loading...

PUBLIC-IMAGE.ORG

Creators Dictionary for Realtime Culture

  • PUBLIC-IMAGE.STORE
  • PUBLIC-IMAGE.3D

MACARONIC | マカロニック | Fashion Brand

東京ファッションのいまを伝える独自のセレクトで、コアなファンを中心に人気を集めるショップ・マカロニック。激戦区・原宿において、オープンから7年にわたり支持を得ている同ショップだが、先シーズンにはオリジナルブランドでランウェイデビューも果たし、オリジナルの生地と古着を解体・再構築していくクリエーションにも大きな注目が集まった。ショップオーナーであり、オリジナルブランドのデザイナー、さらにスタイリストとしても活動する青木貴志に、マカロニックについてさまざまな側面から語ってもらった。

Text:原田優輝

ファッションの仕事をやろうと思ったのはいつ頃からですか?

もともと小学生の頃から興味はあったのですが、小中高とずっとサッカーをやっていて、それが常に一番だったんです。ただ、サッカーは高校まででやめてしまい、その後目標を失ってなんとなく大学に行ったのですが、このままではまずいと思い、サッカーの次に好きだったファッションを本格的にやってみようと。それで、服飾の専門学校に行き、そこから仕事としてファッションを意識するようになりました。

その当時具体的にやりたかった仕事はありましたか?

10代の頃とかは、それぞれがどんな仕事をしているかということはあまりわからないじゃないですか。ただ、その中でもなんとなくデザイナーは敷居が高いイメージがあって、スゴい才能がないとなれないんじゃないかと勝手に思っていて。一方で、スタイリストなら自分でもやれるんじゃないかなという漠然としたイメージがあったんです。専門学校ではスタイリストの勉強をしていたのですが、スタイリングの実習とかがあると、リースができないので自分で安い服を買ってくるか、作るかしかないんですね、買うと言っても学生が手に入れられるものなんてたかが知れているので、それなら自分で作った方がいいと思い、作り始めたのですが、それが意外に面白くて、デザインにも興味を持つようになりました。

卒業後はどんな仕事をするようになったのですか?

スタイリストになろうとすると、まずはじめに誰かのアシスタントになるというのがセオリーなんですね。でも、自分ではあまりそういう考えはなくて、自力で何とかしたいと思っていたんですが、特にコネがあるわけでもないのでなかなか難しくて…。それでとりあえず1年間ロンドンに留学をすることにしたのですが、そこでも特に何が起こるわけでもなく(笑)。その後帰国して、自分が作った作品をショップに持ち込んだら置かせてもらえることになり、それが思いのほか売れていったこともあり、デザインとスタイリング両方やっていけないかなと思うようになっていきました。

ショップを始めたのはどのタイミングだったのですか?

いま話したような活動を1年くらいしてからですね。始めた当初は誰もマカロニックのことなんか知らないですし、取引もなかなか難しくて…。しばらくは古着や、友人から送ってもらった服をリメイクして置いたり、知り合いのブランドなどを入れたりしていました。その後、ショップを始めて1年くらい経った時に、まだ無名だったアンリアレイジの森永(邦彦)くんと出会ったんです。彼が作っている洋服を初めて見た時は衝撃的でしたね。しかも彼とは同い年で、同じ時期に同じ専門学校に通っていたことが後でわかって。そんな偶然が重なって、アンリアレイジの洋服もお店に置くようになったり、割とそうした出会いには恵まれていたと思います。

オリジナルブランドもショップスタート時から始めていたのですか?

はい。僕はもともと古着が好きで、その一番の理由は、誰ともかぶらないというところなんです。だから、オリジナルブランドをやる時も、古着を解体・りミックスして、一点物を作っていきたいという思いがありました。マカロニックという名前にも、相反するものをミックスさせるという意味があるのですが、そういう考え方が自分のもの作りの根底にあるんです。ただ、一点物だから高いとか、一点物だからスゴく価値があるとは思っていません。むしろそれは作り手である僕の勝手な都合だし、お客様によっては同じ物がほしいという方もいる。ある意味、無責任なもの作りだと思うんです。でも、その無責任さが面白い。二度と出会わないであろうテキスタイルで遊んでいるわけですから。

自分のブランドを持ちながら、セレクトショップという形態をとっているのはなぜですか?

周りにスゴいと思う服を作っている人達がたくさんいるので、そういう人たちとも接点を持ちたいなと思っていたんです。始めた頃はそんなに他のブランドの服を置けなかったということもあり、オリジナルが7割くらいでした。いまはオリジナルは4割くらいになっていますね。

セレクトするブランドの基準はありますか?

