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FACETASM | ファセッタズム | Fashion Designer

東京のニュージェネレーションを牽引するブランドのひとつとして注目を集めているファセッタズム。ファッションを中心に広がる様々なカルチャーをジャンルレスに取り入れながら、遊び心あふれる特徴的なテキスタイルやグラフィック、ベーシックでありながらひねりの利いたパターンなどを武器に、ブランドコンセプト「HUMORR OF POP」を体現する服作りを実践する同ブランドのデザイナー、落合宏理に話を聞いた。

Text:原田優輝


ブランド立ち上げの経緯を教えてください。

僕は生まれも育ちも東京なのですが、18歳くらいの頃にアンダーカバーやノーウェアなどの裏原系ファッションが流行っていて、僕もファッションデザイナーになりたいという思いで文化服装学院に入りました。卒業後はテキスタイルの会社に就職して、パリコレや東コレに参加しているブランドの仕事などをさせて頂きました。当時は、アンダーカバー、ビューティービーストシンイチロウアラカワケイタマルヤマなどをはじめ、東京のブランドにとても元気があり、刺激的でした。そうしたなかで自分が青春を過ごしたり、色々勉強できたことはとても大きかったと思います。テキスタイルの会社には7年間在籍し、アンダーカバーの内装や家具を手掛けているNGAPにもお世話になりつつ、29歳の時にファセッタズムを立ち上げました。

ブランド設立当初はどのような展開をしていたのですか?

もともと僕はモードからストリートまで、洋服全般が好きなんです。そうしたファッションの楽しさを幅広く伝えるためには、レディスをしっかりやらないといけないなという意識がどこかにありました。それで、レディスラインとユニセックスラインを半々の割合にしてスタートしました。当時は、ユニセックスをそこまでやっているブランドがまだあまりなかったのでなかなか大変だったのですが……。洋服的にはポップなものが多かったこともあり、周囲からはレディス色が少し強いと思われていたかもしれません。

「HUMORE OF POP」をブランドコンセプトにしている理由は?

以前に根本敬さんが「アヴァンギャルドのユーモア」という言葉をどこかで使われていて、それに影響を受けました。それなら自分たちは、「ユーモア・オブ・ポップ」というのをキーワードにしようと。定番の形を作りながら、そこにグラフィックなどを載せたりすることで、ポップを表現していくということをこれまでにやってきました。そのスタンスは、基本的には今も変わっていません。


これまでに落合さんが影響を受けてきたカルチャーなどがあれば教えてください。

もともと音楽が好きで、ボアダムスの追っかけなんかをしていました。あとは、やはりファッションですね。先ほども言ったように、僕らの世代は東京発信のブランドやストリートカルチャーが元気だった時期に青春を過ごしていて、一方で(マルタン・)マルジェラA.F.ヴァンデボースト、ヴェロニク・ブランキーノのなどのアントワープのモードもとても面白くて、それらを同時に見てきたことが大きかった。ファセッタズムがモードとストリートの垣根なく洋服を作っていこうとしているところにもそうした体験が反映されていると思います。

洋服のクオリティはもちろんですが、洋服から広がっていく周辺のカルチャーへの意識も強く感じられます。

そうですね。例えば、今シーズンはアメリカ西海岸・ドッグタウンなどのスケートボードカルチャーを、ファセッタズムなりに解釈したコレクションを作りました。スケートボードカルチャーの強さだったり、ある種の暴力的な部分を、組紐などのディテールで表現しています。また、西海岸の冬をイメージしながら、その物悲しさや、家族の温かみというものをひとつのストーリーとして見せたいという思いもありました。そうした雰囲気を伝えるために、クリスマスツリーの写真を撮って、それをテキスタイルで表現したりしています。


ファセッタズムの場合は、シーズンテーマや象徴的なイメージが、テキスタイルやグラフィックに反映されていることが多いですね。

そこがうちの特徴かもしれません。僕がテキスタイル会社にいた頃からのつながりで、工場さんにも協力して頂けていることもあり、ファセッタズムでは、9割方の生地をオリジナルで作っています。テキスタイル、刺繍、グラフィックなどを作る上で大切にしていることは、流行のモチーフを使うのではなく、何百年も続いてきたような多くの人に知られているイメージを使うということです。これまでにアフガンストールを作ったり、オーロラや森などをテキスタイルのモチーフにしているのもそのためです。そういう普遍的なイメージを使うことで、たとえ一度飽きてしまったとしても、何年か後にまたすんなり着られるということもあるだろうし、過去の人たちが築いてきたものを継承していきたいという思いも強いんです。

シーズンごとのテーマはどのように決まっていくのですか?

