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BOW | バウ | Web Creator

伊藤ガビン氏率いるボストーク社内のWeb制作チーム、BOW。高い技術力に定評のある彼らだが、なんといっても最大の魅力は、オリジナルプロジェクトのユニークさにある。ARTwitterUstreamなど、話題の技術やサービスにいち早く反応しながら、持ち前の技術力と瞬発力を活かしたオリジナル作品を発表することによって個性を発揮していくことを重視する彼らは、クライアントワークに忙殺されるWeb制作会社が多いなか、非常に頼もしい存在だと言える。そんなBOWのメンバー、吉川佳一、高橋真希子、宮本拓馬の3人に話を聞いた。

Text:原田優輝


まずはそれぞれの自己紹介をお願いします。

吉川:吉川佳一です。主にFlashの実装を長くやってきたのですが、最近はディレクター的な仕事もやるようになりました。

高橋:高橋です。主にディレクションや進行を担当しています。

宮本:宮本です。BOWに来る前は映像をずっとやっていたのですが、BOWに入ってからは吉川さんの下でアクションスクリプトを覚えつつ、映像の仕事も並行してやったりしています。

吉川:あと、今日はいないのですが、細金卓矢という主に映像をやっているメンバーがいます。それと、産休に入ってしまったのですが、もともと一緒にBOWを立ち上げた石崎奈緒子というスタッフもいました。

BOW

BOWとして活動をするようになった経緯を教えてください。

高橋:私と吉川と石崎は、もともと同じWeb制作会社に在籍していました。それぞれの事情でそこを辞めることになり、しばらくはバラバラでやっていたのですが、ある時、一緒に何かやろうという話になったのがきっかけですね。BOWは、伊藤ガビン率いるボストーク内に「居候」しているWebチームで、「Boctok On the Web」の略なんです。私が大学時代にボストークでアルバイトをしていた縁で、ここに居候する感じでスタートしました。

宮本:僕がBOWに入ったのは、2009年の夏頃です。もともと細金とVJユニットをやっていたのですが、2009年の5月くらいに細金がBOWに加入して、面白いという話を聞かされ、ちょこちょこお手伝いをするようになったんです。実際に入ってみると、メンバーがそれぞれスゴく濃いので、いるだけでも刺激的な場所だなと(笑)。

スタート当初に描いていたビジョンなどはありましたか?

高橋:クライアントワーク以外で自由な活動をしていきたいという話はしていました。自分たちの得意分野であるWebをベースに、何か面白いことをしたいというアバウトな感じで(笑)。立ち上げ当初は、いきなりバンバン仕事が来るわけでもないので、とりあえずポートフォリオみたいなものを作ろうということで、ARを使った「BOW cARd」を作りました。それがいくつかの賞を頂いたりして、仕事の話もチラホラ来るようになりました。営業をすることも大切だとは思うのですが、まずは自分たちが好きなものを作ってアピールして、それが仕事につながっていくという流れが理想だなと思っています。

BOW

こういうオリジナル作品を作る場合は、チーム内で色々アイデアを出し合うところからスタートする感じなのですか?

高橋:そういうこともありますが、メンバーそれぞれが勝手に作り始めることが多いですね。私や吉川なんかは、前の会社の時も含めるともう5年間くらい一緒なので、なんとなくお互いの興味が共有されているというのもあるのですが。例えば、今年の正月に作った「UstreamMap」という作品は、吉川がお正月休みで一気に作ってしまったものです。

吉川:よく、「ジャンプをしてお正月を迎える」みたいなのってあるじゃないですか。そういうノリで、僕はプログラムを書いて正月を迎えようと(笑)。位置情報付きでUstreamをしている人たちを、Googleマップ上で俯瞰できるというサービスを、突然大晦日から作り始め、正月に完成させました。

高橋:ちょうどその年末くらいから、iPhoneでUstreamができるようになって、とても面白いと思っていたんです。まだ具体的には考えられていないですが、今年もUstreamを使った面白いことは積極的にやっていけたらなとは思っています。

この「UstreamMap」のように、突発的に作り始めるということが割と多そうですね。

吉川:そうですね。何の役に立つかはわからないけど、作ったものが面白ければ、誰にも怒られないだろう、という感じでガッとやってしまいます(笑)。

高橋:やっぱり溜め込んでしまうと、その時間に比例したクオリティが求められてしまうところがあるので、逆に溜め込まずに習作をどんどん出していく方が、気が楽だと思っているところはありますね。

宮本:一般公開はしていないのですが、「Glitcher」という作品があって、これもそういうノリで作ったものです。画像を保存し損ねた時に、たまに妙なノイズが入ることがあるのですが、その「グリッチ」という現象が、BOWのなかでは結構人気があって(笑)。それを自動で作るシステムを、とりあえず作ってしまったというものです。

高橋:たまに「プロフィール写真をください」と言われることがあるのですが、普通の写真を送るのが恥ずかしいよねという話で、じゃあ画像壊しちゃうかと(笑)。これが何かに発展するかというと、そういうわけでもないのですが…(笑)。

BOW

そういった独特のツボをメンバー間で共有している感じがありそうですね。

吉川:そうですね(笑)。お互いのTumblrとかを共有していて、相互補完していくうちに、だんだん濃い方に煮詰まっていく感じです。

高椅:例えば、吉川ならゲーム、細金なら映像というように、自分の確固たる領域みたいなものがある人間がいて、そこに私のような人間が色々影響を受けながら、全体でバランスが取れているという感じかもしれません。

クライアントワークでもそれぞれの役割分担は明確に分かれているのですか?

