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WEEKEND | ウィークエンド | Musician

世田谷発のラップ・グループWEEKENDの新作『レジャー』からは、これまでの作品とは少し異なる手触りが感じられる。もちろん、パーティーは今も続いているし、ダンスフロアの華やかな光が似合うアルバムであることに変わりはない。ただ、このアルバムにはそれ以外の時間、働いてたり、テレビを見てたり、横になってボーッとしてたり、そんな普段の生活の何げない時間までもが、そのまま詰め込まれているように思う。それが少しだけシリアスに感じられるのは、積み重ねられた年月のせいであり、音楽に対する真摯な想いの反映でもあるだろう。きっと彼らは、そんな酸いも甘いも含んだ愛しき日々を、「レジャー」と呼んだのだ。

Text:金子厚武


前作『PET SOUNDS』は、自主制作時代の楽曲を集めたベスト盤でしたよね?だから、『レジャー』は「新たな一歩」という感じがあるのかなと思ったんですが、どうですか?

泉水マサチェリー(以下S):地続きなんだけど、やるからにはあんまり聴いたことのないものをやりたいと思っていて、あとは…パーティー疲れしたっていうか(笑)。ディスコ感は俺はもういいかなって。

MC転校生(以下T):前作はサンプリングを駆使して、みんなが好きそうなものを意識して作っている感じもあったけど、今回の流れは自然で、泉水くんはトラックメーカーであり、バンドでギターとかボーカルもやってるし、元々持っていた音楽に対する幅広さがそのまま出た感じじゃないかなと。僕とモニカは何も考えてない可能性あるけど(笑)。

S:でも、あんまり聴いたことがないものをやろうって言ったのはいいんだけど、できたものがOKなのかNGなのか判断するのに膨大な時間がかかって(笑)。わかりやすく「パーティー」とかだったらよかったんだけど、そういうのでもなくて…。普通に聴いてもグッと来るものがいいなあとか思い出すと、何が正解かわかんなくて。

別にパーティー感がなくなってるわけじゃないですしね。

S:そう、そのバランスを取るのにスゴい時間がかかった。一曲単位だとなんだかよくわかんないものも入っていると思うんだけど、アルバム単位で考えないと、あんまり音楽面白くなくなっちゃうと思うし。

S:フェスとかでも、30分セットで知らないバンドが盛り上げるためには、わかりやすい曲で、わかりやすいステージングで名を売ってくしかないでしょ? 全体がそういう流れになってるのって、スゴく雑な気がする。ユニコーンとか俺大好きだったんだけど、謎の曲もスゴい多かったでしょ? 最初は「大迷惑」なんだけど、数年経ってみると「いかんともしがたい男」って曲がスゴい好きになってたりする、あのマジック。その繰り返しで、「音楽って深くていいな」って思うはずが、今はインスタントなのがいいと思われるから、深みがどんどんなくなっていっちゃうし、やっている側も深みを出さなくなって、その悪循環が面白くないから…。で、B面ばっか集めたみたいなアルバムになった(笑)。

MCモニカ(以下M):この前車で聴いていて、ピークポイントがどこかあんまりわかんないのがいいなと思って。一瞬だけピークが来てすぐ下がったり、それこそゴミみたいな瞬間もあったり(笑)。

やっぱり僕も「これがシングル!」というよりも、今のところアルバム全体で聴いている感じですね。聴く度に好きな曲が変わるというか。

S:やっぱりB面集なのかな…。ある意味本当のB-BOY、B面BOY(笑)。

WEEKEND

(笑)。でも一曲挙げるとすれば「PASS THE MIC」ですかね。今回リリックが少しシリアスになった印象があって、特にこの曲のインスト部分前あたりのリリックは、ただ楽しそうにやっているように見えて、実は真面目に音楽のことを考えていて、現状に対する苛立ちもあるということが伝わってくるなと。

M:インストのとこスゴくいいよね、あのムードだけ残す感じ。あれ作んないから、普通は。次すぐ行くから。でも、ああいうのがいい。これ車で一人で聴いたら結構トリップ感あると思うなあ。

S:一人でも家でちゃんと聴いてほしいかもね、アルバム一枚で。

T:アルバムを最初から最後まで聴く時間ってあんまり取れなかったりするでしょ? 移動しながら聴いていても6曲目とかで終わっちゃうし、だから最後まで聴けたときの喜びっていうか、その時間の有意義さ、「60分音楽聴けているあなたのその時間帯! ナイス!」みたいな。シャッフルとかしちゃう人もいるだろうけど、1曲目から聴いて最後まで行ったら、結構見える景色違うと思う。その瞬間にレジャー感がある。

M:それわかるよ、家で寝る前にさ、iTunesで聴いていて、最後の3曲くらいいつも聴けない(笑)。

WEEKEND

あるある(笑)。『レジャー』というタイトルはどこから出てきたんですか?

