loading...

PUBLIC-IMAGE.ORG

Creators Dictionary for Realtime Culture

  • PUBLIC-IMAGE.STORE
  • PUBLIC-IMAGE.3D

ROVO | ロヴォ | Musician

97年のデビュー以来、「ダンスミュージック的なグルーヴを奏でるバンド編成」という意味では、どこまでをフォロワーという言葉で括っていいかわからないくらい、今ではジャンルは多様化し、多くのバンドやシーンに刺激を与えてきたROVO。それらバンドの系譜を辿っていくと、すべてROVOに辿り着いてしまいそうだ。2年5ヶ月ぶりにリリースされる9枚目のオリジナルアルバム『RAVO』は、普段ROVOのライヴに頻繁に足を運ぶファンでも、また違ったアレンジを楽しむことができる。ライヴを重ねるごとに、常に進化していく彼らは、その瞬間を最高に楽しむと同時に、その道を壊し続けているように感じる。テン年代最初のあいさつとして、刺激的なアルバムをリリースしたバンドの中心メンバー、勝井祐二に話を聞いた。

Text:大草朋宏

アルバム『RAVO』のコンセプトから教えてください。

このアルバムは、ツアーが終わってすぐにレコーディングしました。そういう意味では、ツアーで培ってきた演奏の勢いがパッケージされています。実は前作でも同じ作り方をしていて、全員でいっぺんに演奏して、それで終了でした。でも今作ではもう少し進めて、ライヴアレンジに加えて、さらにオーバーダビングなど、アルバムとして成立させるための要素を積極的に加えていきました。それこそCDに関しては、ライヴでの再現性とか考えていませんね。

まずは、ライヴで練り上げてきたアレンジがベースにあるんですね。

特に今回は、構成とかリズムとか、複雑で難しい曲が多かったんですよ。だから曲を作っていきなりレコーディングしても、うまく録れなかったと思います。それでも、レコーディングの当日に、イントロの入り方とか展開の仕方とか、急に変えてみたりすることもありますね。今回のアルバムの演奏は、よく言えばワイルドで、個人的にも好きですね。

ROVO

前作ではライヴアレンジ、今作ではその先にポストプロダクションを加えたということですが、これまでもライヴを基盤に制作していたのですか?

初期のアルバムは、ほとんどポストプロダクションのみでできあがっているようなアルバムでした。曲でもないようなセッションやアイデアを集めて、組み合わせて曲として成立させていったんです。いわゆるリミックスみたいな作業でしたね。当時はそこに必然性があったんですけど、それをライヴ用にアレンジしていくうちに、ライヴバンドとしての性格が強まってきました。それで、今作はそろそろ一回転させてみようと。ライヴ力みたいなものと、初期に試していたポストプロダクションを合わせてみました。

ライヴでお客さんの反応を見て、アレンジを変えたりもするのですか?

それもあります。例えば、「ここでもっと盛り上がるはずだ」と思っていたら、そうでもなかったりすると、そこから具体的に「あのブレイクの後の盛り上げ方が、もう少し勢いがあった方がいいんじゃないか?」とか相談して、スタジオや次のライヴで試します。そうやってアレンジが更新されていきますね。

そうすると、本当の意味で楽曲が完成するということはないんですね。

さすがに10年以上やっている曲は、ほとんど完成していると思いますけど、明らかにまだ完成してないなっていう曲もありますね。作曲のアイデアは僕や山本精一さん、益子樹くんが多いけど、全員がどうプレイするかというのは、それぞれに任せているんです。例えば僕の場合は、ベースのパターンとか、リフとか、ドラムの大まかなパターンは割と決めてしまう方なんですけど、それでもライヴでやっているうちに、メンバーが変えたりしているんです。それはそれぞれの責任でやっています。以前からやっている曲でも、こっちの方がいいと思ったら、そのときの気分で変わっていく。それで誰かひとりがそういうアプローチをすると、こっちもまたそれに合わせて変えていく。そうやって常に動いていますね。

Rovo

ライブを経て当初から大きく変わったような曲もあるのですか?

流動性の高い曲と、そうでもない曲があるけど、確かにいまだに発見があります。山本さんの作った曲で、何年もやっているのに、どうしてもうまくいかない曲があったんです。誰も失敗しているようには見えないのに、「今日もだめだ、全然違う」って。それで、割と最近、やっと満足のいく演奏になったみたいなんです。山本さんが最初に考えていたイメージを、ぼくらが表現できていなかったんです。リズムの解釈が少し違ったようですね。山本さんは「しっぽのあるような感じ」とかって言ってました(笑)。

しっぽですか(笑)。今回のレコーディング中にも、何かそういうキーワードなどは山本さんから出てきたのですか?

山本さんが言ってたのは、「未来的な質感」。それも予想できる近未来ではなく、もしかしたら無いかもしれないというくらい予想できない遠い未来。ROVOを語るとき、「宇宙」というキーワードがあって、「上昇感」「浮遊感」という本質があるんですよ。だからそれとどう向き合うか、距離感をどう保つか、というのが、そのときの作品の性格になっていると思うんです。あと、「SINO+」という曲では、山本さんが「スズランみたいなベースを弾いてくれ」って言ったんですよ。よーく聴いたらわかりますよ。スズランが表現されています。

いつもそうした抽象的な言葉が多いのですか?

