
都築響一 「HELL」展 レポート
東京の当たり前の一人暮らしの部屋の膨大な記録の集積である「TOKYO STYLE」(ちくま文庫)、西から東まで日本国内の珍スポット全350ヶ所以上を巡る「ROAD SIDE JAPAN—珍日本紀行」(ちくま文庫)、ストリートの落書きやポルノサイトのキャッチコピーから、リアルな現代詩の姿を見て取る「夜露死苦現代詩」(ちくま文庫)など、日常の中で目にしていながらも見過ごしてしまうような光景から、独自のロードサイド=辺境の文脈を見出してきた、編集者 / 写真家 / ライターの 都築響一。
2010年秋に刊行されたタイ王国各地の寺院に点在する、地獄を題材にした仏教系テーマパークを撮りためた著書、「HELL 地獄の歩き方〈タイランド編〉」(洋泉社)に収められた写真を集めた展覧会が、岩本町のZENSHI と上野のGALERIA DE MUERTEの東京2会場で同時開催されている。
Text&Photo : 松井友里
ZENSHI

第1会場であるZENSHIでは、迫力ある大判プリントのモノクロ作品が展示されている。血の赤い色だけが色づき、見世物小屋的なケレン味に溢れたおどろおどろしさが強調されている。




ギャラリーでは撮影時の記録映像も投影されている。地獄のテーマパークの “アトラクション”たちは、映像で見るとさらにそのぎこちない動作と賑々しい音楽が相まって、目を離すことができない。



GALERIA DE MUERTE

第2会場では、うって変わって毒々しくヴィヴィッドな色彩の「地獄」写真を見ることができる。会場であるGALERIA DE MUERTE(スペイン語で“死のギャラリー”を意味するそう)は、そのスペースの半分がブラックメタル関連の音源やグッズを取扱うショップという異色のギャラリーであり、都築氏のWEBちくまでの連載「東京右半分」で取材された縁から、今回の展示も実現したそう。



プリントに交ざって置かれている、レアなタイ・ポップスのLPは都築氏の私物。1960年代後期に流行したグループサウンズやガレージロック風味の歌謡曲サウンドに乗った、タイ語の女性ボーカルがギャラリー内で終始流れていた。



これらの地獄の庭園は本来の意味でアートやインスタレーションと呼ぶべきものではないかもしれない。しかし、その信仰心に端を発した想像力から生まれた造形の力強さ、独創性は、都築氏が自著で繰り返し述べ続けているように、生半可な気持ちで造られた「アート」や「デザイン」を圧倒してしまうインパクトにあふれている。
美術の言語では語られることのない表現を、けっして大上段から見下ろすわけでなく、それらの造形物を創り出した人々と同じ熱量で切り取り続ける都築氏の眼差しを感じた。
Exhibition Information

都築響一 「HELL」
April 22 2011 – May 28 2011
at ZENSHI
GALERIA DE MUERTE
Books Information

「HELL 地獄の歩き方〈タイランド編〉」
都築響一
Publisher:洋泉社
Date : October 16 2010














