loading...

PUBLIC-IMAGE.ORG

Creators Dictionary for Realtime Culture

  • PUBLIC-IMAGE.STORE
  • PUBLIC-IMAGE.3D

TAKUMI SHIGA | 志賀 匠 | Video Director

専門学校在籍時より、テレビ番組のオープニング映像やミュージックビデオを制作するなど、新世代クリエイターとして早くからその才能を発揮してきた映像ディレクター、志賀 匠。ひとつの作風に偏ることなく、CGから手描きアニメーションまで、幅広いアプローチを自在に操る彼は、その独自の感性で映像に生命を吹き込み、日常と非日常の狭間に、ファンタジーワールドを創り出す。近年、TVCMの世界などにも進出し、ますますその存在感を強めている彼に、創作の源泉を探るべく話を聞いた。

Text:原田優輝


映像に興味を持ったきっかけを教えてください。

最初のきっかけは、高校生の頃に見た『トイストーリー』なんです。それを見て、「CGって面白そう!」と感じたのが始まりでしたね。それまで見ていた2Dのアニメーションとは違って、スゴく新しく見えたんです。

『トイストーリー』以前は、映像というものを特に意識していたわけではないのですか?

僕は地元が北海道の富良野なんですが、小学生の頃に駅とかに行くと、普通に『北の国から』の撮影がやっていて(笑)、面白そうだなと漠然とは思っていました。ただ、自分で作ってみようと思ったのは、やっぱりCGに出会ってからですね。

では、映像を始めた当初は、特に「ミュージックビデオを作りたい」という思いがあったわけではなさそうですね。

そうですね。ピクサーに入りたかったんですよ(笑)。ただ、ある時、田中秀幸さんがディレクションした電気グルーブの『Nothing’s Gonna Change』のミュージックビデオを見て、「カッコ良い!」と思ったんですね。『トイストーリー』とはまったく違うアプローチでCGが使われていたんですけど、その作品を見たことがきっかけで、ミュージックビデオを作りたいと思うようになったんです。

shiga

専門学校時代からすでに仕事として映像を作られていたそうですね。

学生の頃に作っていた自分の作品を持って、北海道のテレビ局に売り込みに行ったんです。それから少しずつ番組のオープニング映像などを作るようになりました。それが20歳前後の頃ですね。今見るとヒドい出来なんですけど…(笑)。そこでは映像を作るだけではなく、クリエイターにフォーカスした番組に出演したりもしていました(笑)。当時は、オリジナルの作品を作る時なんかでも、脚本からアテレコまでやっていたし、何でも自分でやっていましたね。

ミュージックビデオを初めて手掛けたのはいつ頃ですか?

ちょうど学校を卒業する前後の頃だったと思います。北海道のインディーズバンドのミュージックビデオを、実写とCGを混ぜて作りました。その後、北海道時代に知り合ったミズモトアキラさんから、映像ディレクターの児玉裕一さんを紹介して頂いて、児玉さん頼りで上京しました。東京に着いて、本人に挨拶したら、「じゃあ明日から来て」と言われ(笑)、そのまま手伝うようになりました。そこでしばらくお手伝いをしながら、制作会社なども紹介してもらったりして、自分の作品も作るようになりました。

児玉さんとの仕事を通して、どのようなことを学びましたか?

良い意味でスゴく厳しくしてもらえたし、吸収するものは多かったですね。一番勉強になったのは、細かいテクニック云々ではなく、考え方の部分。このアーティストをアピールするためにはどういうアプローチを取れば良いかとか、そういうことを身近にいさせてもらったことで、色々学べたと思っています。

shiga

ミュージックビデオを作る時は、どのようなところから考えを膨らませていくことが多いのですか?

まず最初に曲を聴いて、その曲の雰囲気を感じることがやっぱり起点になりますね。僕の場合は、歌詞にフォーカスを当てて聴くのではなく、曲を通した流れとかグルーブ感を重視して聴きます。ずっとその曲を流しながら考えていると、「こういう映像が合いそうな曲だな」というイメージが浮かんでくるんです。

志賀さんの作品には、どこか非日常的で不思議な世界観を持ったものが多いですよね

ファンタジーとか、夢いっぱいなものに惹かれるんです(笑)。もともと、日常とはちょっと違う変な感じが好きなんです。だから、作品を作る時でも、ちょっとハズれた世界だったり、現実っぽいんだけど何かがオカシイというものを作ろうとすることが多いですね。でも、日常から大幅に飛躍してしまうと、途端にダサくなってしまうんですよね。場合によっては、そういうものもアリだとは思うのですが、そのさじ加減がなかなか難しいんですよね。

shiga

そのような世界観を作る上で、志賀さんの持ち味でもあるCGは重要な役割を持っているように思うのですが、映像作りにおいて、CGをどんな位置付けとして考えていますか?

