
Boris Hoppek EXHIBITION | 『Ever』 ボリス ホペック
ユーモラスな表情のキャラクター、大胆な性描写、鮮やかな色使い。観ていると思わず吸い込まれてしまいそうになる、不思議な世界を創り上げているのはBoris Hoppek。現在、バルセロナを拠点に活動しているドイツ出身のアーティストだ。代表作である「Bimbo Doll」を始めとする彼の作品は、一見可愛らしいキャラクターや色彩で構成されている。しかし、それらをよく見ると、題材となっているのは、人種差別、暴力、セックス、女嫌いなど、人間の持つダークサイドな部分である。ブラックユーモアあふれる彼の作品は、今まで世界中のストリートやギャラリーで発表され、2009年にはバルセロナ、ハンブルグ、パリで個展が開かれた。そんなHoppekの日本初となる個展「Ever」が、DIESEL DENIM GALLERY AOYAMAで開催されている。
Text:室岡 優
Photo:加藤 健


本展は、「西洋人がみる日本文化」をテーマに、「LV For Ever」「Sushi For Ever」「Shunga For Ever」の3シリーズの作品で構成されている。彼特有のブラックユーモアをベースに、鮮やかな色と可愛いキャラクターに包まれた会場は、どこか不思議で、自分もそのなかの一キャラクターになってしまったかのような感覚に陥る。

「Bimbo Dolls」Hoppekの代表作の1つでもある「Bimbo Doll」。Bimboとは黒人という意味。会場には、さまざまなBimbo Dollが展示されている。


(左)「Shunga for ever」、(右)「Sushi for ever」(左)「実は、日本人は何百年もずっと変態プレイにはまっている」と語るHoppekが、日本の春画をベースに制作した作品。Hoppekの視点で改めて描かれた春画は、思わず吹き出してしまうような軽快さがあり、とても新鮮だ。(右)一見可愛らしい色使いで描かれた寿司。しかし、よく見ると寿司ネタは女性や黒人(!)だ。日本食、女体盛り、ボンテージをコンセプトにしたこの展示には、「日本人はいつも寿司を食べている。そして変態プレイにはまっている」というHoppekの独自の視点が現れている。

Hoppekの発行するマガジン「La Vagina」の第3号をベースにした展示。「Vagina」という大胆に打ち出されたタイトルの通り、性的描写がユーモアたっぷりに描かれている。(この「La Vagina」の第3号は会場でも展示されている。)
また、本展ではBimboマスクという訪れた人がかぶることのできるマスクのインスタレーションも展示されている。そのマスクに頭をはめると、外界と遮断され、世界を傍観しているかのような気分になった。それはもしかすると、Hoppekが世界を見つめる視点に近いものなのかもしれない。
差別的なモチーフが多い彼の作品。しかし、そこには作家の直接的なメッセージ性はない。見え方、伝わり方、受取り方は、観る者にすべて委ねているという。「何を感じるか」ということは各人によって異なる。彼の作品は、我々が日常、表面的に感じている部分だけではなく、自分自身がはっきりとは気付いていなかった、深い部分をも気付くきっかけとなるのではないだろうか。会期は7月12日まで。日本初となるこの機会に、是非Hoppekのブラックユーモア溢れる不思議な世界を訪れてみてほしい。

Exhibition Information
『Ever』
April 12 2010 – July 12 2010
at DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA 2F

Artist Profile
Boris Hoppek
1970年ドイツ、クロイツタール生まれ。現在はバルセロナを拠点に活動。20歳の頃にグラフィティアーティストとして活動を開始したという彼だが、最近ではインスタレーション、ドローイング、写真、映像、雑誌制作など、その活動の幅を多岐に広げている。今までに世界中のストリートやギャラリーにて作品を発表し、2009年には、バルセロナ、ハンブルグ、パリにて個展を開催。また、ニューヨークのJonathan LeVine galleryにてグループ展への参加や、ローマのthe Museum of Contemporary Artからの招聘など、サイトスペシフィックな作品を発表し、勢力的に活動中。Hoppek作品のトレードマークであるBimbo dollsは、ベルリンのキャラクターデザインフェスティバル、Pictoplasma 2009の顔として選ばれ、Opelの広告キャンペーンで2006年から現在まで使用されるなど、幅広い展開をみせている。これまで3冊の作品集を出版。彼の作品はIdN, Elephant、Nicoなど多数の雑誌、新聞などにも取り上げられている。












