
ヨコハマトリエンナーレ2011「OUR MAGIC HOURー世界はどこまで知ることができるか?ー」
港町・横浜を舞台にした3年に1度のアートの祭典「横浜トリエンナーレ」が現在開幕中です。本年は「OUR MAGIC HOURー世界はどこまで知ることができるか?ー」をテーマに掲げ、横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)を中心とした数会場に渡って国内外の作家、総勢77組/79名が作品を展開しています。この記事ではそんな多岐にわたるラインナップから、複数名の作家をピックアップし「ヨコハマトリエンナーレ2011」の見所をダイジェストでお届けしていきます。
Text&Photo:松井友里(PUBLIC-IMAGE.ORG編集部)
まずはメイン会場のひとつである、横浜美術館からスタート。トリエンナーレやビエンナーレといえば、普段滅多に見ることのできない各国のアーティスト作品が一同に会する点が最大の魅力であり、音楽で言うならばグラストンベリー・フェスティバルかフジロックといったところでしょうか。今年は歌川国芳からオノ・ヨーコ、横尾 忠則から泉太郎まで、通常の企画展では予想もつかないマッチングを見ることができます。
横浜美術館

「our magic hour」Ugo RONDINONE (2003/2011)、「moonrise. east.」Ugo RONDINONE (2005)
横浜美術館。ひと際目を惹くシンボリックな「OUR MAGIC HOUR」のネオンサインはスイス出身のアーティスト、ウーゴ・ロンディノーネによる作品。今年のトリエンナーレのテーマ名も本作品が由来となっています。


「autoR」Carsten NICOLAI(2010/2011)
カールステン・ニコライの「autoR」は、横浜美術館前の工事中仮囲いに、訪れた人がステッカーを貼ることにより完成していく作品。取材中にも仮囲いにステッカーを貼っていこうとする来場者が。

「One Sentence」YIN Xiuzhen(2011)
会場エントランス。ここにもすでに作品が設置されています。渦巻き状の作品は、尹秀珍による作品「ワン・センテンス」。1つ1つの円は、1人の人間が着用していた衣服をロール状にしたものであり、それぞれの大きさや色合いが、身につけていた人間の人となりを想起させます。




「美術館はいっぺんに使われる」田中功起(2011)
一見準備中のようにも見えるこちらのインスタレーション。近年の映像作品と組み合わされて置かれている段ボールやショウケースは、すべて会場である横浜美術館の倉庫に眠っていた備品とのこと。非・ドラマチックな空間を見て回るうちに通路と作品の境目も混乱していきます。


(左)「Samsara」(2008)、(右)「The Tree of Knowledge」Damien HIRST(2008)
広々としたホールに設置されている大型のオブジェは、旧約聖書でアダムとイヴがその果実を食べて楽園から追放された「知恵の樹」がタイトルに冠された、ダミアン・ハースト作品。一見すると美しいステンドグラスのように見えるのですが、近づくとその模様がすべて死んだ蝶の羽で構成されているのが分かり、なかなかグロテスクです…。
日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)

ところ変わって、こちらは横浜美術館から無料巡回バスを利用して回ることのできる、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)。収蔵作品も多く展示されている横浜美術館と比べ、比較的若手の作家の作品が中心となっています。また、クリスチャン・マークレーの「The clock」(作品の総上映時間24時間!)を初め、映像作品も多く集まっているのでゆっくり時間をとって回りたい場所です。


「PRIMITIVE」Apichatpong WEERASETHAKUL(2009)

「Ghost Teen」Apichatpong WEERASETHAKUL(2009)
「ブンミおじさんの森」が2010年度カンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞した、アピチャッポン・ウィーラセタクン。7つの映像からなるインスタレーションである本作は、タイ東北部のナプア村で撮影されたもの。それぞれのモニターに映し出される、普段の街中での生活からは感じることのできない、生々しい自然や生命の力を描いた映像に思わず見入ってしまいました。


(上)映像「Deadsee」(2005)、(下)「Barbed Salt Lamps」(2010)Sigalit LANDAU
シャンデリアの様に天井から吊られたオブジェは、外見の美しさに反して有刺鉄線と死海の塩からできているそう。作家が育ってきたイスラエルの混沌とした国状や、その中でも自国の前途へ希望を見いだそうとする作家の心情が想像されます。

「壷(メトロ)」泉太郎(2011)



「釣りと整体」泉太郎(2011)
「釣りと整体」と題された空間に展示されているのは、脱ぎ捨てられたストッキングや「週刊少年ジャンプ」、ポットやスナック菓子の袋、スーツケースetc…。それぞれには何の因果関係もないどこかポップな日用品たち。会場を回る中でも、特に不思議そうな様子の感想を漏らす人が多く感じた作品のひとつです。
全体を通じて、今年は過去の横浜で開催されたトリエンナーレと比べると、比較的日本の若手アーティストも多く、より多くの人に親しみやすいようなキュレーションがされているように感じました。
また、黄金町バザール2011や、新・港村などの特別連携プログラムや、港のスペクタクル等、トリエンナーレ期間中に横浜の各地で開催されるイベントも相まって、横浜の街全体を使った「町起こし」フェスティバルとしての性格も例年より強くなっており、観光地としてはすっかり定番化した横浜の街を新鮮な視点で眺めることもできるのではないでしょうか。
ここで紹介した各作家の作品と併せて、展示空間に隠されたテーマ設定等もあるため(「儀式」、「夢・無意識」、「玉・円・循環」、「奇妙な風景」、「幻影・現出」、「見えるもの/見えないもの」…etc.)、ぜひ会場に足を運び各々のイマジネーションを巡らせてみてください。
Exhibition Information
ヨコハマトリエンナーレ2011
「OUR MAGIC HOUR—世界はどこまで知ることができるか?—」
会期:2011年8月6日(土) ~11月6日(日)
時間:11:00-18:00 (入場は17:30まで)
※10月13日(木)、10月27日(木) 休場
会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、その他周辺地域
WEB:http://www.yokohamatriennale.jp/













