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DJ SCOTCH EGG | DJ スコッチエッグ | Musician

DJ Scotch Eggの名前を初めて聞いたのは数年前だっただろうか。友人が個人的に彼と仲が良かったことで存在を知り、YouTubeでいくつか映像を見た。ノイジーな高速ビートに、髭モジャ長髪の風貌、GAMEBOYをいじりながら叫び踊る姿はなかなか強烈だった。それから間もなくして2008年のSonarのラインナップに名を連ねているのを見てさらに驚いた。よく聞けばAlec EmpireLightning Boltを虜にし、GlastonburyFuturesonicClub Transmedialeといったヨーロッパの名だたるフェスティバルに出演し、すでにかなりの人気を誇っているという。そして今年は15年振りにWarpからアルバムを発表したSeefeelに加入し、4月2、3日に開催されるSonarSound Tokyoにも出演が決定するなど、ますます注目が高まるアーティストだ。売れっ子なだけに(?)捕まえるのもひと苦労したが、ブライトンにいる彼と電話が繋がったので、いろいろ聞いてみた。

Text:浅沼優子

私自身は割と最近になってからScotch Eggさんの存在を知ったんですが、活動はいつ頃からされているのですか?

2002年頃ですかね。最初はノイズ音楽をやってたんで、「ワケわかんない」ってことでGAMEBOYを使ってビートを入れながらやるように、もうちょっと音楽的にやるようになったんです(笑)。

今はイギリスを拠点にしているそうですが、イギリスのどの辺なのですか?

ブライトンに10年くらい前から住んでます。変な人がたくさんいます。

今活動されているシーンというのは、いわゆるブレイク・コアのシーンなのですか?

うーん、よく分かんないです(笑)。ジャンルはこだわってないですね、基本的に。

ブライトンではそういう感じのシーンが結構あるのですか?

ありますよ、たくさん。でも、年月が経つに連れてシーンも変わってきていて、だから僕もScotch Eggだけじゃなくて他のプロジェクトも色々やってるんです。

例えば10年前と比べると、どんなところが変わってきていますか?

10年前はもっと速かったです。テンポが。ガバとかドラムンベースとか、テンポの速い音楽が主流でしたけど、最近はどんどんテンポが遅くなってきてます。ダブステップとかが流行ってますしね、そういうテンポですね。BPMが遅くなってきてる。

参加されているSeefeelの新作『Seefeel』を聴かせてもらったのですが、これもテンポはかなり遅めになっていますね。

そうっすね。あれは遅すぎますね(笑)。Seefeelの場合は、14年くらい前に(活動を)止めちゃってるんですけど、時代がなんかおかしかったみたいで! まあメンバーのマークが言ってたことですけどね、最近はやっと時代のBPMが落ちてきたし、Seefeelをまたやってもおかしくないんじゃないかって。だからまた活動し始めたみたいです。

それは面白い話ですね。

なんで遅くなってきたのか、不思議ですけどね。もしかしたら、情報のスピードの速さの影響があって、逆に音楽が遅くなってるのかもしれないですね。何でもすぐに手に入るじゃないすか、インターネットとかでパッパッて。自分たちの日常のスピードが速すぎるから、その反動で音楽は遅くなってるのかなって。

興味深い指摘ですね! Seefeel以外にはどんなプロジェクトをやっているのですか?

Drum Eyesっていうのもやってますね。5人編成で、バイオリン、キーボード、ギターにツイン・ドラムなんです。クラウトロックにメチャメチャ影響を受けていて、結構ヘヴィーな感じ。あとは、Devilmanっていう2人組のプロジェクトもやっていて、それではディストーションかけまくった、ローファイ過ぎるダブみたいなことをやってます。

Scotch Eggさんには、パフォーマンスで評価されてきている印象があるのですが、ご自身でもライブは重要視していますか?

もちろん。それが一番重要だと思ってます、個人的には。まぁ、音源が面白いバンドもあるじゃないですか、でもあんまりライブが面白くなかったり。自分の場合は、ライブはいいんだけど、音源があまり良くないタイプ(笑)。

ははは(笑)。でも、真面目な話をすると、最近は音楽産業の構造が大きく変わってきていて、これまでレコードやCDを売ることで成り立っていたものが、作品にお金を払う人が少なくなってきている。その分、パフォーマンスの重要性は高まってきていますよね。

良いこと言いますね! それは良い方向性ですよね。友達にもいるんですよ、アンダーグラウンドでやってて、レコードは売れてないけどライブがスゴい奴! そういう人たちにもチャンスが巡って来るとしたら、すごく良いことですよね。

Scotch Eggさんはその先駆けなんじゃないかなと。レコードがヒットしたというわけではないけど、海外でパフォーマンスが高く評価されている。これからはさらにそういう時代になってくるんじゃないかと思っています。質問としては、そういう時代の変化をご自身で感じているかどうか、ってことを聞きたかったんですけど(笑)。

あー、なるほど。全然感じてなかったっすね(笑)! そんな風に言ってもらったのは初めてです。そういう見方をしてもらえるのはスゴくうれしいです……ホッとした(笑)。俺、ライブしかできないから、「こんなんでいいのかな?」って思ってたところもあって。最近は一生懸命プロダクションのことを勉強してたんですよ。自分では逆のこと考えてたというか、「プロダクションできなくて大丈夫かな?」って心配の方をしてました。

これは音楽産業の人がみんな言っていることですけど、これまではレコードを売るため(宣伝するため)にライブをやっていたけど、今はライブに来てもらうためにレコードを出しているって。

え? ホントに? それは、スゴく良いことですね!