はじめに大まかなキーワードのようなものがあり、それをもとにチームで色々話をして自分たちのやりたいことや感覚などを再確認しながら、骨組みやテーマを固めていくことが多いです。今シーズンに関しては、まず「重ね着」というキーワードがあり、そこに最近僕らが頂いている興味などが相まって、西海岸というテーマが自然に浮かんできました。


今シーズンは、STUSSYともコラボレーションしたそうですね。

STUSSY側から、僕たちなりにSTUSSYを表現してほしいという依頼があったので、創業者のショーン・ステューシーが、バックパッカーとして北米に行って、そこでネイティブ・アメリカンに会ったというストーリーを勝手に想定して(笑)、トーテムポールのグラフィックをプリントしたアイテムを作りました。

ファセッタズムにとって、アメリカは特別な存在なのでしょうか?

そこまで意識はしていません。ただ、アメリカは好きだし、最近はガス・ヴァン・サント監督が撮る映画に出ているような、アメリカのユースカルチャー特有の物悲しい感覚や、悩みを抱えていそうな少年がインスピレーションソースになっているところもあるので、そういう意味ではひとつの重要な要素になっているのかもしれないですね。今回に関しては、ガス・ヴァン・サントというよりは、バンダナを巻いているドッグタウン的なスケーターのイメージが強かったのですが(笑)。


東京の次世代ブランドとして注目されることも増えていますが、東京発のブランドとして意識していることはありますか?

例えば、前回は「マイノリティ」というテーマで、トーテムポールやアフガン柄など、民族関係なくコレクションを考えていったのですが、こういうミックス感覚は東京ならではかなと思いながら作ったところはありました。ただ、もう30年以上ずっと住んでいる街なので、意識して東京の何かを表現したいという思いがあるわけではなく、あくまでも東京出身という意識だけがあり、それはむしろ取り払えないものとしてとらえています。

東京のファッションについては、どのように見ていますか?

最近はまたドメスティックブランドが注目されるようになってきていますよね。うちはいま韓国や香港などにも卸しているのですが、こうして東京のブランドが海外のお客さんからも注目してもらえるようになったのは、これまでに道筋を作ってきてくれたブランドのおかげだと思っています。今はネット販売などもあるし、ファッションの世界でも国境がなくなりつつあって、「東京=世界」という感覚がある。その状況はありがたいし、これまでと違う流れができているような気がして、とても面白いですよね。


先日、コンテンポラリーフィックスで開催されたリミテッドショップも注目を集めましたね。

リミテッドショップは今回が3回目で、過去にも写真家の鈴木親さん、スタイリストの北村道子さんとそれぞれコラボレーションをしました。今回は、ショップオーナーの吉井雄一さんにプロデュースしてもらい、一般のモデルさんを集めて、スタイリングをして撮影し、それをパネルにしてお店に飾ったりしました。3回ともそれまでにない経験ができたので、とても面白い試みでしたね。

震災直後ということで、開催にあたり悩まれたこともあったかと思います。

パーティという形こそやめましたが、リミテッドショップ自体はやろうという判断をしました。実際にやってみると、まだ青山の街が真っ暗な状況のなか、前回よりも売上は大幅に上がったんです。しかも前回の秋冬シーズンに比べ、今回は春夏だったので単価が安いにも関わらず。この状況でお客さんが集まることの力を感じたし、ポジティブに行動することの大切など、本当に色々なことを考えさせられた忘れられないイベントになりました。これが次にどうつながっていくかはまだわからないし、震災の後でデザイン自体が変わったということはありませんでしたが、言葉にできない思いが心の中には残っているので、何かの時にそれが出るのかもしれません。

THE CONTEMPORARY FIX Limited Shop 2011 S/S

今後ランウェイショーをやる予定はありますか?

近い目標として、ショーをやることは考えています。ただ、コスト面なども含め体制をしっかり整えてからにしないと、一発だけで終わってしまうと思うので、その辺はちゃんと固めていきたいですね。ショーをやったり、ショップを作ったり、色々形でブランドの出し方を考えていけたらいいなと思っています。

最後に、今後の展望などがあれば教えてください。

僕たちは洋服が楽しいと思って作っています。その楽しさをお客さんに伝えられるような表現を、友人やクリエイターの人たちを巻き込みながらやっていければと考えています。それはショーだったり、ショップだったり、インターネット上の映像だったりするかもしれない。まだ想像はつかないですが、そういうことをどんどんやっていけたらと。今はファッションの世界もだいぶ風通しが良くなって、これからどんなアクションが周囲で起こってくるかわからないですが、とても面白い状況になりつつあると感じています。


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