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Film『ロルナの祈り』 | ロルナの祈り レビュー

ロゼッタ』(99年)、『ある子供』(05年)で2度のパルム・ドールを獲得している世界的名匠ダルデンヌ兄弟の最新作『ロルナの祈り』が公開される。ダルデンヌ兄弟の代名詞とも言える手持ちカメラによる映像、音楽を一切用いないスタイルを覆して描かれたのは、彼らにとって初めてとなるラブストーリーだ。

Text:原田優輝


恋人とバーを開くことを夢見て、アルバニアからベルギーに渡ってきた不法移民のロルナ。彼女は、ベルギー国籍を得るために、国籍売買を商売にしているブローカーのファビオの仲介で、麻薬中毒者のクローディと偽装結婚する。それは、ロルナが国籍を取得した後、彼女を”未亡人”にし、国籍を手に入れたいロシア人と結婚させるという残酷な計画だった。

そのシナリオを知りながら、自身の幸福を手に入れるために計画の遂行に協力するロルナは、彼女に依存してくるクローディを冷たくあしらう。だが、麻薬中毒から立ち直ろうとするクローディとのやり取りを重ねるうちに、ロルナの中に思わぬ変化が訪れる。
国籍と金を得るために偽装された結婚から芽生えた、偽ることのできない感情によって、2人はやがて結ばれる。そこにあるのは、母性か? それとも欲望か? 自身でも説明のつかない愛情に葛藤しながらも、歓びを感じ始めるロルナ。
だが、その直後、ブローカーのファビオの手により、予期せぬタイミングでクローディに死が訪れる—。

クローディという愛の対象が、何の予告もなく劇中から姿を消す後半、ロルナの”祈り”は、思わぬカタチとなって彼女に宿る。それは、大きな矛盾を抱えながら生きるすべての人間たちが持つ、根拠こそないが、リアルに存在する希望の象徴だ。
計画が失敗し、恋人とも別れ、すべてを失い窮地に追い込まれた彼女の”祈り”が沸点に達した時、ベートーヴェンのピアノソナタが流れ出し、この愛の物語は完結する。

ロルナの祈り
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