先ほど触れたSeefeelの話題に話を戻しますが、どういう経緯でバンドに加入することになったのですか?

マークっていうメンバーがいて、その人とずっと仲が良かったんです。Seefeelをやっていたってことも聞いてたんですけど、たまたまさっき話したDrum Eyeってバンドのライブをやったときにマークが見に来て、E-daさんが紹介してくれたんですね。そしたら、バンドのベーシストを探しているっていうから、「じゃあやりましょうか?」って話になった。そんな感じで……まあノリで入りましたね(笑)。

アルバムが完成して発売されたばかりですが、実際に制作に参加してみてどうでしたか?

かなり色々学びました。マーク(・クリフォード)とサラ(・ピーコック)からは学ぶことが多かった。ずっと自分は……カオスな音楽やってたから(笑)。ミニマルも好きだったんですけどね。今までやる機会がなかった。でも今回はSeefeelのコンセプトとして「ミニマル」というのがあるんで、そのミニマル音楽の「我慢することの重要性」を学びました。

我慢すること(笑)!?

カオスな音楽って、ウリャーって感じでやるじゃないですか。でも、Seefeelの場合は、ジワジワと、あんまり行き過ぎないでグルーヴを保って、ホントちょっとした、小さいことで大きなダイナミクスを作るみたいな。それを学びましたね。あと、曲を作るときの判断力の早さ! 音楽って、「決める」ことが重要じゃないですか。「じゃあ、ここはこのくらいにして、これでいこう!」みたいな、そういう判断がスゴく早いですね。一回やっただけで、「あ、もうこれでいい」とか。瞬間的にパッと出たリフとかをちゃんとキャッチするんですよ。「こういうリフができたから、こういう風に合わせてみようか」とかじゃなくて、その瞬間に曲の作り方も音の作り方も判断できちゃうんですよね。

それを判断するのはマークさんなのですか?

やっぱりマークとサラが中心なので、最初は彼らの指示に沿ってやってたんですけど、あまり色々言われなかったですね。自分ではもう一回録り直したいな、ってときも、「はい、これでいい、終わり!」って言われてビックリしたりとか(笑)。だから、スゴく生々しいというか、生っぽい部分がありますよね。

ジャム・セッションをしながら作っていったということですか?

そうですね、ほとんどがジャム・セッションみたいにして作って行きました。「aug30」って曲なんかは全部ジャムです。他にはマークがギターのフレーズを持ってきて、「みんなで合わせてみよう」っていうのもあったし。セッション・ミュージシャンではなくて、一緒に作り上げていく。その瞬間、瞬間のエナジーを閉じ込める感じですよね。

それは楽しそうですね。

うん。だから、最近は僕の他のプロジェクトもそういう曲作りになってきて。あまりこだわらずに、瞬発的なエナジーを生かすやり方になってきた。それはスゴく良いことだと思います。

電子音楽系の人は数学的というか、機械的に曲を作るイメージがあると思うので、ちょっと意外ですよね。

結局、フィーリングやエナジーが重要だってことじゃないですか。自分はそれが重要だと思ってます。どんなによく作られていても、数学的に作ったものが面白いかどうかは分からない。逆にその面白さもあるかもしれないですけど。自分は、人間的な要素があった方がいいように思いますね。

それも今の電子音楽の大きな課題ですよね。コンピューターを使えば耳障りのいいトラックは簡単に作れてしまいますけど、人の心を惹き付ける音楽っていうのは、やはりどこかに人間味を感じさせるものなんじゃないかと。少し崩れた部分というか、揺れがある部分というか。

そうですね、その通りだと思います。完璧じゃないところがいいんですよね!

そのことにみんな気づき始めていますよね。

俺気づかなかった!!

気づいてなくてもやってるじゃないですか(笑)。

それしかできないんで。完璧にしようとしてもできなかった。「やっぱこれしかできないな……」ってガッカリしてたところを……ありがとうございます(笑)!

いえいえ(笑)。お話を伺った感じだと、Sonar Sound TokyoでのSeefeelのライブも、アルバムの曲をそのまま再現するようなものではなさそうですね?

あ、全然違いますね。アルバムとライブは全然違います。ライブは爆音で、「ウォリャー」って感じでいきたいですね!

DJ Scotch Eggのソロ・パフォーマンスもあるようですが、そちらはどんな風になりそうですか? 今もGAMEBOYは使っているのですか?

そう、それがさっきの話とリンクするんですけど、1年くらい前にGAMEBOY(を使うこと)の限界を感じちゃって、Scotch Eggの活動も一時ストップしたんです。それでコンピューターを使って完璧にしようと試みたこともあったんです。でも、それだと作る過程のエナジーが損なわれてしまうんですよ。だから、それも違うなってことが分かった。GAMEBOYで曲を作ることって、スゴく制限が多い。でも、制限があるからこそ作れるものがあるというか。制限があった方が、イマジネーションが広がることもあるんですよね。その方がオリジナリティが出る。よりリスキーだから緊張感も出る。失敗するかもしれないし、逆に失敗が良かったりすることもある。それってライブには重要なことだと思うんですよね。だから、やっぱりScotch EggはGAMEBOYということで!

Information
DJ Scotch Eggが出演する「Sonar Sound Tokyo」は、4月2、3日にageHa / Studio Coastで開催される。また、彼がメンバーとして参加するSeefeelの15年ぶりとなるニューアルバム『Seefeel』は現在発売中。

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