loading...

PUBLIC-IMAGE.ORG

Creators Dictionary for Realtime Culture

  • PUBLIC-IMAGE.STORE
  • PUBLIC-IMAGE.3D

MIDORI KAWANO | 河野未彩 | Graphic Designer

60年代後半のサイケ・カルチャーからの影響を感じさせるネオンカラーと、連続する図形的なモチーフを巧みに操り、視覚的なインパクトを与える数々のアートワーク。これらを手がけるのは、大学卒業後の2007年、DE DE MOUSEのCDジャケットやライブ映像で一躍注目を集め、その後も音楽関連のグラフィックや映像を数多く手がけている河野未彩だ。先日、iPad/ iPhone用アプリとして、デジタル作品集をリリースし、さらに、今夏リリースされるDVDマガジン「VISIONARY」創刊号では、8分に及ぶ作りおろし映像を制作するなど、精力的な活動を展開している若手クリエイターに話を聞いた。

Text:原田優輝
グラフィック・デザインに興味を持つようになったのはいつ頃からですか?

何かを作ったり絵を描いたりということには子供の頃から興味がありましたが、実際にデザインに焦点を当てたのは、大学に進む少し前、今後の進路をどうしようか考えているくらいの頃です。当時、ビートルズの「イエロー・サブマリン」のアートワークとか、音楽に付随するデザインに興味があって、グラフィック・デザインをやってみたいと思うようになりました。音楽や洋服でもそうだったのですが、なぜかリアルタイムのものよりも、昔のものに惹かれるところがあって(笑)。特に60年代頃のサイケデリックなデザインなどにグッときていました

大学ではグラフィック・デザインを学ばれたのですか?

いえ、実は大学ではプロダクト・デザインを専攻していたんです。昔からオモチャも好きだったりしたので。でも、実際にやってみると、とても楽しくはあったのですが、立体的にモノを作るセンスがあまりなくて(笑)。自分は色彩とかが好きだったし、「飛び」の衝撃は平面作品から受けることが多くて、やっぱり平面の方が向いているのかなと。その頃もずっとグラフィックもやってみたいという思いはあったので、あえて違う分野を学ぶことで、周りとは違うグラフィックが作れるようになるんじゃないかと考えるようになっていきました。今振り返ってみても、プロダクト・デザインから学んだ合理的な考え方とかはスゴく役に立っていると思います。

河野未彩

2007年に手がけたDE DE MOUSEのCDジャケットやLIVE映像などで注目を集めましたが、映像にはいつ頃から興味を持っていたのですか?

「イエロー・サブマリン」の映像を見た時から、絵が動くことへの興奮みたいなものは感じていて、自分の絵を動かすというのはずっと夢でした。大学では映像を作る機会は少なかったのですが、あるきっかけで映像制作事務所でアシスタントをするようになったんです。そこからVJなど映像の仕事に関わるようになりました。その後、大学を卒業して、以前から知り合いだったDE DE MOUSEさんがアルバムをリリースするタイミングでアートワークを頼んでくれたんです。それが自分ひとりでやった最初の映像の仕事でした。

グラフィックと映像の関係をどのように考えていますか?

そのDE DE MOUSEさんとの仕事もそうだったのですが、基本的には、まずグラフィックありきで、映像はそれに付随する形で作ることが多いです。なので「動くグラフィック」として、一瞬一瞬のヴィジュアルインパクトに力を込めています。VJという形から映像を始めたということも影響していると思います。色や質感のバランスや、色がどう混ざり合っていくのかとか、カタチがどう動いていくのかとか、そういうところに意味を見つけたいんです。もっと言うと、グラフィックは色彩の固まりで、映像は動く色彩の固まりですかね。ストーリーは、私の中では決めていますが、それをある程度抽象化させて、見る人によってどうとでも受け取れるものが好きです。そういう意味で、映像とグラフィックを融合させることができたDE DE MOUSEさんの仕事は大きかったと思います。

河野未彩河野未彩

その後は、どのようにして活動を広げていったのですか?

学生の頃から、自分がピンときた場所に足を運んでいたのですが、そういうところで出会った個人的なつながりが足がかりになって広がっていきました。絵を考えるために、音楽からの刺激を欲していたので、特に匿名性の高い音楽が聴けるクラブなどに行くことが多いです。そういう方たちが、私のブログの作品を見て、徐々に自分がグラフィックや映像を作っていることを認知してくれるようになり、仕事を頼んでくれることも増えていきました。

河野さんはそうしたミュージシャンとの交流から仕事に発展することも少なくなさそうですね。

特にインディーズの場合はそうですね。そういうときは相手の世界観や今までの流れを知っていたりするのでイメージ展開が早いのですが、一方で、もともと接点がないアーティストと仕事をするときも、その人の過去の作品や雑誌の記事等を見て、ある種、よりオーディエンスに近い立場から客観的に研究できるので逆によかったりするんです。ただ、どちらにしても実際に作り始めてからはあまり変わらないですね。

作り始めてからはアーティスト側と密にコミュニケーションを取りながら進めていくことが多いのですか?

