
KAI-YOU presents「世界と遊ぶ!展」レポート
今年オープンしたばかりのカイカイキキとpixivによるギャラリー、pixiv Zingaroの企画展第3弾・KAI-YOU presents「世界と遊ぶ!展」。巨大キャンバスをメイン作品に、プロ/アマ関係なく自由に絵を描き、協働作業を通し編集や表現を捉え直すというコンセプトのもと、イラストレーターからアニメーション作家、ファッションデザイナー、ふらりと訪れた観客まで、多くの人々によってキャンバス作品が完成した。ギャラリーオープン以来、一番の盛り上がりを見せたという本展の様子を、巨大キャンバス完成までの足取りや参加アーティストによる展示作品、イベントの写真を交えレポートする。
Text: 和田真文
「世界と遊ぶ!展」のメイン作品は150号2枚程度に相当するキャンバス。5日間の会期を使って、事前にキャンバス制作を依頼していたアーティスト約30名と、多くの観客を巻き込んでの協働創作が行われた。画材にはアクリル絵の具やコピック、マーカーペン 、貼り絵などが使われた。
準備日
オープン前日から制作を開始。

ファンタジスタ歌麿呂さんはシルクスクリーンを使って制作。その隣はアシスタント役を買って出るヌケメさんとKAI-YOU代表の武田俊さん。その様子を興味深く眺めるGraphersRockこと岩屋民穂さん(写真左奥)。

オープン前日のキャンバス。シルクスクリーンも完成。
初日
この日は、精神科医の斎藤環さん、キュレーターの長谷川祐子さん、チームラボ代表取締役の猪子寿之さんによるトークセッションや「Maltine Records」を主宰するtomadさんらによるDJ、快速東京によるライブイベントが行われた。来場者が会場の外に溢れ返るほどの大盛況ぶり。

斎藤環×長谷川祐子×猪子寿之トークセッションの様子。議題は「現代においてアートを〈世界〉で実現するとは?」。
トークセッション後のDJ&ライブと同時にキャンバス制作も再開。

イラストレーターのJUN OSONさん。下書きなしで一気に描いていく。
オープニングに訪れた来場者も参加作家と一緒にキャンバスに向かう。このように会期中、ふらりとギャラリーに立ち寄ったお客さんもペンやアクリルを使って描く様子がみられた。


キャンバス制作は会期中、毎日行われた。5、6人が並んで描いても平気なこの大きさ。

22日のキャンバス最終段階。右手に写るカラフルな手形は、未来芸術家・遠藤一郎さんによるもの。この時点ではまだまだ余白が。
会場では、参加アーティストによる作品展示も行われた。その数約40点ほど。日ごとに少しずつ展示作品の模様替えがされていた。


kawalaの販売作品、TVEYEを手にとる女の子。

アニメーション作家の水江未来さんは、会場に作品「細胞マネキン」を持ち込み、ほぼ毎日、制作を続けていた。
このようにマネキンの上から下まで、細胞一つひとつをペンで描いていく。
展示作品の中でも特に人気だったのは、チームラボの「テーブルスケッチピストン」。専用のタッチペンを使って線を描いたり、犬や人形、木などの不思議なキャラクターを登場させたりして遊ぶもの。動きの可愛らしさもあって、大人も子どもも笑顔になる。

最終日
あっと言う間に5日が過ぎ、キャンバスの余白はたくさんの絵で埋め尽くされていった。

こちらは飛び入り参加したアーティストの谷口真人さん。チューブを絵筆のように使い、キャンバスに直接絵の具を出して描く。

キャンバスの後ろでは、クロージングパーティーの演奏中。
クロージングパーティーの終了と共にキャンバスは完成。
最初は余白が埋まるのかどうか心配されていたが、参加者たちは一度描き始めると止まらない様子で熱心に隙間を埋め、最後にはキャンバスの端の端まで一杯になった。

完成!描かれた女の子の人数が気になる・・・。
「世界と遊ぶ!展」は、会期も短いこともあり、外に向かってどれほど盛り上がりを見せることができるか危ぶむところもあったが、その場で観客やアーティストたちの生々しいエネルギーを感じられるという意味では成功していたように感じた。
そもそも展覧会を主催するKAI-YOUは、文芸誌『界遊』やビジュアル・ネットレーベル「Recode」の運営、イベント企画などを行う会社で、彼らの出発点でもある「『わかる人だけにわかれば良い』という内向的なコミュニティに留まることなく、複雑さをそのまま受け入れ肯定したい』」との思いが企画の核になっていた。アートの文脈の中でそれを実現するための手段として選ばれたのが、何も描かれていない大きなキャンバスだった。
「アートの受け手に回りがちな観客が、アーティストと一緒になって実際に創作を行うことで、普段とは異なる回路を生み出し、好奇心をもって広い「世界」を発見する」
これが、本展の大きな目的だった。実際、キャンバスの前ではアーティストも飛び入りの参加者も関係なく、ゴチャ混ぜになって同じ画面を前に手を動かし、会話し、参加する姿があった。事情を知らず会場に来た人や展示作品や制作の様子を眺める人々すべてが、会話や観賞を通しここで何が起こっているのかを探ることで、参加者の一人となっていた。
それが作品にどのような強度をもたらし、今後いかに「編集」されていくのか。ここで生まれた好奇心がより広い展望を持つにはどうすべきかなど、多くの課題が見える展覧会となった。

Exhibition Information
KAI-YOU presents 世界と遊ぶ!展
会期:2011年8月19日(金)〜8月23日(火)
会場:pixiv Zingaro
参加アーティスト
岩屋民穂(GraphersRock)/ usi / 遠藤一郎 / 加藤愛 / kawala BY masayoshi yamamoto
きぬてん / 木村了子 / 杉山峻輔 / JUN OSON / ファンタジスタ歌磨呂
ヌケメ / 水江未来(CALF)/ 渡辺真子(まこぷり)他多数














