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1-10 design | ワン・トゥー・テン・デザイン | Web Design Office

「本コンテンツは音声でデザインしています」というガイダンスが流れる1-10 designの自社サイト。音声によって会社案内を行うWebサイトという目から鱗のアイデアで注目を集めたことも記憶に新しい彼らは、京都を拠点に活動するWeb制作会社だ。「ウェブデザイン」「モーションデザイン」「インタラクションデザイン」という3本のクリエイティブの柱を軸に、斬新な発想と高い技術力を融合させた数々のサイトを世に送り出し、07年には東京支店も開設するなど、その注目度は急速に高まっている。そんな彼らの活動と、その背景にある思想を探るべく、東京支店のチーフディレクター中西圭吾とディレクター大石淳司の2人に話を聞いた。

Text:原田優輝


1-10 design設立の経緯を教えてください。

中西(以下N):1-10 designは、代表の澤邊芳明が97年、24歳の時に設立した会社です。彼は、大学在学中に、京都の地域活性プロジェクトに関わるNPOの理事を勤め、イベントや広報を担当していました。95年よりHTML/Perl言語を使用したサイト制作の技術とまちづくりのプロモーション経験が融合し、会社設立へといたりました。人が増え始めたのは5年目くらいからです。京都のプロダクションなので、お客様は在阪の企業が多かったのですが、設立後6年くらい経った頃に、当時よく手掛けていた採用系の案件などをWeb関連の雑誌などに取り上げて頂くようになり、その辺りから評判が口コミ的に広がっていきました。

東京に支店を開設したのはいつ頃ですか?

N:徐々に東京の代理店からの発注が増えてきたこともあり、一昨年、支店を作りました。最初の1年間は自分一人でしたので、ディレクター職ではあるのですが、企画営業なども兼ね、色々なところにメールを送っては営業に行かせてもらったりもしていました。そこから徐々にお話を頂けるようになってきて、今は京都と東京の仕事が半々くらいという感じですね。東京のスタッフも、新たにディレクター、デザイナー、フラッシャーなどが加わり、現在では計6名になりました。

1-10 Design

会社全体の規模はどのくらいになりますか?

N:総勢33名です。制作は主に京都本社でやっています。組織は、「ウェブデザイングループ」「モーションデザイングループ」「インタラクティブデザイングループ」「プランニングマネジメントグループ」に分かれていて、内部でワンストップで制作し、さらにプランニングの部分から提案できる体制を敷いています。外注をあまりしないというところは、うちの大きな特徴かもしれません。もちろん、コピーライターやカメラマンなどは外部と提携していますが、基本的には自分たちでやってしまう、というか、やってしまいたいんです(笑)。

内部で制作することのメリットはどんなところにありますか?

N:やはりデザインを作ったらそれで終わりというわけではなく、例えばそこに動きが加わってきた時に、トライ&エラーを繰り返すことが必要になってきます。でも、外注スタッフとやっていると、現実的な問題などがあって、細部まで突き詰めきれなかったりするんです。その点、社内でやっていると、例えばボタンひとつ付け替えたいというような時でも、すぐに修正ができます。逆に言うと、時間の中でいつまででもできてしまうので大変でもあるのですが、やっぱりその方が結果的に良いものができることが多い。もちろん外部とのコラボレーションもスゴく刺激的だし、思いもよらない良いものができることもあります。ただ、それでもやっぱり社内で全部やっていくことは強みになるし、クライアントから見ても、窓口が統一できるし、スムーズに進めることができるというメリットもあると思います。

1-10 Design

社内は4つのグループに分かれているとのことですが、具体的にはどのようにプロジェクトを進めているのですか?

N:プロジェクトごとにチームを組んでいます。まずディレクターがいて、そこにデザイナーやFlashクリエイター、プログラマーが入るという感じです。特にチーム編成が固定化されているわけではなく、案件に対する相性などを見ながら、毎回フラットにやっています。流れとしては、最初に案件のお話を頂いた段階で、プランニングマネジメントグループで集まり、その案件に最適なスタッフを選出します。それからはデザイナー、Flashクリエイターなど、実際に手を動かしていくメンバーも加えて、できるだけたくさんの人間で集まってアイデアを出し、一気に制作していくという感じです。制作の具体的な進め方は、ディレクターごとに結構違うと思います。

大石(以下O):社内では、「それぞれの個性を活かしていく」ということが徹底されているので、特に「こういうやり方をしなくてはいけない」という決まりがないんです。

N:みんなかなり自由にやらせてもらっていると思います。ディレクターがトップにいて、その指示で制作陣が動いていくというよりは、各スタッフが個々に考えながらやっていますね。

