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Book『変わる価値』 | 変わる価値 レビュー

優れた印刷技術とエッジの効いたデザインで、常にクリエイティブ業界の視線を集めるGRAPH。「DESIGN×PRINTING」を掲げ、印刷からデザイン、ブランディングまで、クライアントの要望を上回るクオリティを提供する彼らの仕事は、業界内でも評判だ。
そのGRAPHのアートディレクターとして、幅広い分野で活躍する北川一成が、一冊の本『変わる価値』を出版した。雑誌『DTP WORLD』の連載記事をまとめたこの書籍では、デザイン業界において常に新しい価値を生み出していく、北川一成の原点と考え方に触れることができる。

Text:日比野 紗希

変わる価値

幼い頃見た風景。印刷会社を営む父や職人さんたちの背中。その鍛錬された技術と丁寧な仕事とは裏腹に、捨てられていく印刷物の存在—。
「捨てられない価値を持つ印刷物を作りたい」。それが北川の原点だ。本書は彼が、幼少時代、GRAPHの誕生、近年のアートワーク等を振り返り、その原点と思考を綴った自叙伝である。

平仮名の「ふ」「く」の字をかたどったマークが印象的な富久錦のパッケージ、21_21 Design Sightで開催された「落狂楽笑 LUCKY LUCK SHOW」の「笑う滝」etc…。
北川のクリエイティブワークは、我々にとって未知なる視覚世界が隠されていることを明示する。彼の活動の根底にある「直感によるクリエイティブの可能性」を繙きながら、様々なアクションの裏側が明かされる。
 
共通認識を求める人々。概念化される物事。わかりやすいデザイン、コンセプトがもてはやされる今の世の中に、北川は疑問を投げかける。
100%明快なデザインではなく、そこに謎めいた主観を秘めることで、魅力的な世界が生まれる。ロジックに頼ったデザインではなく、鍛錬した目と手、肉体から紡ぎ出されるデザインに大きな価値を見出し、直感によるクリエイティブの可能性を追求し続ける北川だからこそ創り出せる世界がそこにはある。

また、葛西薫佐藤卓服部一成深澤直人三宅一生養老孟司といったグラフィックやファッション、プロダクト、解剖学などの分野で、日本のトップを走るデザイナーや経営者たちとの対談も集録。その他にも、岡野雅行安東孝一新津保建秀など豪華な顔ぶれが名前を連ねるなど、まさしくデザインの今後を担う新しい価値に出会える一冊だ。

変わる価値

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