基本的には人ありきで考えています。その人と話したり、飲んだりした時に光るものを感じる人は、やっぱり良いものを作っていることが多いし、人と人とのつながりを大事にしたいという思いも強いので、作品よりも人から入ることが多いです。あと、有名無名は意識せずに、なるべく先入観を捨ててフラットな目で見て、その服を置きたいかどうかというジャッジをするようにしています。自分たちくらいの世代の日本のブランドは、かなり面白いと思うし、実際に海外からも評価されています。そういうブランドは、ファストファッションの影響なども全くと言っていいほど受けていない。ファストファッションを否定する気はないし、実際に良いものを作っていて、モノと価格を見比べた時に、負けてしまっている日本のブランドも正直多いと僕は思うんです。ただ、自分たちはファストファッションで買えるような洋服は絶対に置かないし、そういうところにあったら色んな意味で浮いてしまうようなものを提案していきたいなと思っています。


オリジナルブランドは、先シーズンランウェイデビューも果たしましたね。

ブランドを始めて7年目に入ったのですが、売り上げ的には少しずつ上向きで、多分このまま続けていればある程度安定できる自信はありました。それに、もしコレクションを一度やってしまうと、もう後戻りができないというか、走り続けていかないといけないし、どこかで絶対に落ちる時が来てしまうんじゃないかという思いがあったんです。そういう流れに乗っていくことの怖さはあったし、今のスタンスでコアなファンを相手にしていけば、それはそれでよかった。でも、そうやって保守的になっていくのはどうなんだろうということは悩んでいて…。そんな時にroomsLINKさんからお話を頂いて、じゃあやってみようということになったんです。

ショーをすることで、これまでのファン以外の多くの人の目にも触れることになったと思いますが、実際にやってみていかがでしたか?

こんなに人間の感情は一日ごとに変動するのかということがわかりましたね(笑)。特にラスト1ヶ月の浮き沈みは激しかったです。ショー当日は、デビューコレクションということもあったし、どれくらいの人が来てくれるか正直不安でしたが、満員になるまでお客さんが入ってくれて、ジャーナリストの方たちもたくさん来てくれました。反響も大きくて、その後にやった展示会ではいままでうちのことを知らなかった人たちも買ってくれたし、コレクションの持つ力はスゴいんだなと改めて痛感しましたね。

ショーをやるにあたり、これまでと変えた部分などはありましたか?

今回初めてシーズンテーマを作りました。これまでは、テーマというものは服作りをしていく上で、足かせにしかならないと思っていたんです。ただ、周りからはそういうやり方だといつか壁にぶつかるから、テーマは設けた方がいいと言われたりもしていたので、今回初めてショーをするにあたり、テーマを作ってみることにしたんです。今回は「オノマトペ」というテーマを先に設定したのですが、それによっていままでになかった視点で服作りをすることができて面白かったですね。ただ、まだまだ消化不良の部分もあったので、次回はもう少しテーマを煮詰めていけたと考えています。

古着を解体して洋服を作っていく際に、何か基準にしていることはありますか?

色々な基準がありますね。例えば、色や風合いに惹かれて取り入れることもありますし、カフスなどのディテールを見て選んでいくこともあります。古着を使っていると、ドキドキするような出会いがあるんですよね。それは真っさらな一枚の生地を選ぶ感覚とはやっぱり違うんです。僕はあまり生地だけを見て、作りたいものをイメージすることはできないんですね。古着の場合はすでにカタチがあるので、この素材や柄、ディテールをどう活かして作っていくかという視点で考えていくことができるんです。


その辺りには青木さんのスタイリストとしての感性が活かされていそうですね。

そうかもしれないですね。スタイリストとしてブランドにリースに行ったりした時に、「これを買い取って、こうリメイクしたい」という衝動に駆られることもあって、そういう視点で洋服を見る癖がついていますね。僕は、この世に完璧な洋服というのはないと思っているんです。どんな洋服でも1ミリ丈を短くしたり、肩幅を狭めるだけで表情がガラリと変わる。そうやって洋服をいじり倒して、遊び倒すことに限界はないと思うんです。

すでにあるものを編集して作っていくという感覚が強いのですね。

そうですね。僕はデザイン画もほとんど描いたことがありません。そもそも絵が描けないので、スタッフに説明する時も本当に見せるのが恥ずかしいような絵しか描けない(笑)。だから、自分の頭の中にあるイメージを伝えるために、トルソーを使って立体で作っていってしまうんです。そういう作り方だと、最初に想像していたものと全然違う仕上がりになることもあって、そういう偶発的なのか必然的なのかわからないようなものができるのも面白いなと。


服作りをする上でトレンドを意識することはありますか?

僕はショップを経営したり、スタイリストとして仕事をしているにも関わらず、イマイチトレンドというものに興味が持てないんです(笑)。それを意識してしまうと、5年後、10年後には見れないような服になってしまうと思うんですね。時が経っても古くならずに残っていくようなものを作りたいんです。だからこそ、トレンドというものはあえて意識しないようにしているところがある。例えば、うちは半年に1回コレクションを発表するのではなく、年に1回発表するというスタンスをとっています。普通のブランドだと、オーダーを取らなくてはいけないので、半年に1回というペースでやらざるを得ないところもあると思うのですが、うちの場合はアトリエ生産で、逆にそんなにオーダーがとれないこともあるし、自分たちのお店もある。それなら半年に1回というサイクルに乗る必要はないし、全ての道は必ずしも一本じゃない。自分たちのペースで作っていければいいなと思っています。

今後のマカロニックの展開について、何か思い描いていることがあれば教えてください。

基本的に僕は遠い未来は見れない人間なのですが、その時にやりたいと思ったことをやれるだけの力や知名度、経済力は備えておきたいなと思っています。あと、漠然と考えているのは、ファッションのなんでも屋になるということです。スタイリスト、デザイナー、ショップをすべてやっている人はそんなにいないと思うし、うちは映画やタレントさんとのコラボレーショングッズなどもやっているので、そういう強みは伸ばしていきたい。ファッションに関してはこの会社に頼んでおけば何か面白いことをやってくれるだろうと思われるような存在になれたらいいなと思っています。

DICTIONARY

RELATED