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MIFUNE / KROFUNE | ミフネ / クロフネ | Fashion Designer

常に独自性の強さとアイデンティティを持ち、感度の高い若者やセレクトショップから支持され続けるブランドというのは、東京のストリートから発信されているように感じる。帽子ブランド・MIFUNE / KROFUNEもそのひとつだろう。アートの視点から作られる帽子は、コンセプチュアルな表現の中にも細かい手仕事の気配が感じられる。設立から9周年経つ今もなお、帽子という枠の中でコレクションを発表し続ける同ブランドのデザイナー、萱場真鳥に話を伺った。

Text:小島直子

MIFUNEを始めたきっかけを教えて下さい。

もともと2000年くらいまではアーティスト活動をやっていました。その時はスクラップブックの作品を作ったり、それを転写してTシャツを作ったりしていました。ある時、テキスタイルで模様を作りたくなって、シルクスクリーンを使って生地を作ったんです。その生地を何かモノにしたいと思った時にたまたま、今でもうちの帽子を作ってもらっている、大学の先輩の土田さんに帽子制作をお願いして形にしてもらったことが始まりです。帽子になるとただ平坦にみえていたものがプロダクトのように立体的になるのが面白くて、そこからのめり込んでいきました。

もともと帽子や服飾を専門的には学んでいなかったのですか?

武蔵野美術大学のファッションデザイン専攻だったのですが、あまり服は作らずに、アートばかり一生懸命やってきたので、全く縫えないと言ってもいいくらいなんですよ。普通の女子以下(笑)。主任教授が佐賀町エキジビットスペースを主宰されていた小池一子さんで、卒業してから小池さんのスペースで働いたり、ファッションを何となく感じながら、アートをずっとやっていました。その後、初めて作った帽子と手刷りの1点モノのプリントTシャツを、原宿にあるセレクトショップのCANNABISに置いてもらいました。Tシャツの方はマトリカヤバの頭文字をとって「mtrkyb」という名前でやっていました。CANNABISの合同展に出させてもらううちに、MIFUNEとして新作を発表するようになっていきました。

MIFUNE / KROFUNE

コンセプチュアルなデザインが特徴ですが、どのような制作行程で作られているのでしょうか?

まず、デザイン画を細かく描いて、つばの大きさや帽子サイズを全てこちらで指定してから、土田さんに作ってもらっています。普通の帽子は4つの面ぐらいで出来ているのですが、うちの場合は、全部で25~30種類くらいの生地を帽子へ割り当てていきます。それをさらに割っているので、土田さんじゃないと嫌になるくらいの仕様書です。banal chic bizarreのコレクションで出した時の帽子は、もう70歳を超えている東京でも数少ない帽子職人の方に作ってもらったんですよ。

量産とは思えない行程ですね。機能性についてはどのように考えていますか?

重さは重要だと思っています。以前、つばの部分だけに薄い生地を50枚ほど重ねた帽子を作ったことがありましたが、被ったら首が折れそうになりました(笑)。見た目はすごくカッコ良かったんですけどね。やっているうちに、だいたい220gまでなら負担がないということが分かりました。かといって、180g以下だと被っている感じがしない。ある程度の重みがないと、持ってる人も満足感が得られないんです。あと、帽子を被る時に、前髪を崩さないように後ろからそっと被る方も結構いるので、髪型が崩れないようにつばが短めで頭に載せるだけの軽い帽子を作ったこともありましたね。そういう部分の機能性は意識しています。

MIFUNE / KROFUNEMIFUNE / KROFUNE

一方で、1点もののライン「How Do You Feel?」シリーズではどのように作っているのですか?

