
MAKOTO AIDA EXHIBITION |『絵バカ』| 会田誠
決まったスタイルを持たず、しかし毎回「会田誠」だと思わせる手法で、現代美術界を賑わせる彼の個展が、ミヅマアートギャラリーで開催されている。今回の展示の為、会田は半年間北京で制作を行ってきた。ギャラリーの扉を開けたとたん、その大作が大胆不敵に存在し、考える暇さえ与えずに脳裏に焼き付いてしまう。全く違ったスタイルを持つ3点の絵画に、今回の展示名にもある「絵」「バカ」といった単語が重なり、会田誠しか持ち得ぬ、一種独特の絵画へのエネルギーが放たれている。
Text:大島智子

『万札地肥瘠相見図』
「アートで候。会田誠 山口晃展」(2007)で展示された際には未完成だった作品が、4年の歳月を経て、完成品として登場。全体に金粉が施され、蛍光ピンクが強調されたことで、より一層インパクトの強い作品となっている。

『灰色の山』

『灰色の山』部分
まだ制作中ではあるものの、その大きさと密度、描かれているモチーフに圧倒させられる。女性の裸体が描かれた『ジューサーミキサー』(2001)と対になるというこの作品は、サラリーマンとOA機器が絡み合い、山になっている。月曜日の朝の憂鬱が凝縮されたような、真っ向から現代を表した作品だ。

『1+1=2』
北京で『灰色の山』を制作中、日本では高い油絵の具がかなりの安値で売られていることにうれしくなり、『灰色の山』の細かい作業のストレスをぶつけたという作品。「1+1=2」という単純明快な数式と、のびのびした筆の運び、自由な色使いは、心をなんともほっとさせる。

中国での制作のクロージングの際に作られた作品。彼の目に映る中国が、屈託なく表れている。


『愛ちゃん盆栽(柏)』

座敷では『愛ちゃん盆栽(柏)』や、『灰色の山』のエスキースが展示されている。もう一区画のスペースでは、美術手帖の連載『おんなのこしゃしん』から3点を展示。両方とも展示作品が巨大な為、通路が塞がれてしまったのだが、事務所スペースを奥まで進むと観ることができる。
今回の個展では、現役芸大生が全裸で出ているということで撮影ができなかった『よかまん』というビデオ作品も展示されている。この作品には、現代のお洒落でスマート過ぎる美大生へのアイロニーが込められている。それも含めて、あまりにも大きな、そして緻密な絵画群を観ると、色々な意味に取ることができる「絵バカ」といった単語が、じわじわと心にしみ込んでくる。ここにはお洒落さ、スマートさは存在しない。彼にしか出来ない絵画へのアプローチが、存在しているのだ。
Exhibition Information
『絵バカ』
May 6 2010 – June 5 2010 at MIZUMA ART GALLERY
Artist Profile
会田誠
1965年新潟県生まれ。89年東京芸術大学油画科卒業、91年同大学院油画技法・材料研究室修了。日本を代表する現代美術家であり、絵画のみならず、写真、立体、パフォーマンス、インスタレーション、小説、漫画、都市計画を手掛けるなど、その表現領域は幅広い。ミヅマアートギャラリーでの個展を中心に、国内外で活動。東京芸術大学非常勤講師を務める。












