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Film『戦慄迷宮3D』 | 戦慄迷宮3D レビュー

富士急ハイランドのお化け屋敷「戦慄迷宮」をロケ地に、『呪怨』の清水祟監督が3Dで映画を撮った。大方の予想を裏切るアプローチで本作が焦点を当てるのは、恐怖は恐怖でも、どこか美しい、誰もが抱えている記憶の深淵である。

Text:須永貴子


「戦慄迷宮」に迷いこんだ5人の若者が、次々と恐ろしい事態に巻き込まれていくーー。この王道ともいえる、サバイバルゲームやスリラー的な設定を、清水監督はあえて放棄した。その代わりに「戦慄迷宮」に与えられたのは、10年前、子どもだった5人が好奇心から潜り込んだ場所という位置付けだ。

3人の死体が並ぶ「戦慄迷宮」の外部。「もう一人、もう一人いるんだ!」と叫ぶ青年ケン(柳楽優弥)が取調室で語り始める。
「10年前に行方不明になったユキ(漣佛美沙子)が、僕たちを連れて行ったんです」。
ケンは、ある大雨の日にユキが突然帰ってきたと言うが、警察にはそもそも、ユキが行方不明になった記録がない。
戦慄迷宮で何が起こったのか? ユキは何者なのか? ユキの目的は? 観客は、ケンの証言を追体験するが、そこで描かれていることが現実に起きたことなのか、妄想なのかは曖昧だ。しかし、忘れていたはずの昔の記憶が蘇るときの嫌な感覚は、確実にそこにある。
 
物語は戦慄迷宮以前と以後で描かれるが、3Dの威力は戦慄迷宮以前に思いがけず発揮されている。白眉の出来は、彷徨う誰かの視線で捉えられた森の映像。自分がそこにいるかのような臨場感は、3D映画の新しい可能性を感じさせてくれる。そして、ユキが10年ぶりに突然訪れる、モトキ(勝地涼)とリン(前田愛)が暮らすマンションの部屋に漂う緊張感もただごとじゃない。建て売りの無個性の(おそらく)2LDKの間取りだが、画面の奥にあるドアや窓にもピントが合っているので、そこで何かが起きそうで、神経が昂ぶってしまった。
画面から飛び出る映像効果よりも、自分がそこにいるかのような臨場感を体感できるのが、3D映画の魅力。この作品はそれを教えてくれる。

戦慄迷宮3D
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