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TARO HIRANO Exhibition | 『POOL』平野太呂

ベニス・ビーチから徒歩10分のところにあるアボット・キニー・ブルバードには小さなセレクトショップやアートギャラリーが立ち並び、若者からセンスの良い大人にまで広く愛されているストリートだ。セレクトショップtortoise(トータス)はその中心にある。元々日本の家具デザイナーであるオーナーの篠本夫妻によって2003年にオープンされ店内には日本製の雑貨や小物から家具、アート作品までを広く取り扱っている。その全てにモダンでスローライフなオーナーの洗練されたセンスを深く感じることができる。

ここベニス・ビーチは1970年代にはドッグ・タウンと呼ばれていた。この地域はヒッピーやスケーター、サーファー等の米西海岸を代表するストリート・カルチャーが盛んであると同時に治安の悪い地域でもあった。ここ最近では、すっかりドッグ・タウンという風貌はなくなり毎日多くの人々が訪れる観光地となり、日本で言う熱海や江ノ島というような雰囲気に様変わりしている。また、高級住宅もしばしば立ち並ぶエリアへと変化している。

POOL展
店舗に併設されているギャラリー・スペースでは、平野太呂による写真展POOLが開催されていた。空っぽのプールを映し出した写真集POOLは元々雑誌relaxの取材で撮影した写真がきっかけになり、2005年にリトルモアより発表された。その後、国内外で写真展を開催してきた。今回はプール・スケーティング発祥の地であるベニスでの展示が実現できた。最近では映画「ロード・オブ・ドッグタウン」の公開により多くの人に知られるようになったプール・スケーティング。カリフォルニアのプールは日本のものとは異なり、底が丸くアールを描いているためそれを波に見立ててグルグルと滑る。それが、プール・スケーティングである。しかし、そこには様々なディテールが存在していることを知る人は少ないと思う。
POOL展POOL展
プール・スケーターはまず、空き家や廃墟にある使われていないプールを見つけることから始まる。「売り出し中」のサインがある家を狙ったり、時にはセスナをチャーターし上空から探すこともあるという。やっと見つけることができたとしても、通常はゴミが溜まりヘドロ状になっていたり、時にはプールの中に注射器が散乱していることもある。彼らはまず大きなゴミをプールから排除し、持参したモップでプールをきれいに掃除する。仕上げに排水溝等の障害物をガムテープで塞ぐ。この一連の作業を終えるとようやくプール・スケーティングを楽しむことができる。しかし、不法侵入であるこの行為に長居は禁物で程よく滑ったら次のプールへと移動して行くという。
POOL展
日本とは異なり街を走ればスケート・パークや、路面の良い広い駐車場も沢山あるのに、なぜ、そこまでしてプールにこだわるのか。その理由は経験してみないと分からないが、まず、どのプールも手作りでありその土地や面積により設計されるもので同じものは存在しない。更に、プールをつくる会社によりアールの角度や路面、コーピング剤等が異なる。中でもスケーターに人気なのがブルー・ヘブン社のプールである。あとは、自分しか知らない秘密基地的な楽しみや、侵入しているというアドベンチャー感がプール・スケーターを魅了している理由である。

POOL展

そんな、背景を汲み取った上で改めて作品を眺めると、吸水口を塞いでいる人の姿や、スケボーが滑り抜けた傷跡があったりとこのプール・スケーティングにかける彼らの熱意が汲み取ることができ、作品に何層もの立体感を感じることができた。

日本では中々認知されにくい空っぽのプールというモチーフはやはりここベニスでは違っていた。通りを歩く人々は足をとめて一目でプール・スケーティングの話題をしだす。それほどストリート・カルチャーがここでは身近に存在している。
POOL展POOL展

平野太呂
Exhibition Information

Artist Profile
平野太呂

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