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GELCHOP | ゲルチョップ | Creative Unit

「アート」「デザイン」「クラフト」のどの分野にも属さないもの作りを続けるモリカワリョウタ、オザワテツヤによる造形ユニット、GELCHOP。観賞用のアート作品とも、実用的なプロダクトとも取れない彼らの作品は、受け取る側に驚きとほんの少しの混乱を伝えるとともに、モノ本来の造形の美しさ、面白さを伝えてくれるものばかりだ。そんなGELCHOPのクリエーションの秘密に迫るべく、メンバーのひとりであるモリカワに、展覧会開催中の@btfで話を聞かせてもらった。

Text:原田優輝
まずは、GELCHOP結成までの経緯を教えてください。

もともと僕は美術畑の人間で、20代から作品を製作して発表するようなことはしていたんです。ただ、美術の世界で本格的にやっていこうにも、どうすれば良いのかイマイチ分からないところがあったり、まだまだ美術の世界は閉鎖的で、今みたいに多くの人がアートに興味を持って、日常にアートがあるような時代ではなかったように思います。なかなか先が見えなかった。そんななか、大学を卒業してから2年程ランドスケープやモニュメントなどのデザインをしている事務所で働いていました。でも、やっぱり自分でカタチを作る仕事がしたかったので、それだけでは満足できず、ミュージックビデオのセットを作ったりする仕事など、個人でやるようになったんです。そういうことをしながら色々な人と知り合っていくなかで、同じように個人でものづくりをすることをベースに生活を考えるというスタイルが、もうひとりのメンバーであるオザワと一致して、一緒にやっていくことになったんです。

結成当時はどのような仕事をされていたのですか?

一番始めにやった仕事は、みかんぐみさんに依頼されて作った遊具です。その後は、ジェネラルリサーチの小林(節正)さんと知り合って、一緒に仕事させてもらうなか、意識的ことを含め色々な意味での転機となり、アパレル関係やデザイン業界など、今まで交流がなかったような人たちともつながるようになりました。そして、3,4年くらい前からは、ウサギや切り株などをモチーフにしたオリジナルプロダクトにも力を入れるようになりました。その頃から徐々に自分たちの活動を認知してもらえるようになってきたように感じます。今でもそうですが、なるべく自由にモノを作りながら、いかに活動を続けていくかということを模索しながらやっています。

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そもそももの作りに興味をもったのはいつ頃からなのですか?

子供の頃から工作をしたり、大工さんの真似ごとをするのが好きだったんです。自分の原点は、やっぱり大工さんや庭師のおじさんなど身体を動かしてモノを作っている人たちへの憧れなんです。オザワにしても、親父さんが工場で働いていて、そういう姿を見てきたことというのはやはり大きいと思います。

アートへの興味も強かったのですか?

アートへの興味というほどでもないですが、父親がグラフィックデザインの仕事などをしていたこともあって、家には画集などが色々あって、それを盗み見たりしていました。ゴヤの版画が気持ち悪くて面白いとか、ダリのようなシュルレアリズムやエッシャーのだまし絵もはまりましたね。佐伯俊男さんの絵なんかにもゾクゾクしてた。まぁ、どれもあまり健全なものとしてではなく。そういう影響は今でも残っていると思います。

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そうしたバックグランンドが、先ほど話されていた「アート」と「クラフト」の中間的なGELCHOPの作品の礎になっているんですね。

何かに束縛されるのが好きじゃないんです。どこかのジャンルに属する必要もないですし。アートの世界だと、そこで成立させるための図式のようなものがある、クラフトの世界には素材のくくりや、「ここまで」みたいな閉鎖的なラインが見える。僕らは、「作る」という部分に素直に反応して作品を出していきたいんです。今それが完璧にできているとは言い切れないですが、アートには個人的な発言、クラフトにはカルチャーを感じる。それを両立させて、椅子や焼き物とかを作って売っていくようなアプローチでものを成立させていくような、そんなやり方が自分達には向いていると考えています。一方で天の邪鬼のところがあるので、日常普通に使えるものとは違う妙なものを作ったりしてしまうんですが(笑)。

