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1PAC.INC. | ワンパク Web | Design Office

2008年の創立以来、クライアントワークはもとより、独創性あふれるアイデアと技術力を活かしてリリースされる数々のオリジナルプロジェクトによって、近年急速に注目度が高まっているデザインオフィス1PAC。企画から制作までをワンパッケージにし、社会に提供することで、新たな価値を創造しようとする同社の創立メンバー兼取締役であるクリエイティブディレクター阿部淳也と原冬樹、テクニカルディレクター近藤将範の3人に話を聞いた。

Text:原田優輝

まずは3人それぞれの役割を教えてください。

阿部:代表をやっています。肩書としてはクリエイティブディレクターで、プランニング・プロデュース、クリエイティブ全体のディレクション、プロジェクト・マネージメントなどをやることが多いです。

原:僕も肩書はクリエイティブディレクターなのですが、半分くらいはアートディレクションの仕事もやっています。デザイン全般からプロジェクトの管理までという感じですね。

近藤:僕はテクニカル・ディレクターとして、技術的なところをメインで担当しています。

それぞれのバックグラウンドを教えてください。

阿部:20代の頃は自動車の設計会社で車室内のUI関連のエンジニアをやっていました。当時自分がやっていたトラックやバスというのは、モデルチェンジのタイミングが10年に1度くらいなので、ひとつのプロジェクトが終わるまでに相当な時間がかかってしまうんですね。そうこうしているうちに、もっと違うこともやってみたいと思うようになり、Webの仕事をしていた友人がいたりして以前から興味があったこの世界でやってみようと思ったんです。

近藤:僕はもともと全然違う業種にいました。最初はデパートの外商部にいたのですが、そのデパートが倒産してしまい(笑)、その後は知り合いのツテで印刷の仕事などをしながら、徐々にWebにシフトしていきました。当時はまだインターネットが普及してなくて、パソコン通信だった時代。その頃に海外のデザインされたサイトとかを見て衝撃を受けて、自分もこれをやってみたいと思ったんです。

原:学校を卒業して初めて就職した会社は、主にWebやCD-ROMD-ROMなどのデジタルコンテンツを主に製作していた会社だったのですが、その当時デジタル専門の会社ではデザインを深く勉強することができなかったので、パッケージなどグラフィックをメインにやっている会社に就職しました。でも、グラフィックばかりやっていると偏ったデザインの仕事しかできず、だんだん窮屈に感じるようになって…。その当時は、デザイナーが独自にインタラクティブなコンテンツやフォントを作って、フロッピーなどに入れて配布していて、そういうものに今後のデザインの可能性を感じ、またデジタルの方にシフトしていきました。

1PAC

阿部:みんなバックグラウンドがバラバラなんです(笑)。だから、何に対しても抵抗がないんですよ。ひとつのものを作る時に、色んな視点が持てるというのはスゴく良いことだと思っています。外から見れば、1PACはWebの会社だと見られますが、それぞれがプロダクト、紙、広告をやっていたので、自分たちとしてはWebプロダクションという意識はそんなにないんです。もちろん長いことインタラクティブや映像をやっているので、そこはひとつの強み。でも、そのくらいの感覚なんです。

1PACを設立された経緯を教えてください。

阿部:3人とも前の職場が同じだったんです。某広告代理店の配下にあるインタラクティブ系のプロダクションの中心メンバーでした。そこでしばらく働いていたのですが、本当の意味でやりたいことをやるなら、自分たちでやった方がいいんじゃないかという思いから、ふたりに声をかけて、2008年に3人でスタートしました。

1PAC

社名の由来を教えてください。

阿部:元気よく食べて、遊んで、働くという意味の「ワンパク」と、ワンパッケージ(1PAC)という2つの意味をかけています。先ほどの話ともつながりますが、ヒトやモノやコトを組み合わせて、パッケージにして社会に対して価値を提供していくというのは、僕らだからこそできることなんじゃないかと。何かしらをカタチにしたいと思ったときに、ただ作るだけではなく、もとにあるアイデアも大切だと思うんです。そうしたものをすべてパッケージして社会に出していくことで、何かしらの価値を生み出したいんです。だから、クライアントワークにしても、早い段階からコアメンバーとして入らせてもらい、そのなかで自分たちができることを提供させてもらうというスタンスでやっています。

原:企画の部分と制作の部分を半々くらいのボリューム感でやりたいといつも思っています。だから、例えば3ヶ月くらい方向性やアプローチを固めるまでに時間をかけるなら、それと同じくらいの期間で制作もしていくという感じです。作るという部分だけではなく、アイデアの部分から一気通貫でパッケージしていくことにはこだわっています。

社内の体制についても教えてください。

阿部:今は僕らも入れて17人のスタッフがいます。組織的には、プロジェクトマネージャーやクリエイティブディレクター的な立ち位置の人間が僕らも含め4人いて、アートディレクター、テクニカルディレクターが2人ずつ、さらにデザイナー、システムエンジニア、Flashエンジニアがいます。ただ、基本的にみんな作りたい人間なので、手を動かすんですよ。それを僕らがやってしまうと回らなくなってしまうんですが、それでもやりたいんですよね(笑)。

