MUSIC『あぶらだこ』/あぶらだこ | CD Review
結成以来、常に先鋭的なサウンドを作り出し、日本、いやおそらく世界的に見ても、特異な存在であり続けるバンド、あぶらだこ。結成から25年を迎えた彼らが、ゆらゆら帝国等を手がける中村宗一郎をエンジニアに迎え、約4年ぶりとなるフルアルバムをリリースする。
Text:長汐祐人
4半世紀にも及ぶその長い活動において、あぶらだこはあぶらだこ以外の何者でもなく、あぶらだこであり続けた。
こちらの予想を裏切り続ける奇抜な進行。変拍子を駆使した曲構成。長谷川裕倫の奇声じみた、うなるような独特のボーカル。無意味なのか意味深なのか、奇怪な言葉が散りばめられた歌詞。これらの要素から構成されるあぶらだこは、常に孤高の存在だった。
今回のアルバムでも、超変拍子は健在で、これまで以上に新鮮な刺激を与えてくれるアルバムだ。
不気味な1曲目『倅の勘違い』で幕を開け、切ないメロディが印象的な荘厳なナンバー『グレーグビズマズ』、後半激しいビートで畳み掛ける『猫の角』、ダンサブルなビートに篳篥(ひちりき)で鳴らされるキャッチーなメロディが重なる、軽快な1曲『餅撒きジルバ』など、アバンギャルドな曲、しっとりしたメロディ、アップテンポなリズムと、めまぐるしく入れ替わり複雑に絡み合う楽曲たちに引き込まれ、最後まで一気に聴けてしまう。
そして聴き終わった後に残るのは、意外にも爽快感だ。これまでもあぶらだこのサウンドは、奇妙さ難解さとともに、なぜか親しみやすい不思議なユーモアを持ち合わせてはいた。
吹き荒ぶ篳篥や掻き鳴らされるテルミンの音色、今まで以上にアップテンポな楽曲など、遊び心の効いた試みにより、そのユーモアがこれまでよりも増している。それによって、今までのあぶらだこにはなかった爽快さを感じさせてくれることが、このアルバムの大きな特徴だ。
結成25年にして、また新たな一面を見せてくれたあぶらだこ。あらゆるジャンルを逸脱し、自由な活動を続ける彼らは、何年たっても目が離せない、刺激的なバンドであり続ける。
Release Information
『あぶらだこ』
アーティスト名:あぶらだこ
レーベル : P-Vine
リリース日 : June 06. 2008
Artist Profile
あぶらだこ1983年、長谷川裕倫を中心に結成。当時のパンク/ハードコア・シーンの中にあって既に全く異質の存在として注目を浴び、カルト的な人気を集める。85年8月に徳間ジャパンより1stアルバム『あぶらだこ(通称:木盤)』を発表。さらに、翌86年12月に2ndアルバム『あぶらだこ(通称:青盤)』、89年4月には3rdアルバム『あぶらだこ(通称:亀盤)』と順調にリリースを重ねるが、その後長い活動休止期間を経て、96年1月にキング・レコードより4thアルバム『あぶらだこ(通称:釣盤)』を発表。その後、オリジナルメンバーの和泉明夫(ギター)が脱退し、99年に大國正人が加入。翌2000年にはイースタン・ユースやfOULが所属する坂本商店のコンピレーション『極東最前線』に参加し、MIDIから5thアルバム『あぶらだこ(通称:月盤)』を発表するなど、再び活動を活発化させる。2008年6月、Pヴァインよりニューアルバムをリリース。同時に1983年から84年までにADKに残したソノシートや12インチの音源に加え、未発表ライヴテイクなども大量に追加収録したを新規リマスター版もリリースされる。