私、ラフを見せるのが苦手なんです(笑)。話のなかで方向性が固まっていたとしても、それを納得いくものに落としこむのは、作業の最後のワンアクションだったりするので、はじめの段階でなかなかハッキリしたイメージを見せられないんです。それはよくないなと思い、ラフをがんばって作っていた時期もあったのですが、始めから固めすぎてしまうと、そのイメージに引っ張られてしまって、普通のものができてしまうんです。もちろん、ラフが必要なときは出しますが、仕事の内容によっては求められている部分が自分の作家性だったりするので、そういうときは最後までイメージを見せるのが難しかったりするんですよね。なので、始めの段階での話が割と大切なのかなと思っています。もらったエネルギーを熟成させてからガツンと作りたい。

河野未彩河野未彩

作品を作るときはどのようにイメージをふくらませていくのですか?

まずは目を閉じてその曲を聴いて、フラッシュのように浮かんでくる抽象的なイメージをキャッチします。具体化するまでは自分でもどうなるか分からないので、イメージを探っていく作業には時間をかけています。自分の作風や技法みたいなものはあまり固定せずに、イメージを考える段階で、その都度それに合う手法や画材、タッチなどを決めていくという感じです。だから、発注されるたびに次はどんなものができるのかを自分自身も楽しみに待つというスタンスです(笑)。結構危ういと思われるところもあるのですが、どこかのタイミングで、腑に落ちるものが出てくるんです。もっとこんな絵にしたいと思う物があれば、自主制作で発表するようにしています。

作品を作る上で大切にしていることがあれば教えてください。

空間、質感、色彩、時間など、作品の中の色々な次元での疎密のバランスを意識しています。例えば、山を描くときに、山頂に白い雪がかかっているとしたら、麓にはザラザラした砂を描きたい。白い雪に対して、『黒』という色ではなく、『砂』のザラザラした質感で対比させていこうと考えるんです。

河野さんの作品には図形的なモチーフが出てくることが多いですね。

これはやっぱり、プロダクト・デザインを学んでいたことが大きいと思います。学生の頃から製図を、図面ではなくグラフィックとしてカッコ良いなと感じていたので、その頃から図形的なモチーフをグラフィック・デザインの視点で捉えていたのだと思います。堂本剛さんのライブ映像などはまさにそういう作品だと思います。このときは色々イメージをやり取りをしながら、相手が求めているものと、こちらが出せるものが頂点で交わり合うような仕事ができたように思います。

河野未彩

最近の活動について教えてください。

iPhone用アプリとして、デジタル作品集をリリースしました。これは、触る側にも参加してほしいという考えがあったので、映像や作品をただ見せるだけではなく、アプリ自体のインターフェースのデザインなどもやらせて頂きました。もともと2、3年くらい前から、平面作品と映像作品をまとめて見れるデジタル作品集を作りたいと思っていたところ、良いタイミングでミズモトアキラさんにアプリの話を頂いたんです。あと、もうすぐリリースされるDVDマガジン「VISIONARY」に、作りおろしの作品が収録されています。真保(☆タイディスコ)ちゃんのアンビエント調の楽曲を使わせてもらい、「御サイケ」をテーマにした映像を作りました。もともと和的なものは好きでしたが、実際に焦点を当ててみると、おせちとか神話とかお伽話とか風景とか、いじってみたいモチーフや図形がたくさんあったので、そこを凝縮したものを作ってみました。そして私から見た日本文化のカオスした認識を表現したいと思いました。これは普段のミュージックビデオの制作とは違い、自己作品として作ることができたので、とても新鮮で面白かったです。渾身の作品なので反応が楽しみですね。

最後に、今後やってみたいことがあれば教えてください。

昔からずっと化粧品の仕事をやってみたいと思っているんです。実は、学生の頃、化粧品会社に就職したいと思っていたんです。もともと美女の広告も大好きだし、ディスプレイ、パッケージ、ブランディングなどすべてに興味があったんです。今すぐにということではないけれど、10〜20年後くらいまでにはできたらいいなと(笑)。TVのジングル映像やCMは今すぐやってみたいです。あとは、ヒプノシス的な感じで、ひとりのアーティストのアートワークをずっと続けてやってみたいというのはありますね。自分のアートワークが、良い意味でアーティストを支えていけるようなものになったらいいなと思っています。

河野未彩

河野未彩河野未彩

DICTIONARY

RELATED