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DRITT DRITTEL | ドリット・ドリッテル | Musician

分かりやすく例を挙げるなら、900のサンプリング・ピースをコラージュして作り上げたアヴァランチーズの名作『Since I Left You』。そのピースを生演奏で、さらにはミックスCD感覚で展開させながらコラージュしていったのが、DRITT DRITTELLこと黒木俊介のデビュー・アルバム『Lektion No.1』だ。コーネリアスのリミックス・アルバム『PM』に収録されたリミックスで一部のディープなリスナーに反響を巻き起こした彼はその後、アルバム制作をスタート。6年の歳月をかけ、少しずつ手を加えながら、はたまた、ハード・ディスク・レコーディングの利点を生かしながら、ユニークなコラージュ・センスやポップ感覚を育んできた。果たして、楽曲の断片を用いて彼が描こうとした絵は何だったのか?

Text:小野田雄

CORNELIUSのリミックス曲『another psychedelic point remix』が世に出たのは今から6年前、2003年ですよね。

はい、23歳の時ですね。その後、作品リリースの話もあったんですけど、なんだかんだ色々ありまして(笑)、今回のアルバムまで6年かかってしまったっていう。

リミックスをしているくらいですから、もともとCORNELIUSはお好きなんですよね?

そうですね。1stアルバムの『FIRST QUESTION AWARD』を聴いて以来、CORNELIUSが好きで音楽を作り始めたところはあるので。小山田さんって、作品ごとにモードが違うじゃないですか。僕はそこが好きなんですよ。

音楽を作り始めたのはバンドで? それとも一人で?

最初はバンドをやりたかったんですけど、メンバーが見つからなかったので、しょうがなくMTRを使って一人で作り始めて、CORNELIUSのリミックス・コンテストのタイミングで急遽PCを揃えて、そこからPCを使って曲を作るようになったんですけど、PCの音楽制作って、MTRの作業が画面上で視覚的に分かりやすくなった感じなので、制作スタイルの移行もスムーズでした。

DRITT DRITTEL

アルバムを聴かせて頂いて、コラージュ感覚というか、PCで走らせる音楽制作ソフトの時間軸と画面スクロールが一体化した視覚的な音楽制作に影響を受けた作風という印象を受けました。音楽制作のプロセスを教えてください。

昔は普通にギターで曲を作ってから録音していたんですけど、PCで作るようになってから、リズムだったり、メロディの断片だったり、思いついたものをまずは適当に録音して、そこに音を重ねて一人でセッションしながら、断片をまとめて曲にしていく感じです。コラージュ感覚に関しては、世代的なものというか、聴いているものも昔から一つだけを掘り下げてというより、並列して広く浅く聴いてきましたからね。

では、DRITT DRITTELの音楽的なルーツというと?

ルーツと言われると、コーネリアスとしか言いようがないかな。あとはそうだなぁ、僕、ミックスCDが好きなんですよ。曲の展開が多くなってるのは、その影響があるかもしれない。ミックスCDっていうと、基本的には人の曲を繋いだものですけど、僕の場合は自分が作ったものを自分で繋いだ、みたいな。

1曲の中に何曲分かの要素が入っているわけですね。

そうですね。曲って、ある程度までは簡単に作れて楽しいんですけど、そこから煮詰めていく作業が自分にとっては難しくて。だから、簡単に出来るまでのパーツを大量に作って、それを繋げていくっていう。そうやって作っていったら煮詰まることなく、自分で楽しめるんじゃないかなって

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このアルバムは、どの曲もガイドラインになる主旋律が最初から最後まで一貫して流れているわけではないですし、いいメロディを紡ぐことに重きが置かれていなくて、むしろ、それを壊すような、意外な曲展開が特徴的ですよね。となると、曲作りはぼんやりした全体のイメージを具現化していく作業だったりするんですか?

