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Film『愛のむきだし』 | 愛のむきだし レビュー

紀子の食卓』(06年)、『自殺サークル』(01年)など、物議を醸す衝撃的な作品を世に送り出してきた鬼才・園 子温。その彼が完成させた最新長編『愛のむきだし』は、237分という異例の上映時間で紡がれる愛の物語だ。

Text:原田優輝


約4時間に亘るこの物語は、趣味で盗撮を始め、やがてその道のプロとして商売を始めたという監督の友人が、新興宗教に入ってしまった実の妹を救い出したという実話が発端になっている。その時に、変態である彼が発した「こっちの世界に戻ってこい!」という矛盾した言葉に面白さを感じた監督が、そのエピソードから15年の時を経て、今回の映画化にこぎつけた。

敬虔なクリスチャン一家に育った主人公ユウは、優しい神父の父と幸せな生活を送っていた。だが、ある出来事を境に、父親の態度は急変し、ユウに「懺悔」を強要するようになる。そんな父の期待に応えるため、ユウは毎日「罪作り」に励み、いつしかそれは「盗撮」にまで発展する。
そんなある日、ユウは、街でチンピラに絡まれていたヨーコと出会う。彼女こそがユウが探し求めていた”マリア”。だが、ある理由により女装姿だったユウは、「謎の女・サソリ」としてしかヨーコと接することができない。
時を同じくして、謎の新興宗教集団「ゼロ教会」の女・コイケが、ユウの家族に近づく。やがて、物語の舞台は、ユウの家族を引き裂いた「ゼロ教会」へと移る—。

カルト教団という「抵抗しがたい巨大な組織」に戦いを挑む構図からは、『自殺サークル』、『紀子の食卓』などに通ずる一貫したテーマ性が感じられるが、これまでに園監督が描いてきた「現代社会に生きる若者たちの希薄なコミュニケーション」とは対極にある、自意識過剰とも言える「むきだし」の感情がここには描かれている。

ユウが貫き通すいびつなまでに純粋なヨーコへの愛を縦軸に、そこに交差する個性豊かな登場人物たちそれぞれにも、不器用で過剰な「愛」があふれている。
本来誰もが持ち得るはずの執着心やフェティシズムが、極端なまでにデフォルメされ、様々な「愛」のカタチへと昇華し、まさに「むきだし」のまま観る者の心に揺さぶりをかける。「変態」とは、あくまでも社会や時代の価値観によって判断されたレッテルに過ぎないのだ。

愛のむきだし
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