吉川:そうですね。プログラムは僕と宮本、映像だと細金と宮本など、だいたいみんな案件のどこかで関わっていくという感じですね。

高橋:クライアントワークの場合、メンバー全員が目を通して、確認し合うことがほとんどなのですが、BOWとしての自己主張みたいなものはあまり挟まないようにしています。それよりもその案件が伝えたいものをシッカリ理解して、それに合うものを作っていく。逆に個人の作品では、それぞれがやっているところを眺めるだけで、口は誰も挟まないという感じですね。こないだ細金が作った「Vanishing Point」という映像も、最初から最後まで彼一人で作っています。こういうものに関しては、その人がやりたいことが全部詰まれば良いと思っているので、みんな放っておいてます(笑)。朝起きたら、Twitterに「こういうのを作りました」メンバーが投稿しているようなこともしょっちゅうです(笑)。

Vanishing Point from Bonsajo on Vimeo.

そうしたオリジナル作品がクライアントワークにつながることはあるのですか?

吉川:スキル的な部分というよりも、「一番乗りでこういう面白いものを作った」というアピール的な意味合いが大きいかなと思います。

高橋:「やったことがある」というのは大きいですよね。やっぱり仕事になると、サンプルがあった方が皆さん理解してくれますからね。

吉川:あと、外の人に見せることもそうですが、技術者がひとりで頭の中で考えていることを、カタチにしてメンバーに見せるだけでも、アイデアが色々広がっていくんです。

高椅:私たちの基本姿勢として、クライアントワークでもなるべく相手と距離をおかずに会話をしながら進めていきたいと考えているので、サンプルや進捗をこまめに伝えながら、一緒に考えていきましょうというスタンスでやることが多いですね。

BOW

昨年は、「Desktop Live」というイベントも企画されていましたね。

高橋:1年前くらいから、DJや絵描きの人がUstreamを使って、その工程を流すことが増えていて、スゴく楽しそうだなと思って見ていたんです。例えば、演劇やスポーツなどもそうだと思うのですが、人が何かを作っているところや、真剣に何かと向き合っている姿に対して、お金を払って見に来てもらうということを何か企画できないかなという思いがありました。お金を頂いて何かを提供するというのは、普段はやっていなかったことなので、今回そういうものに向き合えたのはスゴく良かったなと思います。

吉川:開場の直前は、「少ししか人が来てくれなかったらどうしよう」とか考えながら、スゴくドキドキしていましたね。これまでに似たようなイベントはあまりなかったから、やる側としても想像がつかなかったし、見に来る側も実際に見てみるまで絶対わからない。しかも、お金を払わないと来られないわけですから。

高橋:入場料2000円というのはプレッシャーでしたね。「アバター」より高いですからね(笑)。でも、みんな面白かったと言ってくれたので良かったと思っています。あと、ひとつ注意したのは、同じ趣味の人ばかりが集まるサークル活動的なイベントだけで終わるのではなく、少しだけコマーシャルな要素も盛り込むということでした。例えば、1回目は、Flashをやったことがない人のことも考えて、入口でAdobeのパンフレットを渡したり、2回目は、マイクロソフトの「xna」というゲーム開発ツールの宣伝も兼ねることで協賛についてもらったりと、自分たちが楽しむだけではなく、演じてくれる人や企業側にも、場が盛り上がることでプラスになるような仕組みは今後も作っていきたいと思っています。

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吉川:スゴい作品であればあるほど、作っている様子が全く見えないことで自分から遠ざかってしまうところもあると思うんです。そういう意味でも、作業工程を間近で共有することによって、自分も頑張ればやれるんだと思ってもらえるんじゃないかなと。

高橋:今後の展開としては、例えば日本語に常に向かっている人たちが、その場で言葉を作っていくみたいな試みができたら面白いかなと、漠然と考えています。今年もどこかのタイミングでもう1度やりたいですね。

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最後に、今後の予定などがあれば教えてください。

高橋:まだ構想段階なのですが、秋頃に展覧会をやりたいと思っています。

吉川:アイドルを作りたいんです。プログラマーならみんなアイドル好き、という前提で(笑)。

高橋:それぞれの人の好みが反映されているアイドルを作りたいんです。その人が収集しているもので構成されたアイドルというようなものをイメージしています。人が習慣としてやっていることがカタチになって現れたら面白いかなと。最初はWebアプリケーションのようなものでアウトプットして、最終的には展覧会にまでつなげたいですね。まだ模索段階なので、全然違う方向に進む可能性もありますが(笑)。

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