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TEAM16 荒川智則個展 presented by カオス*ラウンジ

昨今インターネットカルチャーの周辺でその名を耳にするようになった現象「荒川智則」。
「荒川智則」とはもともと、2010年にNANZUKA AGENDA SHIBUYAで開催された「破滅*ラウンジ・再生*ラウンジ」によって、日本のアート界にクリティカルなインパクトをもたらしたアート集団である、カオス*ラウンジに縁あるエンジニアたちと、その周辺から使われ始めたネット上のハンドルネームだ。名乗りさえすれば誰でもその日から「荒川智則」になることができるという性質から、今やネット上には無数の荒川智則が存在するという現象が起きている。例えば、昨年代官山UNITで開催されたイベント「THE☆荒川智則-さいしょでさいごのUNIT-」では、主宰も観客も「荒川智則」という極めて混沌とした状況が生まれた。その正体の不明瞭さはまるで都市伝説のようだ。
そんな「荒川智則」と、「荒川智則」という現象によって生み出された文脈にカオス*ラウンジが着眼した展示、「TEAM16 荒川智則個展 presented by カオス*ラウンジ」がトーキョーワンダーサイト渋谷を舞台に開催された。

Text:松井友里


ネットから自然発生的に始まったこのムーブメントを取り上げた本展の特質は、展示をギャラリーというリアルスペースのみで完結させないために「生ドラマ」という方法が取られている点だ。
ふたつに分かれた会場のうちのひとつのスペースを使って展示されているのは、展示期間中に全3回、ニコニコ生放送USTREAMを通じて配信された生ドラマ「1983年の荒川智則」の舞台として登場する、「オタク」たちが集うシェアハウスのセットである。つまりこの会場に設置された「部屋」は、生ドラマの「セット」であるとともに、カオス*ラウンジの「作品」でもある。
そして、その「作品」である「部屋」は、岡崎京子の漫画や、「風雲たけし城!」のTシャツ、「らき☆すた」や「新世紀エヴァンゲリオン」のポスターといった無数のアニメ作品のポスター等と共に、カオス*ラウンジのアーティストたちによるドローイングなどの「作品」によって構成されている。

今回の生ドラマのストーリー構成もまた、「荒川智則」から派生してネット上で拡散していった断片的な物語が、文脈としてプロット上にふんだんに組み込まれており、ドラマを観た人々によって新たなフィードバックが生まれていくことで、ネットとギャラリーの展示が相互に作用することを期待しているようだ。


20世紀の都市伝説である「口裂け女」や「人面魚」はテレビや学校を舞台に発生し流布していったが、21世紀の都市伝説はネットとリアルの反復運動によってその正体を拡大し続けていく。
トーキョーワンダーサイト渋谷で同時期に開催されていた「わくわくSHIBUYA coordinated by 遠藤一郎」が、会場を訪れた人が持ち込んだ作品を作者を問わずどんどん展示していく、という人力での繋がりの拡大を望む展示であったことと、その様子は対照的だった。

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