ああ、そういうことはあまりないですね。しりとりではないんですけど、子供の頃にテスト用紙の裏に落書きをしている感じというか、その場その場で出た音を聴いて、そこで浮かんだ音を新たに重ねていくんです。しかも、それはまとまった作業というより一日一日ちょっとずつ進めていった感じなんですよ。まぁ、あとは性格的にひねくれているんでしょうね(笑)

ひねくれていると言えば、1曲目はソフト・ロック・バンド、ミレニウム『Prelude』のカヴァーで始まるじゃないですか。この曲を取り上げたのは?

今まで聴いてきたアルバムの中で最高の1曲目って何があるかな?って考えた時、ミレニウムかなって思ったのと、ちょうどその時、友達とスタジオに入って遊んでいたりしたので、ちょっとやってみようかなって。ただ、当時は作品をリリースするとか、そういうテンションでもなく、純粋に遊び感覚のカヴァーですよね。

それから2曲目の『Tutti Furutti』は P.I.L.の『RISE』をカヴァーしようとして、こちらの場合はやっているうちにオリジナルが出来てしまったんですよね。

そうですね。この曲って1曲目とテンションが一緒で、カヴァーで10曲くらい録ってみようと思っていた時に出来た曲なんですよ。でも、こっちの場合は途中で挫折してしまったっていう(笑)

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かと思えば、『Pancaked2(5MCs&1GUITARHYTHMIX)』では頼まれたリミックスを自分の曲にしてしまったり。

あ、そうですね。コーネリアスのリミックス・アルバムに同じく収録されたMC CAT GENIUS & Channing Kennedyからリミックスを頼まれたので、オリジナル・パートのラップだけ使って、あとは自分で作ったんですけど、出来が良よくて気に入ってしまったので、自分の曲として強奪させてもらいました(笑)。

カヴァーとかリミックスって行為自体はどう思われます?

リミックスはあまり頼まれたことがないので何とも言えないけど、…やってみると面白かったりはするんですけど、今って、リミックスで面白い曲がないような気がするというか、あまり興味がないかもしれないですね。メガミックスは好きだったりするんですけど、基本的にはちょっと飽きてるかな。

さらに1曲中の音の質感やそこから浮かぶ風景もパーツごとに異なっていますよね。

そうですね。このアルバムに入ってる曲は長らく世に出すことがなかったし、家で作っているからいつでも修正出来るので、例えば、作りかけて途中で止めた曲をその3年後にまた手を加えるっていう作業だったので、そうなるとやりたくても毎回同じ質感の音って出せないし、気分もその時々で違うじゃないですか。だから、そこは逆に開き直って、意外な展開で聴かせる作品にしようっていう発想なんですよ。もし、まとまった制作時間をもらえて、ちゃんとした録音環境でレコーディングが出来るなら、そういう曲も作ってみたいなとは思いますけどね。

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今おっしゃった制限のある環境でレコーディングするなら、全て打ち込みで整合感のあるトラックを作るという選択肢もあるかと思うんですけど、このアルバムは演奏の質感を残した凹凸ものになっていますよね。

もともとバンドを組みたかったくらいなので、演奏はしたいんですよ。なおかつ、ホーム・レコーディングの空気感を出したかったっていうことはありますね。

アルバム1枚のイメージって、何かありました?

長い期間の作品をまとめた感じなので、自分の中では、ドキュメンタリー作品なんですよ。あと、うるさい曲はすごくうるさくて、静かな曲はすごい静かだし、遅かったり早かったり、そういう極端な要素を入れたいなとは思ってました。

このアルバムは、長期間の制作期間をドキュメンタリーの形でまとめるポジティヴな発想の転換があったわけですが、今後作りたい音楽の理想像について教えてください。

ギターの弾き語りですかねぇ。ギター1本だけで成立する曲。今の僕だとテクニック的に問題がありますが、もうちょっとシンプルな音楽も作りたいなって思いますね。

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