バーバリーなどのコートやタイダイのTシャツ、アーミー生地など、そのままでも十分カッコいいものを解体して帽子を作っています。昔は服だったものが帽子に変えられ、その服はどう思うのだろうか? というコンセプトで「How Do You Feel?」を始めたので、リメイクとは考え方が違うかもしれません。服の使いたい部分だけを使うので、全然エコじゃない(笑)。以前、セレクトショップのCANDYがまだ新宿にある頃に、ファッションデザイナーのHIROさんが企画したイベントに参加したことがあって、それは参加ブランドがHIROの洋服を好きに表現するという企画だったのですが、その時に厚手のカットソーをザクザクと切り裂いて帽子を作ったことがきっかけになり、このラインが始まりました。「How Do You Feel?」はMIFUNEの中の一環、シリーズとして発表しています。前に「SUNGLASSES」という別ラインもやっていたこともありましたが、お客さんにはあまり浸透しませんでした。別ラインという位置づけで一番最初に浸透したのが、黒に特化するラインとして2007A/Wに始めた「KROFUNE」でした。

黒をテーマにしたKROFUNEでは、毎回どのようにテーマを見つけてくるのですか?

例えば、真冬のツルツルに凍結した道路のこと「BLACK ICE」と言うらしいのですが、それをテーマに、アスファルトのような質感を表現をしたコレクションを発表したことがありました。「BLACK ICE」というのは、AC/DCのアルバム名で、もともとはそこから取っています。また、08SSのテーマは「黒い透明」といいますが、英語ではなく日本語で語感のよいものを選ぶ場合もあります。最近立ち上がったばかりの秋冬のテーマは、「THEE BLACK ANGELS DEAD SONG」なんですが、これはある時に古本屋で見た画集のタイトルが「BLACK ANGELS DEAD SONG」で、The Velvet Undergroundの曲に「BLACK ANGELS DEATH SONG」というタイトルのものがあって、言い回しがいいなと思い決めました。KROFUNEのコレクション名には「黒」か「ブラック」という言葉を意識して入れるようにしていますね。前に、黒に反発する白をコンセプトにした「白い暴動」というコレクション名で、白と黒で同じデザインの帽子を素材を変えて見せるということをやったのですが、やっぱり白ではお客さんが納得いかないようでした(笑)。

先にコレクション名から決まっていくんですね。

その方が多いです。何通りにも考えられるような意味合いの言葉だったり、そこからデザインが生まれてくるような言葉を選んでつけています。先にお題を作って、それに対してどうしていこうかと考えていくやり方は、デザイナー的かもしれませんね。帽子という範疇でMIFUNEで2回、KROFUNEで2回の、年に計4回もコレクションをやっているので、まず言葉で分けていかないと、どうしても似通ってきてしまうんです。

MIFUNE / KROFUNE

MIFUNE / KROFUNE

他のブランドとも数多くコラボレーションされていますが、その時はどのように制作していくのですか?

これまでに出してきた帽子の中から実際にかぶってもらったりしてイメージに近い形を選んでもらい、そこからコラボレーション相手がテーマにしていることを加えていくというやり方が多いです。帽子の形が決まったら、ブランド側から生地を支給してもらい、それをこちらで帽子に落とし込んでいったり、前にBLANKさんとやった時は、こちらが作ったストローハットの上にステンシルでペイントしてもらいました。1から10までうちでやる場合もあったり、やり方はさまざまです。そういえば5年ほど前に、コラボとは別で堂本剛さんから、うちで作ったファーのハンチングをコンサート用に別注で作ってほしいというオーダーを頂いたことがありました。モヒカンのように長くしたファーが黒だったのを、色をピンクに変えてもらいたいというのが堂本さんのオーダーでした。

その時の反響はどうでしたか?

すごくありましたね。露出も多かったので、ファンの方以外からもいまだに欲しいという問い合わせがあります。堂本さんのために作ったので、最初は問い合わせがあっても作る気はなかったんですが、そんなにみんな欲しいのならと、サイト上で期間限定で受注をとりました。もう5年も前のことなのに、長く欲しいと思い続けてくれるものなんだなと。

MIFUNE / KROFUNEMIFUNE / KROFUNE

そう考えると、服に比べて帽子には流行り廃りがあまりないですよね。デザインをする時に、トレンドは意識しますか?

