラーを操作するので、「何やってるんだか分かんないけど、なんかスゲー」って感じでお客さんも楽しんでもらえたら嬉しいです。
三浦:でも僕的には、歌うこととサンプラーを操ることと鍵盤を弾くことと、使う頭の回路が全部違うんで、結構大変ですけどね。ステージ終わった後に、今日は歌と鍵盤は良かったけど、サンプラーの演奏ミスったとかでヘコむこともありましたけど、最近はようやくバランスが取れるようになってきたという感じです。
それでは最後に、「Public/image. FOUNDATION Vol.2」への意気込みをお願いします。
三浦:とにかくステージを走ってみるのもいいかも。「脚速いぞ!」アピールで(笑)。
村田:いやいや、UNITのステージそこまで広くないから(笑)。









