loading...

PUBLIC-IMAGE.ORG

Creators Dictionary for Realtime Culture

  • PUBLIC-IMAGE.STORE
  • PUBLIC-IMAGE.3D

tomad | トマド | Label Owner / DJ

imoutoidTofubeatsをはじめ、個性あふれるアーティストたちを世に送り出し、数あるインターネットレーベルのなかでも、確固たる存在感を示してきたマルチネレコード。最近では、実験的なクラブイベントなども積極的に展開し、その活動の幅をさらに広げつつあった彼らが、つい先日、レーベル初となるコンピレーションCDをリリースした。これまで一貫してサイト上での楽曲の無料配信を行ってきた彼らにとって、このリリースにはどのような思いがあったのか? 同レーベルのオーナーであり、DJとしても活躍するtomadに、コンピレーションCDリリースの舞台裏や、マルチネレコードの今後の展望などについて話を聞いた。

Interview:露骨KIT

今回マルチネレコードから初めてリリースされることになったコンピレーションCDについて教えてください。

インターネットレーベルがCDを出すというときに、普通にリリースするだけでは、「今までの(無料配信)は何だったの?」と思われてしまうから、仕組みは工夫したかったんです。それで、開けると中に空のCD-Rが入っていて、同封されたダウンロードコードを特設サイトに行って入力すると楽曲が落とせて、そのCD-Rに書き込めるという仕組みにしようと思ったんです。最初は空のCD-Rだけが入っているという状態にしたかったのですが、それだと流通に乗らないということで、ノンセクトラジカルズによるMIX CDも付けることになりました。

ちなみに、マルチネレコードの品番は50番がずっと空いていましたが、これはCDリリースのためだったのですか?

いえ、何も決まっていない段階で、とりあえず空けておいたんです(笑)。そうしたら、CDリリースの話があって、じゃあちょうどいいかなと。

今回のコンピレーションの人選はどのように決めたのですか?

マルチネの中でも人気の高いアーティストを中心に選びました。さらに今回のコンピでは、ノーサンプリングでやっているので、それができる人というのもありました。

tomad

同封されたブックレットにも色々なクリエイターが参加していますね。

これまでのマルチネレコードのアートワークをやってくれた人たちや、「カオスラウンジ」の面々を中心に、11人のクリエイターに参加してもらいました。それを、マルチネのステッカーなどをやってくれているグラファーズロックがリミックスした32ページのかなり奮発したブックレットになっています。

ここまでブックレットに力を入れた理由を教えてください。

いつもサイト上でやっているMP3データの配信というのは、そこに付随する余計なイメージや情報がない分、音だけを純粋に届けられるという利点があるのですが、レーベルとしてやっていく場合、何かそこに付加していけるものがないと、なかなか周りに広がっていかないというのもあるんです。だから、今回このCDをリリースするにあたって、色々イメージもくっ付けつつパッケージできたらなと。

今回のブックレットもそうですが、「カオスラウンジ」周辺の動きとリンクするなど、最近はアート的な方向性も意識しているのですか?

特にアートということは考えていません。一応ネットレーベルなので、あくまでも音楽中心なのですが、単に音楽を聞くだけじゃなくて、そこにひとひねり入れていきたいみたいな感じは最近ありますね。

tomad

先日開催されたイベント「わくわく大運動会」でも、ライブペイントやパフォーマンスなど、音楽以外の要素を盛りこんでいましたね。

このイベントは、通常のクラブイベントというよりは、もっと参加しやすいライブイベントというのを意識していました。そのなかで、「カオスラウンジ」や快快あたりの流れをマルチネ的に紹介したかったんです。こういう音楽以外の要素も楽しめるイベントは、またアイデアが浮かんだらやりたいと思っています。ただ、その逆にDJだけのストイックなイベントとかもやっていきたいですね。

こうしたイベントや、ご自身でもやられているDJなどの現場の活動は、マルチネレコード本体にもフィードバックされていそうですね。

そうですね。DJをやるときは、自分がいま一番好きな音楽を流しつつ、レーベルの曲などもかけて、その反応を見たりしています。もともと僕はブレイクコアとかが好きで、初期のマルチネのリリースもそういうものが多かったんです。でも、そこからTofubeatsからの影響などを受けて、ハウスとかも好きになっていきました。あと、以前からレイヴも好きだったので、そういう色々ものが混ざった結果が、マルチネレコードに反映されていると思います。

tomad

もともとマルチネレコードはどういうところから始まったのですか?

