
Yuichi Yokoyama “BBF” | 横山裕一
井の頭公園、日比谷公園、小平―。そこを訪れたことのある人には、これらの名称からそれぞれ固有の風景が頭に浮かぶはずだ。しかし、横山裕一に描かれたそれらの場所は、わたしたちの知っているどの景色とも違っている。日常的な人・場所・行為は、横山に描かれることで日常から逸脱してしまう。先日、川崎市民ミュージアムでの大規模な展示が終了したばかりの作家・横山裕一の最新作品集『ベビーブームファイナル』の発売を記念した個展 “BBF” が、ARATANIURANOにて開催された。
Text:松井友里
Photo:木奥惠三

一際目を引く巨大な2点の作品は、展覧会前日と初日にギャラリー内で行われたライブペインティングで描かれた。

横山裕一の作品内では同じキャラクターが反復され、SF的ともいえる特異なシチュエーションに置かれる。その様はどことなく滑稽で、私たちの戯画のようでもある。


作品集『ベビーブームファイナル』は原画の蛍光色をリアルに再現するため印刷に特色のインクを使用しており、色に対する横山氏のこだわりが感じられる。

川崎では見られなかった新作のライブペインティングによる作品など、横山裕一=漫画といった固定イメージとはまた一味違った作風を見ることができた本展。普段は疑うことなく接している日常が、横山ワールドにおいては異物感に溢れ、その光景は大きく平穏を踏み越えてしまう。そしてギャラリーを後にする頃には、その異物感は私たちの日常への眼差しにも浸食してしまうのだ。

Exhibition Information
『横山裕一 “BBF”』
June 4 2010 – July 14 2010
at ARATANIURANO
Artist Profile
横山裕一
1967年宮崎に生まれる。絵画を学んだのち、時間を描くことのできる表現方法として漫画を選びとり、以降独創的な作品を生み出し続ける。目的不明の大土木工事を描いた「ニュー土木」、不思議な鉄道旅行の一部始終を描いた「トラベル」など、その時間と空間がおりなす新しい世界は、国内外を問わず、またジャンルを超えて高い評価を得てきた。