近藤:やっぱりその方が意思疎通がしやすいんですよね。Webの黎明期は、プランナーやプロデューサーを業界の経験がないような営業上がりの人がやっていたりして…。そういうマズイやり方を身にしみてわかっているので、やっぱり話が通じるというのはスゴく重要なことなんですよね。

1PAC

1PACでは、積極的にオリジナル作品のリリースもしていますよね。

阿部:はい。クライアントワークというのは、制約のなかでアイデアやデザインを出していくわけですが、それが本当の意味で自分たちのクリエイティビティかというと、少し違う部分もあるんです。「1PAC」というブランドを考えたときに、自分たちがどういうプロジェクトを発信できるのかというのは重要です。だから、勢いだけとか面白いだけではなく、ある程度精査された意味のあることをやりたいと思っています。

原:オリジナルワークをやるにしても、なぜそれをやるのかということを、ちゃんと裏では持っていたいんです。

近藤:当然ながらスピード感が重要な場合もあるので、まずはやってしまうものもあるのですが、そういうものでも絶対にコンセプトと目的は明確にしてからやります。さらに、後から「これはこういう意味でやっていたんだ」ということを検証します。「なんとなく作っちゃった」で終わってしまうようなものはやりたくないんです。


ターニングポイントとなった作品があれば教えてください。

阿部:最初にリリースしたオリジナルワーク「ARE YOU HOT?」ですかね。これで1PACが少し注目してもらえるようになった気がします。昨年のお正月にリリースした作品なのですが、ちょうど2008年末の世界同時不況で世の中に元気がなくなっていた時期だったんですね。でも、景気悪いからといって下を向いていても仕方がないので、自分たちができることをチャレンジしていこうという姿勢を社会に示したかった。そこから、「1PACで時間を共有する」「初めての体験」というところを足がかりに、自分がいる空間ではなく、その向こう側に何か影響を与えていけるような体験を設計していきました。Twitterなどでも話題になり、結構広がっていきましたね。でも、今はやりのライブ配信を去年やってしまったので、1年早かったかもしれません(笑)。

確かに、ライブで時間や空間を共有するという流れはとても強まっていますよね。

阿部:そうですね。クライアントワークにも言えることですが、インターネットの世界だけで閉じているということ自体、もうそれほど意味がないことなんじゃないかなと思っていて。例えば、キャンペーンサイトなどでも、PVとかUUとか会員登録数とかが最終目的ではなく、実際に店頭にお客さんが来たり、ものが売れるというのが本来のゴールなんですよね。そこから目を背けないで、コンテンツや仕組みを作っていかないとと思っています。

原:その時々のクライアントからの課題に対して、いかに技術やアイデアを組み合わせて答えを出すかということを考えてやっています。アプローチは状況や時代の流れによって変わるものですが、絶対的にベースにあるのは、そこに人がいて、コミュニケーションがあるということですね。

1PAC

最近では、iPhoneアプリの「TRAVATAR」や大日本印刷とのコラボレーションによって制作された「写心機」など、新しい技術やデバイスを使ったプロジェクトも目立ちますね。

阿部:そうですね。でも、技術やデバイスありきではなく、それで何が変わるかが大事だと思うんです。例えば、最近iPadを買ってみて、これでライフスタイルが変わるなと感じたんです。外に持ち歩くというよりは、例えば、iPadでレシピを見ながら料理を作るとか、家族で共有して使うものだなと。そのデバイスの先に何か可能性が見えれば、自分でもやってみたいと思うんです。それも結局、企画やコンセプトの部分を大事にしたいというのと同じなんです。

このようなさまざまなプロジェクトを通して、どのようなコミュニケーションを取っていきたいと考えていますか?

阿部:いつも、まずは自分たちが楽しめるということを前提にしています。そうして作ったものが結果的に世の中の人たちにも共感してもらえるとうれしいです。たとえそれが2割とか3割しかいなくても、今度はそういう人たちと新しい何かを作ったりということをやっていけたらいいなと思っています。

原:アウトプットの先に何があるかということが、自分たちにとっては大事なんです。そこを意識しながらつくり続けることで、何かが生まれていけばいいなと。例えば、以前にスイカ割りのイベントをやったのですが、そういうリアルなイベントをやると、そこに来ている人たちが本当に楽しそうにしているんですよ。「写心機」なんかにしても、アーティスティックな作品ではあるけど、会場では子どもが感覚的に遊んでいたりして、そういう様子を見ていると楽しいんです。そういうところが大きいですね。

阿部:いい年の大人が70〜80人集まって、スイカ割りをやるんですよ(笑)。結局こういうことが大事だと思うんです。大人になると、ついついツッパっちゃうけど、「いや、俺らワンパクだからさ」と(笑)。Web業界の人は、あえてその殻に閉じこもっちゃうような人も多いのですが、自分たちにはそういう感覚は全然ないんです。極端な話、音楽プロデュースやイベントマネージメント、さらに映画を作っちゃってもいいと思うんです。僕はインタラクティブ業界の秋元康を目指したい。それは冗談ですが(笑)、それくらいフレッシュでいたいんです。これからの1PACにも乞うご期待です(笑)。

1PAC

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