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Film『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』 | ようこそ、アムステルダム国立美術館へ Review

2004年から現在まで続く、アムステルダム国立美術館の改築騒動を追いかけたドキュメンタリー。監督のウケ・ホーヘンダイクはもともとホロコーストに関するドキュメンタリー作家であり、今回はプロデューサーから「改修を記録してほしい」との以来を受けての仕事だという。つまり、誰もこんな大騒動が起きるとは予期していなかったのだから興味深い。

Text:須永貴子

何が起きたかを簡潔に言うと、関係する各機関がそれぞれの主張を通そうとすることで計画が頓挫してしまい、再オープンの予定が2008年から2013年へと5年も延長されてしまったのだ。関係機関とは、美術館、サイクリスト協会、南区地区委員会、教育文化科学省の4つ。コンペでスペイン人建築家コンビの案を採用した美術館に、地元のサイクリスト協会が「中央通路が通れなくなると困る!」と反論、それを地区委員会が後押しし最初の建築案は却下。新案に関しても教育文化科学省がいちいち難癖をつけ……。

個人的には、彼らの議論がいちおうの着地を見せるたびに新案を出し、振り回されるスペイン人建築家コンビの「だったら最初から僕らを選ばなきゃよかったのに」という発言に大いに共感。怒りよりも呆れを露わにし、しょんぼりと肩を落としながらやり直し続ける彼らにビールでもおごってやりたい気分に。

そんな膠着状態での救いは、美術館の学芸員たちが来るべき再オープンに向けての情熱を持ち続けていること。名画を着々と修復し、これまで手薄だった20世紀美術のコレクションに着手し、どの絵をどの壁に展示すべきかを嬉々として語り合う。そういった美術館の本来の裏側と、より良い展示をできるその日を心待ちにしている学芸員一人一人の表情を捉えていることが、改築のゴタゴタとのコントラストとなり、ドキュメンタリーとしての厚みを生んでいる。

政治と芸術を結ぶ立場にいるのが、館長ロナルド・デ・レーウ。理想主義を掲げ、再オープンについて熱く語っていたはずなのになんとこの男、途中で逃げ出してしまった! アムステルダムの家を売り払って、私生活を充実させるために芸術の都ウィーンへと引っ越すんだとか。館長の裏切りにショックを受けたアジア美術部門部長学芸員の「一週間、図書館に籠もって金剛力士像の本を読みあさってショックを紛らわせたよ」という発言は文科系男子の鏡というべきか。

ホーヘンダイク監督は現在、本ドキュメンタリーのパート2を撮影中だ。果たして2013年に映画も美術館も完成するのか、そしてそれまでにどんなドラマが繰り広げられるのか、楽しみだ。

ようこそ、アムステルダム国立美術館へ
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