昔は結構派手なCGを作っていたんですけど、最近はあくまでもひとつのツールとして考えるようになりました。だから、例えば「今回は3Dで何かをやろう」というように、先にツールを考えていくことはないですね。自分にとってCGは、武器というよりは、十得ナイフのひとつといった感じです(笑)。例えば、クライアントにCGを求められたとしても、その曲には実写の方が合うと思えば、そっちを提案することもあります。

志賀さんと同世代、もしくはさらに若いクリエイターたちには、普通にCGを使えるスキルを持った作家が多く、それ自体はもはや特別なことではなくなっていますよね。そのなかで、CGを使う際に大切にしているポイントがあれば教えてください。

僕が作っているCGも、それ自体は割とみんなが普通に作れるものだったりします。要は、それを実写の中にどう絡ませていくのかとか、そういう入り方の部分で他とは違う感じが出せたらいいなと思っています。

今でもCGはすべて自分で手を動かして作っているのですか?

最近は人にお願いすることも増えましたが、自分がやった方がいいと思うところは今でもやっていますし、基本的には手を動かすタイプなんだと思います。そうすることで、新しいものがどんどん自分の中に入ってくるんですよね。

shiga

ミュージックビデオは年々予算が縮小されていますし、明るい話題を聞くことが少なくなっていますが、志賀さんにとって、ミュージックビデオとはどのようなメディアなのでしょうか?

僕らの世代や、さらに若いディレクターなんかにしてもそうだと思うのですが、ミュージックビデオは、映像の入り口として一番入りやすいメディアだし、しかも力も付けやすいフィールドなんです。アーティストも、メジャーからインディーまで色々な人たちがいるし、CMなどと比べて表現も自由で、一発で目立つことだってできる。アーティストには失礼かもしれませんが、映像の考え方を学ぶ上でとても重要な場だと思うし、なくなってほしくないなと思いますね。

一方で、最近ではCMも色々手がけられているようですが、ミュージックビデオとはやはり大きく違う世界なのでしょうか?

基本的にミュージックビデオの場合は、アーティストやその曲をいかにカッコ良く見せるかということに重点をおいて考えていきます。一方で、CMの場合は、ミュージックビデオ以上に売り上げの問題などがダイレクトに関わってくるので、企画の自由度というのはやはり違います。ただ、対象をいかに面白く見せて、観る人に刺激を与えられるか? より多くの人に注目してもらえるか? ということは常に考えていて、その部分はどちらにしても変わりません。僕にはあまり自分がアーティストという意識はなくて、あくまでも一ディレクターであり、エンターテイナーでありたいと思っています。分かる人だけに分かってもらえればいいという投げっ放しの作り方はイヤなんです。

shiga

最近手掛けられた作品についてもいくつか教えてください。

NHK「高校講座 ベーシック10」の映像を企画から手掛けました。中学までの学習を、英語・数学・国語を軸に楽しく学習できる1分クリップを紹介していく番組で、僕は1分間の英語ラップの映像を5本作りました。ラップ自体も出演アーティストのゴリラさんと共同で制作したんです(笑)。CMなどでもそうなのですが、企画から提案する仕事は割と多いですね。そういうところで自分が求められているのは、ちょっと悪ふざけしている感じというか、まあ、「かませ犬担当」みたいなところがあるんですよね(笑)。もちろん採用されない企画も多いのですが、そういうことを考えながら作る方が楽しいですからね。あと、まぼろしというアーティストのミュージックビデオも作りました。こっちは「ときめき」をスローで表現してみました。それがどんどん過剰演出になっていくというちょっとオバカな内容になっています(笑)。

最後に、将来やりたいと思っていることなどがあれば教えてください。

短編でも連続していく作品でもどちらでもいいのですが、ファンタジーと毒っ気のある夢のような壮大な作品を作ってみたいですね。あと、映画もいつか作ってみたいです。

shiga

shiga

DICTIONARY

RELATED