今回展示されている作品も、日常的な素材を用いつつ、使えそうで使えないものもあったりして、そのバランスが面白いですよね。

今回は、普段から目にしている道具などが、組み合わされることで生じるちょっとした違和感もようなものを意識しました。ほうきの柄の反対にちりとりがついていたり、ピコピコハンマーを鋳鉄にしてみたり、ブタの貯金箱に柄がついていたり。ちょっと手を加えることで、本来の使い方を変えてみたり、意味をはき違えてみたり、でもカタチはなんだか美しい、みたいな。例えば映像や音楽なんかも同じだと思うんです。実用的なものではないけど、自分の幅を広げてくれたり、豊かな気持ちにしてくれる。そういうアプローチを、カタチを作る人間としてやっていけたら良いなという思いがありますね。

GELCHOP
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「カタチを作る」というところにやはり強い自負があるようですね。

そうですね。アイデアを妄想したり、人が喜んでいるのを見る時も楽しいですが、やっぱりモノを作っている瞬間が一番好きです。だから、カタチを作れることの可能性は追求していきたい。手を動かすことで見えてくるものやアイデア、手を動かして作る人にしかできないカタチがあると思うので、それは常に意識しています。例えば、切り株のプロダクトなんかもそうなのですが、あれは有機的でありながらミニマムなカタチを作ることを目指していて、言葉では伝えきれないニュアンスのようなものを、手を動かしながら作っていくという感覚があります。

切り株やウサギなど、植物や動物などの有機的なモチーフが多いですよね。

もともと、自然のなかで遊ぶのが好きなのと、有機的なものは表現の幅が広くて作っていておもしろいですね。それと、モノを通したコミュニケーションということを考えた時に、やはり共通認識が持てるような分かりやすさというのは大切だと思っています。特にオリジナル作品は、ちゃんと売っていきたいという意識もあるので。そう、作品の制作販売に関しては、アパレルの世界の仕事の流れはスゴく参考になります。デザイン、縫製、販売という一通りの流れが、とても良くできてますよね。それも「Made in Japan」で。僕たちも4年前から「FOR STOCKISTS」という合同展示会に毎年続けて出展しているのですが、ここではオリジナル作品を発表して、受注を受けて生産するという流れでやっています。たぶん、僕たちのような制作物の販売の仕方としては、珍しいんじゃないでしょうか。

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クライアントワークに関しては、どのようなスタンスで取り組んでいますか?

色々な形態の仕事があるので一概には言えませんが、基本的にはカタチを創り出すことがぼくたちの仕事なので、クライアントの依頼に対していろんなこと想像をして、イメージの状態と現実を結びつけていきますね。そこにある誤差をどう埋めて、イメージのちょっと先に落とせるか、立体としてのデザインに焼き変える面白いところです。依頼を受けて作ることは、自分以外の角度が入ってきて、今まで見ていた景色を一変させられる事もあり、良い刺激になることが多いです。その結果、出来たモノで見る人を驚かせたり、楽しませたりできればなお楽しいです。それは、オリジナル作品もクライアントワークも同じ事ですね。

最近興味を持っているものなどがあれば教えてください。

最近、埼玉の仕事場のそばに畑を借りて、植物を育てたりしているんです。そういうこともあって、植物の仕事などをする時にご一緒しているYARDさんに相談しながら、プランターなどの道具を「Farmland series」として作っています。農に関する物って、基本的には積極的なデザインがされていないので、楽しいことなのに楽しいモノがほとんどないと思って、自分たちでデサインして作り始めたんです。道具だけではなく、それを取り巻く環境にも興味がありますね。オーガニックを通したコミュニティースペースとか。オーガニックって意外にも常識とかルールの外にあることに気付き始めて余計にはまっています。

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その他に今後やっていきたいことなどはありますか?

今回の「D.I.Y」展のような展覧会はできれば毎年やっていきたいです。次回は、作品を持ち帰った後の状態を考えてみたり、局所にこだわって作ってみても面白いかなと思っています。この件のネタ、まだ山ほど寝かしてありますんで。あと、今回の展示もそうですが、もともと「道具」にはスゴく興味があるので、使い勝手というよりも、カタチの良さやおかしさに特化して、世界中の道具を集めた万屋を作って、そこで自分たちのオリジナルも並べて販売、みたいな妄想もしています(笑)。

そういうところがモノを作る上でのひとつのきっかけにもなっていそうですね。

そうですね。「こういうものがあったらいいのに」とか「本当はこうあるべきなんじゃないの?」ということが世の中にはホントに山ほどありますよね。今こういう時代だからこそ、「こっちの方がいいでしょ?」ということを個人のレベルでも発言していく、そういうことはもっとやっていけたらいいですね。

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