
magma | マグマ | Creative Unit
武蔵野美術大学の空間演出デザイン科の同期である杉山純と宮澤謙一によって、2008年に結成されたmagma。新旧様々な素材を手作り感覚でコラージュ的に組み合わせ、幻想的かつクレイジーなインスタレーション作品などを創り出す新進気鋭のクリエイティブユニットだ。まだキャリアをスタートさせたばかりにも関わらず、すでにいくつかのショップから什器制作のオファーを受けるなど、その独自の世界観は今後さらに広がっていきそうな気配だ。Public/imageも注目するニューカマーのインタビューを、どこよりも早くお届けする。
Text:原田優輝
まずはおふたりのバックグラウンドから教えてください。
杉山(以下S):僕は高校生の頃から洋服を作りたいという気持ちを持っていたんです。例えば、BLESSなど、少しアート寄りというか、ファッションという枠にはまらないもの作りをしているデザイナーが好きだったこともあり、ファッションだけではなく色々なことを学べる環境ということで美大に進むことにしました。ただ、ファッションを学べる美大というのが、武蔵野美術大学の空間演出デザイン科くらいだったので、そこに入り、宮澤と知り合うことになりました。
宮澤(以下M):僕は昔からストリート系STAR WARSのフィギュア、トイなどが好きで、予備校時代には、講師だったアーティストの中村哲也さんのアシスタントも少しやっていたんです。そこで巨大なオブジェの制作やカスタムペイントなどを手伝っていくうちに、そういうものに憧れるようになり、自分でも何か大きなものや好きなものを作りたいと思うようになりました。大学に進んでからは、僕も杉山もニ浪していたことなどもあり(笑)、割とすぐに仲良くなり、2年生の芸術祭の時に、僕ら含め5人の仲間でミニ四駆を使った展示をしたんです。その時は、改造したミニ四駆で大会を開いたり、Tシャツやバッグなどのグッズなんかを作ったりしました。
S:それがかなり楽しくて、それからは何かイベントがあるごとに一緒にやるようになりました。

「Monster Chair」
magmaを結成したのはいつ頃なのですか?
M:bombersという5人のグループでしばらく色々やっていたのですが、就職のタイミングでそれぞれ別の道に進むことになり、magmaというユニットをふたりで結成しました。それが約1年前ですね。
S:magmaとしての最初の仕事は、大学を卒業する前に手がけた、アクセサリーや雑貨等を作っている知人の展示会の什器でした。あまり家具っぽくない什器で、女の子色があまりないものが良いという依頼があったので、電気が内蔵されて動くものなど、色々なギミックを入れた什器を作りました。この展示会を見てくれた「Lamp harajuku」というショップのバイヤーの米山えつ子さんに声をかけて頂くなど、反響はありましたね。

ACCO Exhibition「PRESENT」
M:その後、卒業制作で「FUTURE SHOCK」というタイトルのインスタレーションをしました。これは、ハービー・ハンコックの「rock it」というロボットが全編に出てくるミュージックビデオに刺激を受けて作った作品です。
S:僕たちが抱える未来の不安というものが作品のテーマになっています。顔の赤いキャラクターたちは人間を表していて、彼らを囲んでいる機械のためにご飯を作ったりしているというシチュエーションです。人間がロボットに支配されてしまう未来を提示することで、急速に技術が進化しているこの時代において、どう対応していくべきなのかという問題意識を投げ掛けています。
M:この卒業制作の展示の時に、BGMで少し悲しい感じの曲を流していたこともあってか、作品を見た友人が泣いてくれたんです。こんな感じの作品なのですが、人が泣いてくれることもあるということがわかり、間違っていなかったんだなと思うことができました。
S:その後、大学の教授から話をもらい、アメリカでも展示をすることができました。向こうは電力が日本より強いので、オーバーな動きになって面白かったです。お客さんの反応もオーバーでしたし(笑)。この作品は今後もシリーズ展開していけたらなと思っています。

「FUTURE SHOCK」
渋谷のショップ「神南一丁目」で先日まで展示されていた作品もこのシリーズの一貫ですよね?
S:そうですね。ここでの展示の前に、Lamp harajukuのバイヤーから依頼があり、合同展示会roomsで同じH.P.FRANCEのLamp harajukuブースでも展示していたんです。今回は、その作品をこっちのお店に移動させてきたという感じですね。
作品の素材はどうやって集めてくるのですか?
M:例えば、「FUTURE SHOCK」で使っているモーターは、「ロデオボーイ」や扇風機のモーターを解体して使っているように、日常のなかで見つけてきた様々な素材を集めて作る感じです。リサイクルショップやアンティークショップなんかもスゴく好きで、空き時間によく行ったりしています。リサイクルショップに行くと、予想しない出会いというものがあって、それがスゴく楽しいんです。
S:ファブリックもヴィンテージのものを探してきて使ったりしています。ストックはあればある程良いという感じなので、アトリエはかなりモノにあふれています(笑)。


Installation at Jinnan 1-Chome
実際にはどのような工程で作っていくのですか?
S:スケッチなどはあまり描かず、いきなりカタチにしていくことが多いですね。実際に素材を触りながら組み立てていく感じです。
M:やっぱり素材との出会いが大きいんです。この前もアンティークショップで顔がグシャっとつぶれているマネキンがあって、そういうものを見つけると、「もう作るしかない!」と思うんです(笑)。
S:そういうところから、こういうストーリーにしていったら面白いんじゃないかということをふたりで話し合いながら考えていくことが多いですね。

「Sleeping Beauty」
このような作品と並行して、クライアントワークも手がけているんですよね?
S:はい。ショップの什器などを作ったりしています。最近では、原宿にある「MACARONIC」という洋服屋さんの什器を手がけました。これらの仕事も、自分たちの作品を見てくれた人から話をもらうことがほとんどなんです。だから、まずは自分たちがやりたいことをしっかりやりきって、それを見てくれた人が色々なことを考えてくれて、そこからまた新しいことが生まれていくという流れができたら良いなと思ってやっています。
M:あと、自分たちで壁掛けや照明、テーブルなどのプロダクトも制作・販売しています。これらは基本的にすべて一点物です。もともと僕はフィギュアが好きで、原型師のアシスタントのバイトなどもしていたことがあったんです。でも、フィギュアの場合、大量生産するために中国などに出すのですが、それが製品として返ってきた時にどうしてもゆるくなっていたり、塗装が汚かったりすることが多くて。それなら最後まで自分たちの手で作ることができる一点物の方が、自分たちには合っているのかなという気がしています。

Original Furnitures
これからの予定について教えてください。
S:11月29日にスパイラルで展示会を行う靴下のブランド「MARCOMONDE」の什器を手がけました。ここでは、自分たちが作ったプロダクトの展示・販売もする予定です。また、来年には「Lamp harajuku」の内装を手がけることも決まっています。
最後に、今後やっていきたいことがあれば教えてください。
S:やっぱり大きい作品を作りたいという思いが強いですね。完全にやりきったと思えるくらいスケールの大きいものが作りたいですね。
M:これまでに色々作ってきて、木材、布、樹脂などは大体扱えるようになったので、次は溶接ができるようになりたいです(笑)。
S:あと、仕事としては、ミュージックビデオやファッション雑誌の写真の美術などもやっていきたいと思っています。