最初は2ちゃんねるからスタートしました。そこで色々な人たちが出入りするコミュニティのようなものができていたんです。そういうところでクラブミュージックを流すラジオのようなものをやったりしているうちに、imoutoidやGassyohらと出会い、そこからさらに周りにいる人たちも捕まえていって、どんどん広がっていきました。

最近はマルチネレコードからリリースするアーティストの音楽性や年齢なども幅が広がってきていますよね。ただその一方で、リリース頻度は少し落ちているような気がします。

意識的に数を抑えているところはあります。他にもたくさんネットレーベルが出てきているなかで、それらと差別化するためにも、下手にリリースできないなというのもあるんです。音楽性については、さっきも話しましたが、自分の好きな音楽と一緒に変わっていっているという感じだと思います。

Tomadさん自身が楽曲を制作して、マルチネレコードからリリースするということはないのですか?

昔はそういうこともやっていたのですが、いまは裏方に徹しようと思っています。もう下手なものは出せないというのもありますし、マルチネでは基本的に自分が紹介したいアーティストの音源をリリースしていくというスタンスでやっています。

tomad

マルチネレコードからリリースするアーティストはどのように決めているのですか?

やっぱり自分の好みが反映されているというところが大きいと思います。あと最近では、自分がDJで使いたい曲を出したりということもありますね。ただ、そうした音楽的な内容のことももちろんありますが、マルチネからリリースすることでアーティスト側にメリットがあるかということも考えます。

基本的にはフリーダウンロードというカタチを取っているだけに、アーティスト側に金銭的なフィードバックというのはないと思いますが、それ以外にどんなメリットがあると考えていますか?

今まではマルチネレコードの名前はあまり知られていなかったのですが、最近は少しずつ浸透してきた感じがあるので、自分の名前を広めたいという意識でアーティスト側からマルチネから出したいと言ってくれることも増えています。そうやってまずはここで名前を売ってくれればと思っています。

今後楽曲のダウンロードを課金制にして、その売上をアーティストに還元するという構想などはありますか?

後々にはそういうこともあるかもしれませんが、今の段階ではとりあえずもっと広がりがほしいという感じですね。あと、曲を販売するということ以外のところで利益を出していくこともできるんじゃないかなと思っています。例えば、マルチネの音源を聴いたことをきっかけに、そのアーティストにプロデュースやリミックスの依頼が入ったりということも、少しずつですが増えてきています。

tomad

アーティストが個人で楽曲を販売することもできる時代になりましたが、そのなかでレーベルとしての存在意義をどう考えていますか?

やっぱり無名の新人アーティストが自分で楽曲を配信したとしても、なかなかみんなに聴いてもらうのは難しいと思うんです。だからこそ、そうしたアーティストに多くの人の目を向けさせるということをレーベル側がやっていかないと、シーンが活性化していかないんじゃないかなと。例えば、ネットレーベルではないですが、Warpとか、Hyperdubなどのレーベルのように、ここをチェックしておけば良い音楽が手に入るとか、常に面白そうなことが起こっているとか、そういうイメージをキッチリと出していけたらいいなと思っています。個性の違う様々なアーティストがいながら、どこかにレーベルとしての共通点もあって、アーティストとレーベルの両者が一緒に盛り上がっていく感じにできたらいいですね。

Twitterなどが普及し、マルチネレコードがスタートした5年前に比べて、インターネットの環境なども変わってきていると思いますが、その辺りの影響というはありますか?

そうですね。例えば、Twitterによって、どういう人がマルチネの音楽を聴いているのかとか、それがどういう広がり方をしているのかということが確認できるようになりました。そういうものが音楽に直接反映されるかはわかりませんが、ネットの環境が変わり、それに合わせて周りにいる人たちも変わっていくことで、何か変化してくる部分もあるのかなと感じています。

今後のマルチネレコードの展開を教えて下さい。

いまだにこの先どうなっていくかが分からないんです。あまり考えすぎると、それが挫折したときに立ち行かなくなるので、ポリシーを持ち過ぎないようにしています(笑)。

でも、マルチネレコードに対する思い入れはあるわけですよね?

はい。やっぱり自分が好きなアーティストを紹介できたり、自分が作ったレーベルの名前が広まっていくとうれしいんですよね。別に上昇志向がないとか、このままでいいやと思っているわけではないんです。個人的に自分がスゴく金持ちになりたいというような思いは全然ないのですが、もっと多くの人に存在を知ってもらって、音源を聞いてもらえたらと思っています。マルチネには色々な音楽があるので、まずはそこから好きなアーティストを見つけて、タダでiPodとかに入れて楽しんでもらえたらいいんじゃないかなと思います(笑)。

tomad
「MP3 KILLED THE CD STAR ?」V.A.

Infromation
マルチネレコードによる初のコンピレーションCD「MP3 KILLED THE CD STAR ?」は、現在発売中。

DICTIONARY

RELATED