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「メタボリズムの未来都市展」レポート

あなたは「都市」という言葉を聞いてどんなイメージを思い浮かべるだろうか?私たちが生活するこの都市では日々さまざまな建築物が作られ、そして同時に壊されていき、まさに刻一刻と変化している。1960年代に、この都市の中で建築が代謝されていくイメージを手がかりに、都市をデザインしようと考え、その思想を共有した建築家やデザイナーたちが現れた。その運動がメタボリズムである。生物学で新陳代謝を意味する、このメタボリズム運動を今あらためて紹介する展覧会が現在、森美術館で開催中だ。都市をデザインしようという壮大な夢を描いた彼らの痕跡を紹介する展示の様子をレポートする。

Text&Photo:大沢雄城

近年、建築にスポットライトがあたる機会は増えてきているが、ことさら都市と言われるとピンとこない人も多いと思う。しかしよく考えてみれば都市はまるで「コックリさん」のように、あらゆる人が関係しているのに誰の意志ともつかず、動き続け、変化を続ける不思議な存在だ。そういう視点を得た瞬間に都市というものに対するイメージは一気に膨らむが、その都市を相手に壮大な未来予想図を描き、世界的に注目を浴びたのがメタボリズム運動だ。意外にもこれが総括的にまとめた世界初の大規模な展覧会となる。代表的なメタボリストたちの作品の模型や新たに制作されたCG映像などを軸に紹介されている。








一つ目のセクションを抜けると、丹下健三氏や黒川紀章氏、磯崎新氏らの壮大な都市計画の巨大な模型と、それらを3Dで立ち上げた映像が大画面で展示されている。模型で実感できないスケール感をCGで体感するとその途方もない巨大さに唖然としてしまう。これらはどれも実現しなかった構想だが、さらに次の展示室ではメタボリズムの思想をもとに実際に竣工した建築の模型や写真が展示されている。どれも不思議な形をしていて、実際に現地まで実物を見に行ってみたくなる。






展示の後半になるとガラリと雰囲気が変わり当時のメタボリズム周辺のカルチャーから、メタボリストたちの一つの集大成となった大阪万博まで紹介されている。途方もないスケールの建築だけでなく、グラフィックデザインから音楽まであらゆるカルチャーを巻き込んで展開された当時の運動の熱気が伝わってくる。これらを見ていると60年代に世界的に流行したサイケデリックカルチャーにも彼らは敏感に反応していた事がうかがわれる。大阪万博のエリアでは太陽の塔と共にシンボルだったものの解体されてしまった菊竹清訓氏によるエキスポタワーの一部や、当時製作された貴重な会場全体模型も展示されており、意外と知られていない大阪万博の全体像が把握できる。










日本ではなかなか実現に至らなかったメタボリズムだが、展示の最後には1970年の大阪万博以降、その思想を取り入れながら実現している海外での都市計画のプロジェクトなどが紹介されている。

あまりに巨大な都市計画構想、そしてうねうねと摩訶不思議な形態。こんな映画の中の世界のような都市なんてありえないな…と思いながら展示をながめる人も多いだろう。確かに現代の感覚で言うと首をかしげてしまうような面もあるかもしれない。しかし戦後の復興ビジョンとしてメタボリストが抱いた新たな都市のイメージ。これは3.11以降、日本が直面している今の状況と重なって、同時にこれほどの壮大なイメージをできる建築家がほとんどいない現代に、メタボリストたちのポジティブでイマジネーションに満ち溢れた活動はとても新鮮にうつる。帰り道に自分の住む街の未来の姿を想像してみるのも、おもしろいかもしれない。




Exhibition Information
「メタボリズムの未来都市展:
戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」

会期:2011年9月17日〜2012年1月15日
時間:10:00~22:00(火曜のみ17:00まで、但し1/3(火)は22:00まで)
会場:森美術館

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