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BOOK『ANONYMOUS POP』小田島等 | 作品集『ANONYMOUS POP』Review

独特の世界観で多くのクリエイターたちに影響を与えてきたグラフィックデザイナー/イラストレーター・小田島等が、初の作品集『ANONYMOUS POP』をリリースした。本作品集には、CDジャケットから装丁、マンガまで、どこか親しみを感じさせてくれる彼の作品が収録されている。デザインやイラストレーションの分野だけにとどまらず、音楽やマンガ執筆など幅広く活動してきた小田島等の肖像が、この作品集から見て取れる。

Text:西村紳

キャリア初の作品集である『ANONYMOUS POP』には、95年から2010年までに彼が手がけたイラスト、CDジャケット、マンガなどの中から、小田島本人が厳選した100点のデザインと38点のイラストが収録されている。
小田島等

小田島等

小田島等

小田島が描いてきたイラストは、シンプルで、懐かしさや親しみやすさを覚えるものが多い。独特のセンスで作品を制作するにも関わらず、そこに不思議と親近感をもつことができるのは、小田島が切り取ってきた一瞬が、生活や人との関わりのなかで、誰もが感じることができるものだからではないだろうか。すでに身近にあるものに新しく光を与えてくれるのが、小田島等なのである。

本作品集には特別寄稿として、サニーデイ・サービスの曽我部恵一や、一時期師事していたスージー甘金などが、小田島の独特かつユーモアあふれるパーソナリティに言及している。若い頃からユニークな作品を数多く制作し、仕事では独自のアイデアで周りを驚かせるなど、昔からデザインやイラストが好きで好きでたまらなかった小田島の若き日のエピソードが綴られている。このひたむきで真っ直ぐなところが、彼の作品に多くの注目が集まる所以なのかもしれない。

そんな彼が描くキャラクターの表情には、小田島等本人が映し出されているように思えてならない。この穏やかで可愛らしい表情は、彼のイラストへの純粋な思いの表れではないだろうか。この作品集を通して、彼がイラストに何を求めてきたのか、そして、”アノニマス・ポップ”として彼は何を伝えていくのか、そうした彼の思いを感じることができるはずだ。

小田島等

小田島等

小田島を語る上で、音楽との関係も切り離すことはできないだろう。90年代後半は、フリーボやサニーデイサービスなどの”フォーキー”と呼ばれる後期渋谷系ミュージシャンたちのアートワークを数多く手がけている。その中でも、サニーデイサービスは95年から00年まで一貫して手がけ、大きな注目を集めた。ピンクの桜が印象的な「東京」のCDジャケットは代表作のひとつである。小田島自身、友人である細野しんいち氏と共にBEST MUSIC名義で音楽活動をしていることからも、音楽への傾倒ぶりが伺える。そんな彼の音楽への深い愛情と理解が、CDジャケットのデザインに反映されていることは言うまでもないだろう。

小田島等

小田島等

これまでの彼の活動の集大成ともいえる『ANONYMOUS POP』。この作品集には、小田島等が意図するメッセージではなく、小田島等そのものが表現されている。作品のデザインやイラストに引き込まれるだけでなく、読者が小田島等をもっと知りたくなる、そんな一冊である。

小田島等

Release Information
『ANONYMOUS POP』

Artist Profile
小田島等

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