うちのブランドなりの流行というのはあって、その辺を外すことはしないですね。3、4シーズン前から出してる形で、ファーでシルエットが大きめの「JAMORI」という帽子があるのですが、イメージソースはデビュー当時のジャミロクワイがかぶっていた帽子なんです。毎シーズンお問い合わせがある商品なので、少しずつ形をバージョンアップして毎年出しています。わざわざ世の中の流行を分析をして取り入れたりということはしないですが、街を歩いていて作りたくなることはありますよ。この間、女の子がバイクから降りて、ヘルメットを脱いで、カンカン帽を出して被っていたのを見て、カンカン帽が流行っていることよりも、その行為が嬉しいなってちょっと感動しました(笑)。あとは去年、フェルトの中折れ帽にメガネを付けて出したんです。渋谷を歩いていたら、誰かしらメガネを帽子に乗っけているような感じだったので、これは流行るのも時間の問題だと思ってうちから出してしまいました(笑)。そうしたら、漫画のワンピースに登場するエースというキャラクターがかぶっている帽子に似ているらしく、「エース帽」という名前で勝手に呼ばれていたり(笑)。うちはブランドを始めた当初から、ひとつひとつのアイテムに名前をつけているんですが、愛着を持ってもらえているようで、オーダーもちゃんとその名前で入れてくれるんですよね。

MIFUNE / KROFUNEの帽子は、それぞれがひとつの個性やキャラクターを持っている感じがします。

去年、アヒルみたいな帽子を作って、「アフラック」っていう名前をつけたんです。買ってくれた女の子がその帽子について、ペットを紹介するようなノリでブログを書いてました。そういうのは面白いですね。

MIFUNE / KROFUNEMIFUNE / KROFUNE

これまで、日本には帽子の文化があまりありませんでしたが、最近は帽子専門のセレクトショップも増えてきましたよね。それもカジュアルに取り入れられるようなデザインが増えてきているように感じます。

そうですね。ブランドを始めた頃は、従来の帽子屋さんから、カジュアルな帽子屋さんに変わる時期だったんです。僕らも最初に置き始めたお店が帽子屋さんではなく、セレクトショップだったということが、その後の歩みに大きな影響を与えていると思います。セレクトショップは帽子をかぶる人専門にやっているわけではないので、帽子を買ってもらうには、まずは普段帽子をかぶらない人にかぶらせるというところから始めないといけませんでした。そもそも自分は帽子が好きな人に向けて売り始めたわけじゃないんです。普通の帽子だったらその辺で買えばいいし、それを自分たちが作る意味はないので。今年でブランド設立9年になりますが、実は帽子屋さんからオファーが来るようになったのは今シーズンの秋冬コレクションが初めてなんです。

今後の活動予定を教えて下さい。

9月にオープンする銀座のホテルにあるイタリアンレストランのメインダイニングに、常設のアート作品を展示します。10月は表参道でやるチャリティのアートイベントにも出品が決まっています。それと、2年後に北海道にアートスペースができるのですが、僕の企画で何か展覧会をやりたいというお話も頂いています。不思議なことにファッションの仕事を頑張っていたら、今度はあきらめていたアートの仕事が来るようになったんです。もともと、アートをやっていた頃から言葉でコミュニケーションを取るのが苦手で、作ったものを介して人とコミュニケーションが取れたらいいなと思っていたのですが、ファッションをやるようになってからは、いろんな人と繋がることができてびっくりしています。こうやってメディアの方に取材されるのもそうですし、お店の人やお客さんへの広がり方も全然違いますね。次は、ファッションから得たコミュニケーションのやり方を使って、アート表現もできたらいいなと思っています。




Information

「Furutoshi」常設展
オープン:2011年9月22日(木)
場所:ソラリア西鉄ホテル銀座 2階 レストラン「Furutoshi」
シルクスクリーンの刷り台の生地や、ヴィンテージアイテムをコラージュ、デコレーションしたタペストリーとランプシェードがインテリアを飾るアート作品として常設予定。


アートイベント「The Happening 002 ~craft~」
開催日:2011年10月25日(火)10:00~17:00
場所:表参道 Convivion
参加アーティスト:BLESS / IN-PROCESS BY HALL OHARA ほか
propagandahairのTeruがオーガナイズするチャリティ・アートイベントにて、アート作品を出品予定 。

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