確かに抽象的なことが多いですが、ちゃんと伝えようとしてしゃべっているので、ちゃんと聞けば言いたいことはわかります。以前に山本さんが、「ここで抽象的なラテンみたいなドラムをたたいてくれ」と芳垣さんに言ったんです。そうしたら芳垣さんは「うん、わかった」ってたたき始めた(笑)。カッコ良いな、この人たちって、すごく感動したな。

ROVO

確かにひとクセあるメンバー揃いだからこそ、いろいろな言葉にも反応できるのかもしれませんね。それぞれのパーソナリティが気になるんですが、バンド内の立ち位置を教えてもらえませんか?

僕と山本さんでこのバンドを作ろうと始めて、メンバーを集めたのは僕なんです。だからそういう意味でのリーダーシップは僕がとっています。山本さんは、もっと全体を見ていて、なかなかひと言では言い表せませんね。芳垣さんは、いないとこのバンドが成り立たない。全部を受け止めてくれる人です。岡部さんは、今でもわからないことがいっぱい。すごく底が深いし、高いレベルの情報を持っていると思います。(原田)仁くんは、チャレンジャーで、いろいろな楽器に挑戦する。ベースというと、ひたすらリズムキープというイメージが強いけど、常に何か違ったことをしようとしているんですよね。ROVOの特徴はリズムにあると思うんだけど、芳垣、岡部というツインドラムに、仁くんの普通っぽくないベースが入ることで、リズムの伸び縮みやしなやかさを与えてくれていると思います。益子くんはマイクを立てるところから、ミックスして、今回はマスタリングまでやっているので、作品に関しての音のアウトプットはすべて任せています。音を作るという意味では、ホントに天才的だと思います。それぞれが非常に個性的で、“いいやつ”のひと言で説明できる人がひとりもいない(笑)。

メンバーそれぞれが参加しているプロジェクトをすべて並べたら、スゴイ数になりますよね。

みんな音楽的に自立しているんですよね。それがいいんです。いろいろなことをやっているからこそ、言い合える。このバンドしかやっていないメンバーだったら、あっという間に解散していると思いますよ。それぞれが恒星で、惑星を持っていて、それが集まっているバンドですね。

その割には、といっては失礼なんですが、ライヴも音源リリースも活動的ですよね。他のバンドだと「6年ぶりのリリースです」なんてことに陥りがちですけど…。

それはやっぱり、このメンバーで音を出すのが面白いからですよ。ホントにそう思う。ステージ上でも思いますね。だいたいが思っていることと違う形で出てくるから。「あ、そうきましたか」みたいな。

きっとそこが重要なんですね。普通は同じメンバーで15年もやっていると、外からの風がほしくなると思うんです。でも、メンバー内だけで常に新しい風が吹く環境にある。

特に山本さんが、日本中の誰よりも予定調和を嫌う人なので。僕の知っている限りホント日本一だと思いますよ(笑)。予定調和になりそうな雰囲気が0.1秒でも見えた瞬間に壊して歩くみたいな人なので。以前にゲストを入れたライヴを企画したときに、誰をゲストにしたらいいか山本さんに相談したら、しばらくじーっと考えて、「いない」っていうんですよ。「このメンバーと一緒にやりたいと思える人が今いない」と。

ROVO

ところで、ROVOのキャリアも90年代後半からゼロ年代を通って、いわゆるテン年代に突入したわけですが、ダンスミュージックが変わったと肌感覚で思うところはありますか?

まず聴かれる環境が変わってきていますよね。10年前だったら、「ダンスミュージック」と言わずに、「クラブミュージック」と言ったでしょ。もちろんいまもクラブはあるし、盛り上がっているところもある。でも、ダンスミュージックの聴かれる場所、機能する場所というのは野外がメインになりつつあります。ROVOがやっていることは、ダンスミュージックといえばダンスミュージックなんですけど、僕たちはロックというタームも通ってきているから、ロックの延長という意識はある。でも、いま聴いている若い人はそういう捉え方でもないのかなと思います。単純なジャンルやフォーマットではなくて、きっとその音楽がその場所に有効かどうか。例えば、ROVOとロックバンド編成のJ-POPの距離感と、ROVOとレイ・ハラカミの距離感を比べたときに、後者の方が近いと思うんですよ。たまに思うんですけど、この音楽、野外に合わないなぁって音が結構ありますよね。やはり、何かその場所に機能する力があるんですよ。

フェスみたいな場がある一方、CDが売れなくなってきていますよね。ライヴとCDなどの音源に対してアプローチが異なることはありますか?

もっと中小規模の野外フェスやパーティが根付けば、文化になるし、楽しいことだと思います。でもそれだけじゃなく、いくらCDが売れない時代だからといっても、CDを作らないという選択肢はないんです。確かにライヴでの物販が中心になってきています。正直、3000円のCDを作るより、3000円のTシャツを作る方が簡単です。でも、やはり自分たちが提供する作品とか、ライヴでの表現がないと、それも成り立たないんですよ。

最後に、これからの展望があれば教えてください。

来年に向けて、今までとは違うプロジェクトを準備して動き始めたところなので、楽しみにしていてください。

ROVO

DICTIONARY

RELATED