O:また、例えばフラッシャーでも、万能型のフラッシャーを目指すのではなく、そのスタッフが得意な表現を突き詰めていくようにしています。

N:うちは、異業種から入ってくる人間が結構多いんです。例えば、僕ももともとはグラフィックデザイナーでしたし、映像をやっていた人間なんかも多いですね。うちでは、テクニカルな部分だけではなく、センスの部分もスゴく大事にしていますし、色々なスキルを持った人たちと仕事をしていきたいと思っています。よく言えば柔軟、悪く言えば適当な感じですね(笑)。たとえば、面接の時なんかでも、いきなりイラストを描いてもらったりするんです。その時にすぐに対応ができる人と、「一回持ち帰っていいですか?」と言う人がいる(笑)。そうした瞬発力や対応力、フィジカルな感覚みたいなところも重視していますね。

O:「直感を信じる勇気を持て」ということは、社内でもよく言われることですね。

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京都を拠点していることでのメリットがあれば教えてください。

N:良い意味で東京との距離感があるということですね。京都は、時間の流れ方がかなり特殊な街なんです。東京は日本の広告の中心だし、大切なお客様もたくさんいるのですが、せっかくWebをやっているので「世界」という規模で考えてみた時に、必ずしも東京が中心ではないと思うんです。そうなった時に、「京都」というのはある意味スゴく大きいと思うんですね。京都を軸にということは、これからも変わらないと思います。あと、関西圏ということも大きいかもしれないですね。関西弁って「ボケ」と「ツッコミ」があって、スゴくインタラクティブなんですよ。関西人の会話で必ず出てくるのは「で、オチは?」ということ(笑)。関東の人からしたら、「何ですべての会話にオチがなきゃいけないんだ?」って思うかもしれないですけど(笑)。基本的に僕らが作っている作品にも、「オチ=ストーリー」を付けたいと思っています。だから、たとえ技術的に素晴らしいサイトがあったとしても、「で、オチは?」って聞きたくなっちゃうんですよね(笑)。

発想の面白さや柔軟性も1-10 designの大きな魅力になっていると思います。

N:基本的に、「どうやったら面白くなるのか?」というところがベースにあります。自分たちで考えるアイデアはもちろんですが、頂いたアイデアにしても、「絶対に面白くなる」という確信のもとで制作をしています。仕事の種類によっては、先にマス広告があったりして、ビジュアルがほとんど触れないなど縛りが多いこともありますが、そういう場合でも、その中でできる最大限のアイデアを提案しています。だから、場合によっては、あまり言うことを聞かない制作会社と思われることもあると思います(笑)。僕が担当させて頂いた「BUILDUP!」というサイトも、最初は「建築音が音楽になる」というコンセプトだけがあったのですが、それをもとに、ユーザーインターフェースからサイトのデザインまでを考えてご提案させて頂きました。発注された方が最初にイメージしていたものが「あれ、こうなっちゃったの?」というところに落とし込まれているような作品が、うちは結構多いかもしれないですね。

1-10 Design

Web広告の現状や今後の可能性などについて、何か感じていることがあれば教えてください。

N:ずっと考えていることなのですが、なかなか明確な答えが出ないんですよね。少し乱暴な言い方かもしれないですが、クライアントさんもWebをどう使っていったらいいかスゴく悩んでいる時期のような気がします。ただ、技術的に新しいものを作ることがスゴいという時代は終わったと思うので、その先が重要ですよね。それがさっきの「オチ」の話にもつながると思うのですが、「ちゃんとオチているのか?」もしくは、「オチていないのなら、なぜオトしていないのか?」というところになってくると思うんです。キーは、「エクスペリエンス+ストーリー」と考えています。作品がスゴくキレイでも、それによってお客さんが増えなかったら仕方ないと思うので、ちゃんと成立しているもの、さらに、広告としての役割だけに終わらないようなものが作れたらとは思っています。

Webサイトへの導線作りというところもより求められるようになってきていると感じます。

N:そうですね。スペシャルサイトに来てもらうために、リスティング広告等が大量に必要というのは健全ではないし、本末転倒な気はします。よく澤邊が「ストーリー」と言っているものがあって、それは物語のことではなく、どういう導線で見てもらうかという流れのことなんです。CMや紙の広告では当たり前のように考えられていることなのですが、Webでは意外にそれがされていないと思うんですね。その場所に適したものを提案したり、導線を作っていくという作業は、これまでは代理店の領域だったと思うのですが、最近はそこまで求められてきている感はありますね。例えば、その商品がWebよりも雑誌や駅貼り広告で展開した方が良い場合も当然あると思うんです。だから、Webだけではなく、リアルな場も含めて総合的に提案していけるようになりたいと考えています。

今後は、Webデザイン以外の分野にも進出していく予定なのですか?

N:もちろんイベント連動やデジタルサイネージ、モバイルなどにも興味はあるし、クロスメディア的な感覚でフラットに捉えていけたらとは思っています。ただ、うちはやっぱりWeb制作会社なので、その軸はズラしちゃいけないなとも感じています。やっぱりWebには、スゴい力があるんです。Webは世界への窓口として色々な人や場所とも繋がっていけるメディアだと思うし、それが基本であり、最大の魅力であるということはずっと変わらないと思うんです。そこを信じて、我々は進んでいきます。



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