M:ホントに意味は全くなくて、『レジャー』ってタイトルをつけたいなって、2年ぐらい前になんか言ってたのね。もうメンバーも覚えてないと思ってたんだけど、泉水くんがレジャーにしようっていうから、「そうなんだ」って。

T:『レジャー』って何を指しているのかわかんないところが良いよね? 行楽のことなのか、行為なのか、精神なのか、その曖昧さは好きだなって。

S:でも、俺「レジャー」ってスゴく大事だと思う。もう人類って夢ないじゃん?

M:そうなの(笑)?

S:昔だったら、「21世紀に何したい?」って言ったときに、「空飛びたい!」とか無邪気な夢があったじゃん? 「空飛ぶぞ!」って人類が全員で目標に向けてがんばってたわけでしょ? でも今って、「CPUを速くしたい」とかそういう分業が進みすぎた夢になってきちゃって、「宇宙行きたい」とかはあるかもしれないけど、日常と離れすぎてるような気がする。じゃあどういうとこで楽しんでいくかっていうと「レジャー」とかしかないと思う。細かい楽しみを積み上げるっていうか。音楽もそうで、自分ん家で録音したいとか、もっと簡単にCDが作りたいとか、機材面の夢が今もう叶っちゃったから、「レジャー」みたいなアップデートしかしか新しさを提示できないと思う。…っていう壮大なキーワードにしたらどうだろうかと。

WEEKEND

なるほど。そういう重層的な受け取り方ができるタイトルっていいですよね。あともうひとつ聞きたかったんですけど、WEEKENDはいわゆる”運命共同体”的なグループではなくて、メンバーそれぞれが個々の活動をしつつ、なおかつWEEKENDとしてもやっているわけですよね? なので、それぞれにとってのWEEKENDの意味というのを聞きたくて。

T:なんかね、昔からシャイなクセに表舞台に立ちたいって願望があって。テレビとか映画とか好きだったから。自分の中でできることを整理していったら、WEEKENDが残った、みたいな。映像とか写真とか絵とかいろいろ手を出して、文章書くのも好きだし、音楽もある程度好きで、たまたまこれが一番長く続いているっていうだけ。

結果的にでもあり、必然でもあり。

T:望んでここまで来たけど、みなさんのおかげで、というか。求められる表現方法が音楽じゃなくなっても、それはそれでやるような気がする。

S:3年後くらいコントやってるかも(笑)。

M:「キングオブコント」とか出ちゃうんでしょ?

T:WEEKENDとしてね (笑)。

(笑)。モニカくんは、VIDEOでバンド活動もしていますよね。

M:WEEKENDに入ったきっかけはあんまり覚えてないんだけど、この人たちとだったらできるっていうか、気が合うのかもわかんないけど…許してくれるっていうか、怒られ過ぎない(笑)。とは言いつつも、やっていると自分の中で歴史が積み上がっていって、ヒップホップが好きだっていう、ちょっとしたきっかけだけがかなり広がっちゃったっていう。

T:そうそう、ホントそうだよね。

M:わりと初期はふざけてたっていうか、キャラ押しでやっていたのを、『PET SOUNDS』が出たあたりから、一回ちゃんとしたラップできるかもってやってみたら、型は一応踏めるなと思って、そういう風に自分内歴史が更新されてる状態。VIDEOとか、自分のやってきたやつは自分の型があるから、それはそれでやるし。

WEEKEND

泉水くんは?

S:俺多分一人でやると、あんまりバランス考えないでやっちゃうタイプなんですよ。でも3人でやると、作る段階で「これじゃあきっとあの人たちやりにくいだろうから」とか、ある程度想定しつつやれるっていう。あと俺バンドやっていてもアクが強過ぎちゃって、「俺とバンド」ってなっちゃうんだけど、WEEKENDはみんな埋もれない個性みたいのがあるから、それはミラクルだなって。

この3人のバランスはホント見事だと思います。

M:みんななんか知らないけど若干派手っていうのがいいよね(笑)。

S:派手かな?

M:ホントに地味な人いないじゃん? 元気なくても、普通の元気ないやつよりは多少元気あるからばれないっていう。

S:ネアカだよね。

M:でも、あれじゃない? だからカリスマになれないんじゃない? 軽さ出ちゃうから(笑)。

T:何に対しても本気で「まあ、いーか」って思っちゃってるからね。(笑)。

M:「人それぞれ事情があるし」って思っちゃうよね?

T:そうそう(笑)。

WEEKEND

そんなWEEKENDの人物像が浮かび上がったところで、そろそろお時間のようです。最後に何か言っておくことありますか?

S:今回『レジャー』特設サイトにコメントくれた人にはありがとうって言っておきたいな…って、わざわざ書かなくてもいいか。

M:カッコ良いって言ってくれたら、そのカッコ良いって思っている人同士は会いたくなると思うから、そういうことをやっていった方がいいと思う。自分のセンスと共鳴する人に出会うことって、生きているなかでスゴく重要な気がする。あとは目の前で鳴っている音を、そのままちゃんと聴けるかどうかだよね。

S:そう、ホントそれに尽きると思う。いろんなものに紛らわされないで、何が一番カッコ良いのか、どういう音楽を聴いたことがないのか、音楽にピュアな気持ちで接してもらえたら、ホントにうれしい。それをやんないと、音楽はダメになっちゃうと思うから。

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